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揚巻さん-2-
翌日、半助はお昼を食べて出かけていくきり丸を付けて行った。半助の尾行に全く気が付いていないきり丸は、いつもどおりに、裏口から入っていった。
『さて、どうしたものか?』
半助は少し考えてから、表にまわりチケットを買って中に入っていった。売り子が一番、回りそうな通路側を選んで座る。きり丸が販売に来たときに捕まえてやるつもりなのだ。
が、販売に来たのはきり丸よりずっと大きな女の子だった。役者見習らしい、その子は派手な着物で愛想を振りまいている。
『・・・・ハズレだったかな』
半助はそう思って、きり丸を探してみたが、どこにもいない。そうこうしている間に幕が開いた。どう考えたってきり丸が見るには問題のある芝居が展開される。話の内容的にもきり丸が役者として出てくる内容ではない。それに、素人がそんなに簡単に舞台に上がれる甘い世界ではない。さっきの売り子の役者見習がいい例だ。最初はあんな風に下積みなのだろう。
『じゃあ、きり丸はなんの仕事をしているのだろ?』
とうとう、きり丸を発見できないまま幕が下りてしまった。そして、カーテンコールが始まった。先ほどまで熱心に敵役を演じていた役者同士が手をとりあって挨拶している。
「皆様、本日は誠にありがとうございます。今日の演目はいかがでしたでしょうか?よかった、すばらしかったとお思いの方はそのお気持ちを頂戴出来れば幸いです。今から、かわいい揚巻さんが皆様の元へ籠を持って回ります。どうか、かわいい揚巻さんを喜ばせてやってください」
座長の挨拶とともに、舞台の下手からかわいらしい女の子が揚巻の格好でシズシズと出てきた。揚巻はにっこりと笑って頭を下げてから、舞台から抱き下ろされる。それから、長い裾を引きずって、観客、一人一人に挨拶しながら籠を差し出す。その仕草が幼くて誠にかわいらしい。揚巻の籠には次々と小銭が入れられていく。中には揚巻の手を握ったり、おしりを触ったりするものもいるが、当の本人は少しも動じずニッコリの笑顔で答える。とても小さな女の子とは思えない度胸だ。
『・・・・きり丸』
半助はしばらくきり丸が揚巻とは気が付かなかった。顔はばっちりと化粧がされているし、大きな帯のせいで体系だって全くわからない。声だって女の子そのものなのだ。しかし、よくよく見てみるときり丸なのだ。声だってよくよく聞いてみるときり丸だ。
「ありがとうございますぅ」
きり丸の方は全く半助に気が付いていないので、半助にも笑顔で籠を差し出して、そのまま動きが止まった。
「先生・・・・」
「かわいい格好だな、きり丸」

きり丸が芝居小屋の裏口から出てくると、半助が待っていた。別に驚かない。きっと、待っていると思っていたからだ。そして、きっとここのバイトはやめなさいと言われるに決まっている。
「お疲れさん」
「ただいま」
まだ、家に着いたわけでもないのに「ただいま」は少しおかしいがそれ以外に言う言葉を知らなかったのだ。
「揚巻さんは時給がいいのか?」
「うん。女の子じゃできないからね」
家にむかって歩いている途中、半助は聞いてきた。意外に怒った声でもなかった。きっと、ものすごく怒っていると思ったのに。
「どうして女の子はできないんだ?」
これは意外だった。揚巻は本来、女の子じゃないだろうか?どうして男の子じゃないとできないのか?
「だって、女の子はおしりとか触られたら泣くじゃん。怒りっぽいし」
「なるほどね」
半助はすっかり感心してしまった。確かにそうである。学校でもくノ一教室は扱いにくい。女の子は総体的にあつかいにくい場合が多いのだ。
「俺は、先生のせいで慣れてるからさ」
「そう言う言い方は誤解を招くじゃなか!お前が慣れているのは叩かれ慣れているからだろ!」
「痛くない分、あっちのほうがましだね!」
バイトを失ったと思っているきり丸は機嫌が悪い。せっかく、楽でいい時給だったのに。
「いい子にしていれば痛い事なんてないんだよ!」
半助は笑いながらきり丸を小突いた。なんだか、半助が怒っていないような気がする。それならばチャンスだ。きり丸は得意の上目遣いで
「揚巻、やめないとダメ?」
こんな顔で言われては、甘くなる。それに、このバイトはそんなに悪いものでもない。条件さえ守れれば続けても問題はないだろう。
「条件があります。休みの間だけ、夜の公演は受けない事。それから、お芝居の台詞は使わない事!これが守れたらいいよ」
「本当!?」
半助の意外な理解にきり丸は大喜び。
「ああ、時給がいいなら仕方ないさ」
「やった~!!」
今に、チケットの売りさばきにも手を伸ばすつもりだったのに、こんな所でポシャッてられないきり丸は嬉しさのあまり、スキップになった。スキップのきり丸に嫌な予感を覚え、早くも後悔する半助なのだった。
『私って苦労がすきだなぁ・・・』







あとがきです。
結局、苦労をしょい込む先生です。
なんかもう、そういう運命・・・・
でも、そんなに悪いバイトではないと思います。
ちなみに私、高校生の時に夏休みに遊園地でショーの司会のバイトをしていました。
司会は着ぐるみもきないでいいですし、時給もいいのでおいしかったです。
でも、ちょっと恥ずかしかったです・・・・
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この記事に対するコメント

揚巻って言葉、ここで初めて知りましたよ。
なるほどそんな仕事があったのですね~。
勉強になりました。

今回はきりちゃん叱られなくてよかったですね。
下手したらお尻ペンペンものですもんね。
これで調子に乗って他の変な仕事(どんな?)に手を出さなきゃイイですけどね^^;

封神演義、ご存じでしたか~。
私は天祥くんが好きですね。太公望も。
太公望の「にょほほ~」と簡略化されているバージョンのぬいぐるみ
ほしくて自分で作っちゃったぐらい好きです。
へたくそですけどね。
【2009/08/01 23:02】 URL | セディール #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> 揚巻って言葉、ここで初めて知りましたよ。
> なるほどそんな仕事があったのですね~。
> 勉強になりました。
>
> 今回はきりちゃん叱られなくてよかったですね。
> 下手したらお尻ペンペンものですもんね。
> これで調子に乗って他の変な仕事(どんな?)に手を出さなきゃイイですけどね^^;
>
> 封神演義、ご存じでしたか~。
> 私は天祥くんが好きですね。太公望も。
> 太公望の「にょほほ~」と簡略化されているバージョンのぬいぐるみ
> ほしくて自分で作っちゃったぐらい好きです。
> へたくそですけどね。





こんにちは~
お勧めのみかんにっき読みました。
近くの本屋になくてブックオフにて購入です。
涙あり、笑いありのストーリーですね。
私はみかんちゃんとママがすきです。
猫、ほしくなりました。
もともと犬のほうが好きだったのですが。
【2009/08/13 09:14】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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