かわいいきりちゃん。
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愛情と情愛
「なぁ、団蔵、愛情ってなんだろう?」
きり丸は団蔵に聞いてみた。団蔵はいつもの表情で
「愛をもって情け深く接すること」
と、言った。その言い方は国語の時間のようで、意味はわかるがあまり意味がないように感じる言い方だった。
団蔵は怒っているのだろうか?
団蔵は時々、こんな風にぶっきらぼうになる。だけど、それは怒っているのではなく悲しい気持ちを隠していたり、照れていたりする時。団蔵はめったに怒らない。
「じゃあ、情愛は?」
「情け深さを持ち、相手を愛すること」
夏休みになると毎年、担任の土井半助の家にお世話になる。
「お世話になる」
「預かる」
2人の関係はそんな言葉で言い表せる。その表現に一抹の寂しさを感じて育ってきた。その寂しさを知っている団蔵が言った。
「もう先生のところは行くな。これからは俺の家で暮らしたらいい。加藤村がお前の家だ」
団蔵の言葉が嬉しかった。
団蔵の方が半助より好きだとかそういうわけではない。きり丸は「自分の家」が欲しかった。居場所はたくさんある。学園の寮もそうだし、半助の長屋もそう。友達の家だっていつでも泊めてもらえる。だけど、それは「居場所」で「自分の家」ではない。
家に帰る。この言葉にずっとあこがれていた。その家がたとえ隙間風吹くボロヤでもいい。傾いていて家の中では立って歩けないような家でも構わない。自分の家なら。
自分の持ち物を置いて、自分の気に入った絵を壁に張る。したことのない万年床にもあこがれる。誰に気を使わなくてもいい暮らし。団蔵と二人だけの気ままな暮らし。
きり丸は土井半助に気を使っていた。半助はいつでも優しかったし何でも自由にさせてくれた。小さい頃はそれでよかった。それで楽しかった。
だけど、だんだん成長するにつれ自分を意識する。自分がいるから半助も自由な暮らしができない。自分がいるから食費も余計にかかる。そして何より気になるのが自分がいるから半助は結婚できない。
団蔵の申し出にためらいながら「ありがとう、俺、荷物は少ないから」と言った。
荷物をまとめると本当に少なかった。余計なものは買わないし、すぐに売ってしまうから当然だが自分でも驚くほど少なかったのだ。
迎えにきた団蔵も驚いた。
「これだけ?処分したのか?」
「ううん、これだけ」
きり丸の引っ越しに半助は反対しなかった。近年、自分に気を使いだしたきり丸を見ていて辛い時もあったからだ。だけど、これだけは伝えたい。
「きり丸、私はお前に愛情を持っている。今までも、これからも。ずっと」
バイトから戻ると飛び込んできた玄関で言われる。ここで半助に飛びついていたころにはこんな日が来るとは思ってもみなかった。
「うん」
半助の優しいながらも真剣な表情に気圧される。
「許してくれ。お前に情愛を与えてやれなかったことを」
今度は返事が出来なかった。「愛情」。「情愛」。人が生きていくにはどちらもいる。本能的に誰もが知っている。だから、その両方を与えてくれる人を選ぶのだ。
きり丸も半助を好きだった。「愛情」は持っていた。だけど、「情愛」は持てなかった。大きくなってわかった。思いやる事は出来ても、愛する事はできなかったのだ。
団蔵はきり丸の手を引いて歩く。きり丸はその手を離さない。
「今日からお前は加藤村のきり丸だ。俺の持っているすべてが俺とおまえのものだ」
きり丸にとって団蔵が「愛情」と「情愛」を与えてくれる人なのだ。そして、きり丸も団蔵に「愛情」を持っているし、「情愛」を捧げる事ができるだろう。
きり丸は半助から最後に渡された小さな板をぎゅっと胸に抱いた。それには「きり丸」と書いてある。これから移り住む家にかける表札だ。半助と暮らしていた長屋には「土井半助」の表札だけが掛かっていた。自分の表札にあこがれはしたが、自分の家ではない場所にはかけたくない。そんな思いがずっとあった。だけど、今日からはこの表札をかけるのだ。団蔵と二人で住む家に。
「加藤村のきり丸・・・」
きり丸は今日から「家に帰れる」のだ。




あとがきです。
お久しぶりです。
今回のネタはなんだかどうなん?って感じですね。
これはきりちゃんが5,6年生くらいになったときのお話です。
15,6になったらきっといろいろ考えてしまうと思うのです。
そして、今まで「大人」と感じていた先生に対しても気を使ったり。
きりちゃんの目線がどんどん先生に近付くと二人の関係はうまくいかないようになると思うのです。
そんな感じのお話でした。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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