かわいいきりちゃん。
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 団蔵はノンキにお風呂から帰ってきて、またノンキに布団に転がった。今日の倉庫の片付けはきつかった。なんだって、実技の授業で倉庫の片付けなんてしなくちゃならないんだろ?そう思うと、すぐに小松田の顔が浮かんでくる。へっぽこ事務員小松田さん。本当にへっぽこだけど憎めなくて団蔵だって大好きなのだ。
「団蔵!団蔵!」
きり丸の声がする。団蔵は起き上がって廊下の方を見た。
「感がわるいなぁ。こっちだよ!」
自分だって感が悪いくせに、きり丸は笑いながらそおと押入れを開ける。その格好は女の子で、知らないものが見れば女の子にしか見えないくらい女の子だ。
「こんな所で何してるの?」
団蔵はきり丸が押入れから出やすいように手をつかんだ。手を握り返したきり丸だが
「ダメなんだ。かくまって欲しいんだ」
真剣な顔つきである。一体、何がどうなれば、女の子の格好で押入れの中に隠れないといけないのか?団蔵にはさっぱりわからない。
「悪い奴に追われているんだ」
「はぁ?悪い奴って?」
思わず声をあげてしまった団蔵の口をきり丸は自分の手でふたをする。なかなかの勢いであったので、なかなかに痛い。他の者にやられればそんなに気の長くない団蔵だからけんかになっていたかも知れない。相手がきり丸だと腹が立つ前に、口に手をつけられてドキドキしてしまった。
「見付かったらひどい目に合わされるんだ!かくまって!お願い団蔵!」
「うん、うん。いいよ」
大して理由も聞かないのに「いいよ」なんて言ってしまう。これが「ほれた弱み」と言うものか?
「ふぅ~よかった。一安心だぜ!」
きり丸は押入れの壁にもたれかかった。なにせ、行儀が悪いのだ。足も広げて座るから中身が見える。しかも、押入れの上の段に登っているものだから団蔵の目線にしっかりと。女の子の格好でそんな座り方をされると団蔵は目のやり場に困った。しかし、注意するのも変だしと思ってさりげなく足を閉じさせるが、すぐにまた広げる。
「きり丸、女の子の格好でそんな座り方しないでよ」
たまりかねて言ってみる。きり丸はニヤッと笑うと
「団蔵、エッチぃ」
なんて言っている。『ダメだ、こりゃ・・・』なんていまどき誰も知らない台詞を心で呟いた。
きり丸の着物の中身は見ないようにして、話題を戻した。
「一体、誰に追われてるの?」
「あのさ、俺さ、今日の倉庫の片付けサボったじゃん」
きり丸はすまなそうに「へへへ」と笑いながら言った。
「乱太郎としんべエ怒ってたぞ」
「そうなんだ、二人が怒っちゃってさぁ。でも、なにも言いつけることないだろう?」
「つまりさ、きり丸の言っている悪いやつってのは土井先生?女の子の格好しているのは片付けサボってバイトに行っていたんだ」
団蔵は苦笑いで言った。きり丸は団蔵が見てきたように正解をするのを聞いて手を叩いて喜んだ。
「正解!さすがは団蔵!」
「誉めてくれるのはうれしいけど、こんなのは誰でも分かると思うなぁ」
きり丸はまた「へへへ」と笑った。団蔵にその照れたようななんとも言えない笑顔が可愛かった。
「乱太郎達さぁ、よりにもよって土井先生に言うんだぜ。実技の授業なんだから山田先生に言えばいいのに」
それは、乱太郎達の気遣いだったのか、それとも、きり丸を厳しく叱るのは半助の方が適任とおもったのかは団蔵には分かりかねるところだった。
「どうして、言いつけられたってわかったの?」
「さっき、二人が職員室から出てきたから。山田先生は今日は見張り番の当番だから土井先生しかいないだろ?名推理だろ?」
「どうかなぁ、それだけで言いつけに言ったとは限らないじゃない。僕だったらきり丸のこと言いつけたりしない」
 もし、本当に乱太郎達が言いつけた場合、自分は味方だとしっかりきり丸に言っておきたい団蔵なのだった。ルームメイトでなんでも一緒に行動する二人と違って、自分を売り込んでおく必要があると常々感じている。
きり丸は、足を広げた格好のまま頭の上で腕を組む。
「団蔵は優しいからさ。でも、あいつ等、ちょっとの事でおこるんだもん」
ここは乱太郎、しんべエを庇い立てるべきなんだけど、思わず黙ってしまった。
「ね、お腹空いたろ?ほら」
団蔵はおせんべえの袋をくれた。きり丸は夕飯も食べてないし、お風呂もまだだったので大喜び。
「食べていいのか?」
「いいよ!みんなあげるよ!」
『虎若のなんだけどね・・・・』
心で虎若にわびながら、おせんべえの袋を開けてやった。
「ねぇ、きり丸、今夜はここで寝る気?」
「ダメ?」
きり丸は団蔵に邪魔にされていると思ったようだった。それが団蔵にもわかって慌てて首をふる。
「そ、そんな事ないよ!泊まってけばいいよ!!」
「そう言うわけにはいかないだろう」
廊下の方から声がする。その声は聞きなれた声で、今は聞きたくない声だった。
「げ!先生!!」
見回りの半助であった。団蔵は慌てて押入れを占めようとしたが半助のスピードに敵うわけもなく、押入れの戸はしっかりと固定されてしまった。
「きり丸、出ておいで」
きり丸が押入れでグズグズと時間稼ぎをしていると、廊下をどたどたと走る音が聞こえてきた。乱太郎たちである。
「先生~きりちゃん、見付かりましたか?」
どうやら、二人もきり丸を探していたようだ。
『二人ともそんなに俺が怒られればいいって思ってんのか?』
きり丸は二人の薄情さに傷つきながら、団蔵の後ろに隠れる。
「団蔵、助けて」
こんなに明らかにきり丸が悪い状況できり丸を庇うのは団蔵だって苦しいのだけど、きり丸に頼まれて嫌とはいえない団蔵なのだ。
「きりちゃん!どこに行っていたの?」
乱太郎は明らかに怒っていた。しんべエだって怒っているらしい。
どこに行っていたかなんて聞かれたってバイトに決まっているのに。半助の前で聞くなんて意地悪な乱太郎。
「・・・・・」
答えに困って黙っていると団蔵が庇ってくれる。
「先生、許してください!きり丸は反省しています」
「反省しているようには見えないけど・・・」
団蔵だってそう思うがそうしか言いようがないのだ。自分の背中の後ろでふて腐れているきり丸は誰がどう見たって反省なんてしていないように見える。実際にきり丸は反省していない。反省どころか、乱太郎たちが言いつけた事に拗ねたい気持ちでいっぱいだった。
「反省なんてしないもん。乱太郎としんべエの馬鹿・・・」
ものすごく勢いのないきり丸。自分が悪いのは充分に分かっている。それでも、二人が半助に言いつけたことがなんだかとっても悲しかったのだ。こんな事を言えば半助に怒られるのも分かっているし、乱太郎たちとケンカになるのも分かっている。でも、それでも。団蔵の背中に隠れている情けない状況なんだけど、それでも。
「ひどいよ!きり丸!どうして馬鹿なんて言うの?」
やっぱり、しんべエが言い返す。きり丸は「お前らが先生に言いつけたからだろ!」と言いたいところだが、それはいくらなんでも言いにくい。
「お前ら、ちょっと友達甲斐ないぞ!言いつけたりして!!」
きり丸の代わりに団蔵が二人に向かって糾弾した。が、二人はキョトンとしている。
「言いつける?何のこと?」
「きり丸が授業をサボって、バイトに行った事を言いつけたじゃないか!」
「ほぅ。授業もサボってたのか!?」
団蔵の言葉を聞いて今まで黙っていた半助が身を乗り出す。乱太郎としんべエは、苦い顔を作っていた。
「団蔵の馬鹿!」
「え?え?」
団蔵は事態が飲み込めない。もちろん、きり丸も飲み込めない。二人は顔を見合わせたり、半助を見たり、欄太郎を見たり、しんべエを見たり・・・
「団蔵、お前にしては不用意だったなぁ」
半助はニヤッと笑った。乱太郎が観念したように事の次第を話す。
「私たちはね、土井先生にきり丸がなかなか帰ってこないから「帰ってこない」って言っただけで授業の事は言ってなかったの」
「そうだよ。きり丸、ご飯も食べてないし、心配だったから」
話がわかって、団蔵は真っ赤になる。つまりは自分がきり丸を言いつけてしまった事になる。
「きり丸!ごめん!!」
「・・・・・・」
きり丸は返事が出来なかった。なんて言っていいのか分からなかったのだ。団蔵に悪気はなかったし、乱太郎たちも自分を庇ってくれていた。でも、これから自分は半助に叱られるであろう。自分は誰に文句を言えばいいのだろう?
「この場合、誰が悪いの?」
「お前だよ!!」
半助はきり丸に軽く拳骨を食らわして言い渡す。
「バツとして「ごめんなさい」って200回書いて寝るまでに持って来い」
「200回も!寝るまでになんてとても無理だよ!!」
半助に泣きつくきり丸。団蔵はなんだか面白くない。
「きり丸、半分手伝ってやるよ。僕も悪いんだし」
「本当?団蔵!」
嬉しそうに団蔵に抱きつく。そんな風に目の前でされればルームメイトで仲良し三人と言われている二人だって黙ってはいられない。
「仕方ないよね」
「うん」
結局、4人で50回づつ書いて許してもらった。
後日、団蔵がせんべえのことで虎若に責められるのを半助は見た。
『団蔵も大変だ・・・』
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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