かわいいきりちゃん。
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三治郎がやってきた -2-
「家出?なんで?叱られたの?」
かつて兵太夫がその理由で家出してきた。しんべエだってその理由だ。きり丸自身、その理由で家出したことがある。
が、三治郎は違うようだった。無言で首を振っている。
「僕は叱られる勇気が無いから家出してきた卑怯者なんだ・・・」
「悪い事、したのか?」
ちょっと驚いた。真面目な三治郎がいたずらをしたのだろうか?それとも、もっと悪い事?
「うん・・・」
うつむいて答える。きり丸はますます驚いた。三治郎のうなだれようを見ると、ちょっとやそっとのいたずらではないらしい。もしかすると、お店のものを勝手にもって帰ってきちゃったとか?前に半助がそんなのは絶対にしちゃいけないって言っていた。とっても悪い事で、謝っても泥棒として牢屋に入れられちゃうんだって。
それとも、よそのお家に火をつけたとか?これだってとっても悪い事だ。以前に近所であったのだ。犯人は馬に乗せられてみんなから石をぶつけられたりして引き回された挙句に貼り付けになったらしいと聞いている。
きり丸はドキドキしながら次の質問をした。
「ど・・・どんな事、したんだよ?」
「・・・・・・」
黙ってしまった三治郎にきり丸はいよいよ怖くなってしまった。きり丸は真面目で優しい三治郎が大好きだ。だから三治郎が牢屋に入れられたり、貼り付けになったりするのは嫌だった。
「なぁ・・・言ってくれないと分からないだろ?」
「・・・・僕ね」
「うん」
「僕・・・」
三治郎は本当に言いにくそうだった。きり丸にも緊張が走る。
「おう!」
「父さんの山伏の衣装を引っ掛けて破いちゃったんだ・・・」
「えぇ?」
あまりに他愛もない事にきり丸は変な声を上げてしまった。きり丸が半助のものを壊してしまうなんて日常茶飯事だ。それのたびに家出していては、家に帰ってこれる日がなくなってしまうくらいだ。
「わざとじゃないよ!いたずらでもないよ!」
きり丸の上げた声が真面目な三治郎には非難の声に聞こえた。それくらい自分は悪い子だと思っているのだ。
「・・・じゃあ、なんで引っ掛けたのさ?」
今まで緊張して聞いていた分、がっくりと力が抜ける。きり丸だけではない。奥の部屋で聞いていた半助もがっくり力が抜けた。
『三治郎・・・』
二人を脱力させているなんて知る舒も無い三治郎はまだ、真面目に話している。
「父さんの衣装を陰干ししておこうと思って・・・それで・・・」
「ふ~ん、だったら父ちゃんにごめんねって言えばいいじゃん」
今ではすっかり寝転んで頬杖でもつきたい気分になっているきり丸。しかしながら、三治郎の性格を考慮してそれはしなかった。
「言えないよ・・・父さん、とっても大事にしている衣装だもの」
三治郎の目には涙がたまっている。面倒くさい気持ちを抑えながらもきり丸は頷いた。
「そうだなぁ。言いにくいときもあるよなぁ」
なんて適当に三治郎にあわせる。
「きり丸、きり丸はどうしてるの?」
「どうしているって言われても、俺、父ちゃんいないし」
「でも、一回くらいは父さんのものを壊した事、あるでしょ?」
「さぁ・・・父ちゃんが死んだとき、小さかったし・・・」
別に面倒くさくなっての返事ではない。本当にわからないのだ。きり丸が父親と暮らしていたのはずいぶんと小さい頃だ。覚えていないのだ。
「ごめんね、きり丸・・・」
三治郎は鼻水をすすって言った。
「気にすんなよ!俺には先生、いるしさ!」
乱暴に背中を叩く。こうして、三治郎を慰めたのだ。
それを聞いて三治郎は、ぱっと思いついた顔になり、
「ねぇ、じゃあさ。土井先生のものを壊したときはなんていってるの?」
「え・・・。ごめんなさいかなぁ・・・」
『嘘つき・・・』
ふすまの向こうで聞いていた半助は思わず突っ込んだ。きり丸は半助のものを壊したときも、勝手に売り払ったときも、いつだって素直に謝った事なんて無い。
「俺、知らないよ」
と、最初は嘘をつく。それから、追い詰められて認めるのだ。それでも、時々はヘソをまげて謝れず、中庭に放り出されたり、押し入れに入れられたりして謝っているのだ。
「きり丸、えらいね」
真面目な三治郎は全く、きり丸を疑わず尊敬の目を向ける。そんな目を向けられる事なんてめったにないきり丸は力強く頷いて
「三治郎もさ、ごめんなさいって言ったほうがいいよ。黙っていてもさ、引っ掛けたのは治らないんだしさ、結局はばれちゃうだろ?」
なんて、立派な事を言っている。ふすまの向こうの半助は笑いを堪えた。
「黙ってても落書きは消えないし、いずればれちゃうんだぞ!」
と、おしりを叩かれたのはほんの二日前だ。それなのに、きり丸ときたらえらそうに。
『人の事なら言えるのにねぇ』
半助は笑いながらそう思う。
「きり丸・・・。僕、勇気がない・・・」
三治郎はすっかりうつむいてしまった。
「勇気がなくてもばれちゃうんだよ。俺だって本当はいつだってばれちゃうんだぞ!」
うつむいた三治郎を気遣ってつい、本当の事を言ってしまった。
「ばれたらどうなるの?」
「おしり、叩かれるんだよ・・・」
「え!?本当!?」
「あっ!でも、土井先生は意地悪だからさ!きっと、三治郎の父ちゃんは謝ったら許してくれるよ」
半助だって素直に謝ればおしりを叩いたりはしない。いつだってきり丸が嘘をついたり、逆ギレしたりするのが問題なのだ。
『誰が意地悪だよ』
半助が聞いていることなんて全く考えていない二人はさらに話を続ける。
「土井先生、意地悪じゃないと思うけど・・・」
「学校ではね、でも、家では意地悪なんだよ!」
それからきり丸は半助がいかに意地悪かを話し出した。
「あのね、先生はね、ちょっとでも帰りが遅くなるとさ、こらって怖い顔でにらんむんだぞ!裸足で土間に下りても怒るしさ、宿題だって手伝ってくれないしさ。おやつも少ししかくれないし、ジュースもくれないし、イタズラしたらすぐにおしり叩くし、押し入れに入れるし、中庭に放り出すしさ!!意地悪なんだぞ!」
「ふ・・・ふ~ん・・・」
「この前だってさ!先生の本に落書きしたらさ、おしり叩かれたんだぞ!ちょっとしか書いてないのに!」
「落書き・・・」
「その前はさ、干してあった布団に手形をつけたら押し入れに入れられたんだぞ!」
「すごい事してるね、きり丸・・・」
三治郎は半助が意地悪かどうかはわからなかったが、学校でもイタズラ好きのきり丸が家ではもっとイタズラ坊主だという事はよく分かった。
そして、こんなすごいいたずらをしてもその程度のバツしか受けなかったのだから自分だって素直に謝ればなんとかなるんじゃないかと思い始めた。
「きり丸、僕、帰るよ。帰って父さんに謝る」
きり丸には三治郎が突然帰ると言った意図が分からない。
「なんで?まだ、話の途中だぞ?」
「うん。でも、早く帰らないと遅くなるから」
家出してきたのに遅くなるのを心配するなんて。やっぱり生真面目な三治郎。
「え~?泊まってけば?」
一人っ子のきり丸は休み中にクラスメイトが来てくれるのが嬉しい。だから、つい引き止めてしまうのだ。
「でもぉ・・・」
「いいじゃん!俺の布団、半分コしてやるからさ!」
きり丸の強引さに負けそうになる三治郎を思って半助はここで口を挟むことにした。
「きり丸、だめだよ。三治郎が困ってるだろ?」
突然、ふすまが開いたので二人は振り返った。半助は、声を出さずにきり丸に「めっ」としてから、三治郎に向かって
「気をつけて帰るんだぞ」
と、声をかける。こうして三治郎は帰っていった。




あとがきです。
今日はやけに長くなってしまいました。
すみません。
明日で終わるのでよろしくお願いします。
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この記事に対するコメント

>三治郎は半助が意地悪かどうかはわからなかったが、学校でもイタズラ好きのきり丸が家ではもっとイタズラ坊主だという事はよく分かった。

めっちゃ面白かったです。
あきれながら聞いている三治郎が目に浮かびます。
【2009/06/18 20:07】 URL | いちごチョコ #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> >三治郎は半助が意地悪かどうかはわからなかったが、学校でもイタズラ好きのきり丸が家ではもっとイタズラ坊主だという事はよく分かった。
>
> めっちゃ面白かったです。
> あきれながら聞いている三治郎が目に浮かびます。


ありがとうござまいます。
三治郎はアニメでよく出てきますが原作ではでてこないですね~
やはり、主人公と同じ特技では影がうすくなるのでしょうか?
【2009/06/21 10:49】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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