かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

眠れない夜
「いってきま~す!」
きり丸は元気にご挨拶。
「明日の朝に帰ってくるだぞ」
きり丸の元気に対して、半助は心配顔だ。今日は今から伊助の家にお泊りなのだ。
「うん!」
「道に迷わないようにするんだぞ?」
「うん!」
「危ないことはするんじゃないぞ?」
「分かっているって!」
「帰るときには伊助のお父さん、お母さんにお礼を言うんだぞ?」

「大丈夫だって!!」
半助はまだまだ心配で言いたいことがたくさんあったが、きり丸は話をさえぎって出かけてしまった。
『大丈夫かなぁ』
伊助の家はそうは遠くない。しかし、きり丸はまだ行った事がない町だ。そこへ、たった一人で行かせるなんて。乱太郎の家に行くのはもう慣れているし、団蔵の家に行くときはいつだって団蔵が馬で迎えに来てくれる。だから、そんなに心配しないのだが、今回ははじめての試みなのだ。
『なんだって、伊助の家に?』
先日、バイト先で偶然に伊助に会ったきり丸が、遊びに行くと約束して事後承諾を持ち込んで来たのだ。最初は反対していた半助だが
「伊助と約束したもん!伊助が俺に相談があるって言ってたもん!!」
と、しつこく言われ承知してしまったのだ。それでも、
「伊助が来たら?」
なんて未練がましく言ってしまった。
そんな半助の心配を背中に受けて、きり丸は元気いっぱいに歩いていた。まだ、朝早いのに、農家の人はもう仕事をしている。
『大木先生ももう畑かな』
きり丸はかつて泊まった事のある大木の家を思い出した。泊まったと言えば聞こえがいいが、家出したのだ。回りは畑ばかりでいいとこなんて、ラビちゃんがかわいいくらいなものだった。それに、トイレまでは暗くて怖いし。それに、お風呂だって学校より深くって怖いし。それに、半助が恋しくて泣いちゃったし。
『嫌な思い出だぜ』
きり丸はあぜに生えている猫じゃ裸子を引っこ抜いて振り回しながら歩いた。春の風が吹き抜ける。髪をさらさらと撫でていく。気持ちのいいものだった。
「きり丸!!」
顔を上げると、伊助が手を振っている。どうやら、途中まで迎えに来てくれたらしい。
「伊助~!」
半助には一人で行くと張り切っていたくせに、やっぱり少し寂しかったきり丸は、喜んで駆け出した。
「よく来てくれたね~」
伊助はきり丸との再会を喜んでくれているが、どこか元気が無い。しかし、いくらきり丸でもあって早々、「相談ってなんだよ?」
なんて聞きにくい。やはり、ここは「世間話」をするのが基本だろうと思われる。
「俺さ、先生に飴、もらってきた!」
半助は飴玉を六つくれた。ひとつはきり丸が行くときに寂しくなったら食べるため。ひとつは帰り道に寂しくなったら食べるため。後の四つは伊助と二つずつって。だから、今持っているのは五つの飴。早速、伊助に二つ渡す。
「ありがと、きり丸」
ケチなきり丸から物をもらうなんて、ものすごく名誉な事ではないだろうかと伊助は思った。新学期になったらみんなに自慢できるかも知れない。団蔵や乱太郎はとっても羨ましがるかも知れない。
「きり丸にもらった飴、おいしいよ、すっごく」
「それな、大きいんだぜ」

同じ値段で大きいことが自慢のお店で買った飴。きり丸がお気に入りの粗目が振ってある飴。きり丸がお気に入りと知っているから半助だっていつもこの店で買ってくる。
「僕もきり丸にお菓子を用意しているからね」
伊助は嬉しいことを言った。こんな風に歓迎してもらえるのは嬉しいことだ。
「ここが僕の家」
伊助の家は当たり前だが染物のにおいがした。きり丸はクンクンとかいでいる。
「そんなにいい匂いじゃないからさ。奥に行こうよ」
入っていくと、伊助の両親が忙しそうに働いている。きり丸は夕べから半助に言われたとおりに、ちゃんと挨拶をした。おかげで伊助の両親はきり丸を『ずいぶん、しっかりした子』とか『お行儀のいい子』とか思っていた。知らぬが仏・・・
「伊助んちって家族多いな!!」
二人っきりになるときり丸は感心したように言った。伊助は「?」の面持ちで首をかしげる。
「僕と両親だけだけど?」
「三人だろ!うちより多いぞ!!」
「ああ、きり丸は土井先生と二人だもんね」

確かに二人よりは三人の方が多いが、それを取り立てて言うきり丸の幼さを伊助は笑いそうになってしまった。だって、それって数が数えられるようになったばかりの小さい子が言うようなことだもの。
『きり丸って時々、小さい子みたい』
伊助がそんな事を思っているとは知らず、きり丸はもの珍しそうにあたりを見渡している。
「伊助んちってうちより天井が高いなぁ」
「きり丸んちは長屋だもんね」

それから、しばらくはどちらも話さなかった。伊助はきり丸に悩みを相談するのを切り出す機会をうかがっていた。きり丸は伊助が相談してくれるのを待っていた。
「あのさ・・・」
先に話を切り出したのは伊助。この場合、それが自然の流れだろう。
「なぁに?どったの?」
きり丸は半助のまねをした。半助はきり丸が言い出しにくいとき、そんな風に聞いてくれる。
「実はね、最近、眠れないんだ・・・」
「どうして?」
「分からない。寝ようと思っても眠れないんだ」

伊助としては、それがわかりゃ苦労はないと言いたいところだ。しかし、遠路はるばるやってきてくれた友達にはそんな事は言えない真面目な伊助だった。
「ふ~ん」
きり丸は、やっぱりきり丸で、伊助の心うちなんて関係なさそうだった。明らかに「眠れない」と言う伊助の悩みを軽く見ているようだ。
「ふ~んってきり丸、けっこう辛いんだよ?」
伊助がいくらお人よしでも「ふ~ん」は癇に障ったようだった。
「ごめん・・・」
謝ってから真剣に考える。こういう事は自分の身に置き換えて考えなさいと半助はいつも言っている。身に置き換えるとなると、自分が眠れないときを考えればいいのだ。自分が眠れない時、そんな時はいつだって半助が寝かせてくれる。抱っこしたり、子守唄を歌ってくれたり、夜の散歩に行ったり・・・
しかし、それを伊助に言うわけにはいかない。そんな事を半助にしてもらっているという事がばれたら恥ずかしい。だって、半助はいつだって寝かせるときに
「よちよち」
とか
「私の赤ちゃんはかわいいなぁ」
とか言うのだ。そんな事は伊助には絶対話せない。
『それに・・・』
きり丸にはどうやら、他にも話したくない理由があるようだった。
「じゃあさ、寝れないならさ、起きとけばいいよ!」
きり丸の提案は伊助をこけさせてた。
「きり丸ぅ・・・僕は寝たいんだよ?起きててどうするのさ?」
きり丸はちっちっちっと人差し指を振ってみせる。
「一晩中、起きていれば次の日の夜はよく寝れると思うんだ!!」
きり丸の言い分はあっているようで、あっていない。しかし、その方法意外に思いつかなかった二人は実行することにした。

「伊助、起きているか?」
伊助の両親には二人で寝るからと言ってあるので布団の中に入っていないといけないのだ。
「起きてるよ」
今夜も伊助は眠れそうになかった。少しも眠くない。きり丸だって、まだ少しも眠くない。
「面白い話、しよっか?」
きり丸の提案で二人は交代で面白い話をした。伊助の話はなかなか興味深い話が多かった。染物業についてきり丸はずいぶんと詳しくなった。
もちろん、きり丸だってバイト先の話や長屋の暮らしについてはなした。
「ふ~ん、僕が家にいる間、きり丸は土井先生といるんだね」
知っていたけど、今更ながら思い知った伊助。
『寂しくない?』
なんて聞かなくても分かる。きり丸は寂しくなんかない。
「伊助はいつもこの部屋で一人で寝てんの?」
「そうだよ。僕、一人っ子だもん」
「ふ~ん」

きり丸はさして気にしていない振りをしたが、内心、ちょっとあせってしまった。自分は半助と寝ている。自分んちの長屋は狭いから仕方ないと言えば、そうなんだけど。それでも、よく
「寝るまでだっこぉ」
なんて甘えているのだ。
「きり丸は?」
「俺んちは別の部屋なんてないもの。でも、布団は別だからな!」

伊助はなんだか笑いそうになってしまった。布団は別なんてわざわざ付け加えるきり丸がかわいかったのだ。
『甘えん坊なのかな?きり丸・・・』
自分だって小さいときは母親と同じ布団で眠りたがった。きり丸は今でも、土井先生と同じ布団で眠りたいのかもしれない。伊助はそう思ったのだ。
こんな風に二人は一晩中、話した。
伊助はなんだか、楽しかった。休みに入ってから家の手伝いばかりで寂しかったのだ。染物屋の手伝いは、家の中での作業なので同じ年頃の子と話をするのは久しぶりだ。

「じゃあな、伊助!」
途中まで送ってくれた伊助にきり丸は挨拶をした。半助と朝のうちに伊助の家を出る約束なのだ。
「うん!きり丸、ありがとう!今夜はよく眠れると思うよ!」
寝不足のせいで目の下にクマが出来ているが、昨日よりずっと元気になった伊助。
「おう!俺も寝れると思う!!」
きり丸は伊助に手を振って元気に歩き出した。一晩中、話をしていたせいでとっても眠い。今すぐだって、眠れそうだ。
なんどもあくびが出る。それでも、早く帰って半助に会いたいきり丸は急ぎ足だった。
家の前まで来ると、きり丸は走り出した。半助が戸口の前で待っている。
「先生!」
きり丸は飛びついた。もちろん、半助が抱き上げてくれる。二人は何十年ぶりの再会かと思うように抱きしめあって「ただいま」「おかえり」をした。
「目の下、クマが出来てる。夜更かししたの?」
半助はきり丸の目の下を親指でぬぐってやりながら聞いた。
「ううん。一晩中、起きてたの!!」
きり丸は張り切って、伊助の家での話をした。
「それで、起きていたのか?もっと、他に考えなかったのか?」
半助はきり丸のアイデアに少し、呆れてしまった。
「だって思いつかなかったんだもん」
「きり丸が寝れない時はって考えればよかったのに」
「それはダメだよ。ちょっと恥ずかしいもん」

きり丸は自分だってそう考えたけど、実行は出来なかったことを伝える。半助はきり丸の見栄がかわいくもあり、面白くもあった。
「きり丸が伊助によちよちってしてあげればよかったのに」
「そんな事、言ったら伊助が、きり丸って赤ちゃんだなぁって思うじゃん!」

からかうような半助に対して、きり丸は大真面目。伊助に普段の自分を知られるわけにはいかないのだ。それから、そっと半助の耳元で
「それにさ、先生は寝かせるのが上手って教えたら伊助も寝かせて欲しいって言うかも知れないでしょ?」
心配そうな声。しかし、半助は同意できなかった。伊助がわざわざ寝かしつけてもらいにやってくるのも考えられないし、そんな事を頼むなら両親に頼むだろう。
「そんな事、言うかな?」
「もし、言ったら困るもん」

きり丸は本気だ。本気で半助は誰にも貸したくないのだ。
「どして?」
きり丸の気持ちはわかっているのに、つい、答えを聞きたくなってしまう。
「先生は俺だけだっこするの」
照れたきり丸はとってもかわいかった。






あとがきです。
伊助さんがでてきました。
染物屋さんなのに忍者になりたい伊助さん。
でも、乱太郎以外は全員、なんで忍者になりたいのかなぞですよね。
まぁ、きりちゃんはお金のためだとしても、他の人は家業がある人ばかり・・・
若旦那なんて稼業を継ぐ気、バリバリなのに。
忍者っていったい・・・
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://tonarinoyutti.blog109.fc2.com/tb.php/392-9a7517b5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

となりのゆっち

Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
「友達になってやるか」って心やさしい方募集中です。



最近の記事



最近のコメント



月別アーカイブ



カテゴリー



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



最近のトラックバック



カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -



小さな天気予報


-天気予報コム- -FC2-



FC2カウンター



フリーエリア



フリーエリア



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。