かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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耳掃除
ガサッ
そんな音が聞こえてきり丸は後ろを振り返った。
でも、誰もいないし何もない。
「気のせいかな・・・」
一人、そう呟いてまた内職に精を出す。
ガサッ
またそんな音が聞こえた。
さっき、確認したときはなにも無かったがもう一度確認した。
やっぱり、誰もいないし、何もない。
「なんだか気味がわるいや」
誰もいない家で物音がする。
誰もいないと思っているのは自分だけで、本当は誰かいるのかもしれない。目に見えない誰かが。
ちらっとそんな事を思うともう怖くて内職どころではない。
きり丸はじっと座っていられなくて表に出た。
「先生、早く帰ってこないかな・・・」
半助は夕飯の買い物に出かけた。内職があるので留守番していたが、こんなことならついて行けば良かった。
昼間は日差しがきつくなってきたが夕方はまだ涼しい。
気持のいい風がきり丸の前髪をなでて行く。
「みんな、どうしてるかなぁ」
学校が休みになってもう長い。普段は日々の生活が忙しく、しみじみと思うことなんてないのだけど、こんな風に一人涼しい風に吹かれているとクラスメイトが今頃、何をしているか気になったりする。
「乱太郎は父ちゃんと畑かな。しんべえは毎日、おいしいもの食べてるんだろうなぁ。団蔵は馬に乗ってるだろうなぁ」
三人まで思い出したところで半助が帰ってきた。
「どうしたんだ?こんなところで」
内職をしているはずのきり丸が表にいる。半助は首をかしげた。
「なんか、変な音がするんだ・・・」
先ほどまでの事を半助に訴える。
「変な音?」
きり丸の話を聞いても怖がる様子もなく半助は家に入って行った。その後をおそるおそるついて行くきり丸。
「何にもないぞ?」
「もっと奥の方だよ。ガサッって音がしたんだ」
きり丸の指さす方向を何度確認しても何もない。
「怖い、怖いって思っていると聞こえるんだよ」
夕方に一人で家にいたことで怖くなったんだろうと半助は笑った。だけど、きり丸は確かに聞いたのだ。
「そんな事ないよ!ガサッって音だよ!!」
「大丈夫だよ。何もないよ」
半助は取り合わないで、夕飯の支度を始めた。いつまでもぐずぐずしていては遅くなってしまう。寝る二時間前までに夕飯をすませておかないと胃腸に悪いのだ。それは子供のきり丸にとってもそうだし、胃の悪い自分にとってもそうなのだ。
何事もなかったように夕飯の支度にとりかかる半助の背中にきり丸は訴える。
「ホントだってばぁ!!」
だけど、半助は振り向きもしないで
「はいはい」
なんていかにも「適当です」といった返事をした。
「もう!!」
怒りとともに大きく頭をふるとまたさっきの音が聞こえてきた。
ガサッ
「あ!!また!!」
確かに聞こえた。きり丸はあわてて土間にいる半助にくっついた。
「先生、聞こえたでしょ?あの音?」
「は?どの音?」
どうやら半助には聞こえなかったらしい。
「ちゃんと聞いてよ!」
そう言って半助を見上げるとまだ聞こえる。
こんなにはっきり聞こえるのに、どうして半助は取り合ってくれないのだろう。
悔しいのと、怖いので涙目になる。
そんなきり丸を見て、事態の深刻さを理解した半助はきり丸をじっと観察した。
半助の見るところ、きり丸が頭を振るたびに聞こえるらしい。そうなれば答えは簡単だ。
半助は部屋にあがって胡坐を組む。それから膝をぽんぽんと叩いた。
「ここに頭をおいて寝てごらん」
この非常事態に寝ろとはのんきなことを!きり丸は文句を言ってやろうと半助をにらんだ。そして気がついた。半助の手には耳かきが握られている。
「・・・・」
「そう言えば、長い間、耳掃除、してないもんなぁ」
言われてみれば、そのとおり。長い間してもらっていない。
言われてみれば、そのとおり。さっきのガサッは耳の中で聞こえたような・・・
半助の膝に頭を乗せて耳掃除をしてもらうのは大好きなのだ。
「ひゃっひゃっひゃっ!」
くすぐったくって何度も声を上げてしまう。
「こら、動くとあぶないよ」
この言葉も何度も言われる。
「先生、俺、今日ね、みんなの事、思い出したよ」
不意にきり丸言う。
「うん?」
「みんなの事。みんなは何してんのかなぁって」
長期休みに入るときり丸は自分と二人きり。寂しいのだろうか?
半助はこんな時になんて言っていいかわからない。
他の子はみんな、親と楽しい休みをすごしているのだろう。まだ10歳の子供が親と離れて寮生活をしているのだ。休みになれば甘えるのが普通だろう。
だけど、この子は親がいない。
毎日、自分と二人きり。毎日、バイトや内職に忙しい。
10歳の子供には辛いことなのかもしれない。
「学校、早く始まるといいな」
半助がやっとの思いでそう言うと、きり丸はクスッと笑った。
きっと、半助の考えていることがわかったのだろう。
「先生、違うよ。俺、学校も好きだけど家の方が好きなんだよ」
「どして?」
まぁ、学校では毎日、授業もあるし、家よりも自由が少ないかもしれないなと思う。
「だって、先生、いるじゃない」
意外な答えだった。だって、学校でもいつも一緒にいるじゃないか。担任なんだもの。
「学校にだって私はいるだろう」
「学校ではみんなの先生でしょ。家では俺の恋人だからさ」
こんな事、面と向かっては言えない。だけど、今日みたいに耳掃除をしてもらいながらならお互い、顔を見ないから言いやすい。
「終わったよ・・・」
半助は今度はさっきと違った意味でなんと言っていいかわからなかった。要するに照れているのだ。
「先生は違うの?」
きり丸は起き上がって頭を振ってもう音がしないかを確かめる。どうやらしないようで、小さな声で「よし」なんて言っている。
「ねぇ、先生は家でも俺は生徒なの?他の奴らと同じなの?」
今度は不満げな様子。
「そんな事ないさ!家では恋人だよ」
あわてて言う。こう言うことははっきりさせておくに限るのだ。でないと、余計なケンカのもとになる。
「そうさ!だから寂しくなんかないんだよーだ」
きり丸はふざけた仕草であっかんべーをして見せた。
面と向かって言われればやっぱり照れくさいようだった。




あとがきです。
今回はいちごチョコさんが考えてくださったネタです。
ありがとうございます。
最近、更新しない日が多いし、人さまのネタばかり・・・
「ネタがつきやがったな・・・」
と、お思いの方もおられる事と思います。
・・・正解です!!
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この記事に対するコメント

音がするまでって、きりちゃんどれだけ溜めてるんでしょうか!
人からしてもらうのって本当こそばゆいですよね。
そして面と向かって言えないこと、こういう状態だと言えたりもするんですよね。でも赤面して身をよじりながらですけど。
【2009/06/10 20:48】 URL | いちごチョコ #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> 音がするまでって、きりちゃんどれだけ溜めてるんでしょうか!
> 人からしてもらうのって本当こそばゆいですよね。
> そして面と向かって言えないこと、こういう状態だと言えたりもするんですよね。でも赤面して身をよじりながらですけど。


こんにちは~
音がするって事は相当ですよね。
私、耳鼻科で小指の爪の半分くらいのが出現しましたが、音はまったくしませんでした・・・
【2009/06/11 18:09】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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