かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

網問の幸せ
きり丸は隣の間切を見ながらなんとも言えない声で話しかける。
「ねぇ、間切さんは網問さんの事、どう思う?」
間切はごくあっさりと答えた。
「馬鹿だと思う」
「そうじゃなくて。・・・そうかな・・・」

網問を見れば岩場でふざけて足を滑らせて海に落ちる瞬間だった。こんな瞬間を見れば間切の答えも納得できる。だけど、きり丸が聞きたかったのはそんな事じゃない。この前、網問に自身の生い立ちの一部を聞いたのだ。聞けばなかなか悲惨な生い立ちだ。親に売られるなんて。それでも網問は明るく元気だ。そんな網問の本当の気持はどうなのか?というのが質問の真意だったのだ。
「網問はね、本当に馬鹿だよ」
間切はまたも言った。
そんな風に言われているなんて知らない網問はびしょ濡れで岩場に這い上がってきて今度はワカメを振り回している。なんだか本当に馬鹿っぽい。
「そんなんじゃなくてさぁ。網問さんは寂しくないのかなって・・・」
そう言ったきり丸はなんだかバツが悪そうだった。間切はちらっときり丸を見る。きり丸は目をそらす。
「寂しいって?」
「その・・・お父ちゃんに会いたいとか、お母ちゃんに会いたいとか・・・」

間切はきり丸の真意を悟った。きり丸は寂しいのだ。お父ちゃんに会いたいのだ。お母ちゃんに会いたいのだ。無理もない。まだ10歳だ。寂しくないはずはない。だけど、それを素直に言う事が出来ないのだ。
「ははは、どうかなぁ。あいつは馬鹿だから、親のことなんて忘れちゃったのかもしれないな」
親の事を忘れる子供なんていない。そんな事、間切だってわかっている。だけど、この場合、そう言うことが正しいのだと判断した。この子の親はどこを探してももう会うことはできない。だから、この問題を切々と語りあっても辛い思いをさせるだけなのだ。
「忘れちゃうの?」
少し悲しそうなきり丸。
内心、どぎまぎしながらも平然とした笑顔で返す。
「ああ、あいつは馬鹿だから」
きり丸はまた一段と寂しそうな声になって
「ふぅん・・・俺も馬鹿だから・・・」
とつぶやいた。間切はこの状況は非常にまずいと感じていた。なんとかして話をそらしたいと思った。もうこのおチビさんと「寂しい、寂しくない」の話をするのは苦しい。だけど、ここで話をそらしてしまうのはなんだか卑怯な大人のやり口のようで嫌だった。
「あのさぁ、忘れた方がいいことだって多いんだぜ」
うまく説明できない。網問の場合は「親に売られた」のだから忘れた方が気楽だろう。忘れたいだろう。だけど、きり丸は違う。「親に先立たれた」のだから忘れられないだろう。忘れてしまうのは悲しいことだろう。
それくらいのことはちゃんと分かっているのにうまく説明できない。口下手な自分が疎ましい。
「俺・・・忘れちゃうのかな・・・」
「えっと・・・いや・・・あの・・・」

なんとか伝えたいと言葉を探す。
「忘れたくない事は忘れないものさ」
間切がしどろもどろになっていると後ろから声をかけられる。二人が振り返ってみたのは舳丸だった。
「兄貴・・・」
やれやれの面持ちの間切。
ポカンとした顔のきり丸。
「忘れないの?」
「ああ、宿題は忘れても遊びに行くのは忘れないだろ?それと同じだ」

舳丸は簡潔に言いきった。その言葉にきり丸は嬉しそうにうなずいた。なんだかとても納得がいったのだ。確かにそうだ。宿題はしょっちゅう忘れるけど、遊ぶのは忘れない。
「よかった」
「網問は忘れたくって忘れたんだ。まぁ、馬鹿だからってのも一概には違うと言い切れないけどな」

後半は苦い声の舳丸。その声の様子を見てとり、間切が聞く。
「またなにかしたんですか?」
「あの馬鹿、帆をたたんどけって言ったのに」

船の方を見ると立派な帆が風に揺れている。今は停船させているのに広げておいても帆が痛むだけなのに。
言いつけられたはずの網問は今もご機嫌で岩場で重とふざけている。
「網問!!」
舳丸に呼ばれて振り返る顔の嬉しそうなことったら。これから雷を落とされるとも知らないで
「あ、兄貴!!兄貴もおいでよ!楽しいよ!」
なんて舳丸に手を振っている。
「あ~あ、やっぱり馬鹿だなぁ」
間切はしみじみと言った。
「うんと叱るの?」
仲良しの網問の運命を思ってきり丸は心配顔だ。
「心配するな。あいつは叱られてもすぐに忘れるんだよ」
舳丸は無表情で言った。その内容はやはりこれからうんと叱るってことなのだ。
「かわいそうだよ」
きり丸は言ったが、舳丸は黙ったまま網問の方に歩いて行く。
「ねぇ!」
「ホントに心配しなくてもいいよ」

今度は間切まで言う。
「間切さんは網問さんが叱られてもいいの?」
「ははは、兄貴の言うとおり、網問は叱られてもすぐにケロッとしてるし、兄貴は網問に甘いからそんなに叱らないよ」
「ホント?」
「ほら!」

間切に言われて目を向けると、ちょうど網問が軽く頭をはたかれているところだった。それから慌てて駆け出す。その後をのんびりと舳丸が歩いて行く。
「・・・叩かれたよ」
「でも、これから帆をたたむのを兄貴は手伝うよ。きっと」

間切は意外なことを言った。
だけど、それは本当で2人は仲好く帆をたたみだした。その時の網問はとても楽しそうな顔で、その顔を見れば網問は幸せなのだときり丸は確信した。





あとがきです。
この前の網問さんの話がせつなかったので今回は幸せそうな網問さんを書いてみました。
過去に辛いことがあっても今は幸せって事を書きたかったのです。
間切さんが網問さんのことを何度も「馬鹿」って言ってますがそれも愛情なので許してください。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

インフルエンザのニュースを見ていて
「そういえばゆっちさん今まさに大阪じゃなかったっけ?やばいんじゃないか?」と
老婆心してました^^;
まぁ、日本は思わぬ経済効果があるのでちょっとは喜んで良いかもですね。
マスクや加湿器はこの時期は普通、売れませんからね~
とにかくお帰りなさいです。
今、忍たま系のサイトはウイルス出ているそうなので
ネットサーフィンの際にはお気をつけくださいです。
【2009/05/21 21:42】 URL | セディール #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> インフルエンザのニュースを見ていて
> 「そういえばゆっちさん今まさに大阪じゃなかったっけ?やばいんじゃないか?」と
> 老婆心してました^^;
> まぁ、日本は思わぬ経済効果があるのでちょっとは喜んで良いかもですね。
> マスクや加湿器はこの時期は普通、売れませんからね~
> とにかくお帰りなさいです。
> 今、忍たま系のサイトはウイルス出ているそうなので
> ネットサーフィンの際にはお気をつけくださいです。


こんにちは。
まぁ、インフルエンザにネットって。
世の中、ウィルスだらけですね。
ネットのウィルスってやっかいですよね。
いったい、誰がなんのために・・・
あれでしょうか?
なんか、こう悪の組織的なものの暗躍?とか思ってしまいます。
教えてくださってありがとうございます。
気をつけたいと思います。
【2009/05/22 17:29】 URL | ゆっち #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://tonarinoyutti.blog109.fc2.com/tb.php/400-4ff9ccfd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

となりのゆっち

Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
「友達になってやるか」って心やさしい方募集中です。



最近の記事



最近のコメント



月別アーカイブ



カテゴリー



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



最近のトラックバック



カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -



小さな天気予報


-天気予報コム- -FC2-



FC2カウンター



フリーエリア



フリーエリア



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。