かわいいきりちゃん。
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剃刀 3
「参ったなぁ・・・・・」
中庭からノンキに帰ってきた半助が見た光景は、この後、忘れられない光景だった。真っ赤な血の中に倒れこんだきり丸は真っ青だ。
「きり丸!!」
普段の冷静さはなかった。
「・・・せ・・せ・・・」
最早、きり丸の意識は薄く、目に光はなかった。
「喋るな!!」
半助は掛けてあった手拭を引っ手繰るようにして取り、きり丸の首筋にあてた。先ずは止血をしないといけない。このままにしておけば、きり丸は死んでしまう。
『良かった、そんなに深くない』
半助は出血が止まり、ようやく傷口を確認する事ができた。恐ろしいほどの出血だったがそれ程、深い傷ではなく出血さえ止まれば後は安静にさせ、感染に注意すればよさそうだった。
「痛いか?痛いよな、痛いな・・・」
半助は傷口を見ながらきり丸に申し訳ないとい思いに立たされた。
きり丸は薄い目を開けた。
「せん・・・せ・・・」
ゆっくりと話し出した。
「うん?どした?痛いか?」
痛みを訴えるものだと思い顔をなでてやる。しかし、きり丸は半助の思いとは違う事を言った。
「先生・・・ごめんなさい・・・」
包帯を巻かれながらきり丸は謝ったのだ。
「わかったよ。大丈夫だから」
半助はきり丸の意識がはっきりしないので、つじつまの合わないことを言っているのだと思い、安心させるように言い優しく背中をなでた。
「先生・・・」
大量に出血したせいで頭がクラクラする。自分の思った事を言いたいのにうまく伝えることが出来ない。話すことが億劫なのだ。
『俺、死んじゃうのかな・・・』
半助の声を聞いて頭の中が急にはっきりした。
さっきまであんなに死を近く感じ、怖いけど受け入れれるような気になっていたのに、今は死にたくない。
半助のそばでずっと笑っていたい。
『ぐったりしてちゃダメだ。死んじゃう!』
そう思って起き上がろうと空を掴む。
だけど少しも手先に力が入らない。空をつかんでいる気になっている手も実際には少しも動かない。
もちろん、自分の足で歩く事も出来そうになかった。着替えるにしても、袴どころか上着さえ自分で脱ぐ事が出来ず、すべて半助にしてもらう事になった。
「よしよし、もう大丈夫だから。安心してお休み」
まだ引きっぱなしの布団にきり丸を寝かせた。きり丸は弱弱しく笑って、首をふった。
寝るのが怖かった。眠ってしまったらこのまま目が覚めないのではと思うのだ。
そんな人をあの日、たくさん見た。
「・・・や・・・だ・・・よ・・・」
首を振ると痛みを感じる。まだ生きているらしい。
「大丈夫。ずっとそばにいるからね」
ゆっくりと前髪をなでた。
「や・・・」
きり丸は必死だった。生きたい。これからも半助と笑いあって暮らしたい。そのためには眼を閉じるわけにはいかないのだ。
「少し寝なさい。寝て起きたら少しは楽になっているから」
半助のこの一言で自分は死なないらしいと理解した。
半助がそう言うなら自分は大丈夫。きり丸はどんな極限状態でも半助をまるっきり信用していた。
重い瞼から力を抜くと、あっと言う間に眠ってしまった。
「きり丸・・・」
半助は眠るきり丸をじっと見つめていた。
しかし、そんな事をしている場合ではないと思い立った。
きり丸が目を覚ますまでに床を掃除しておかなければならない。もう、これ以上、きり丸に血は見せれない。
 床掃除をしながら、半助は恐ろしくなった。血を見るのはなれている。そんな事に恐怖を抱いていたら忍者は勤まらない。何が恐ろしいのかと言えば、これがきり丸の血だからだ。
『もう少しで死んでいたかも知れない・・・』
そう思うと恐ろしくて、雑巾を持つ手が震える。もし、きり丸がもう数センチ横を切っていたら頚動脈の真上を切っていただろうし、自分がもう少し、中庭でおばちゃんに捕まっていたら取り返しのつかない事になっていたかも知れない・・・・
『きり丸・・・』
あまり静かに寝ているきり丸が心配になって、そっと寝顔を見る。青い顔だが、呼吸はしっかりとしていた。
『ふぅ・・・』
それから半助は休む事無く、掃除、洗濯をこなした。一時でも早く、きり丸の血を消し去りたかった。こんな物をいつまでも残しておくのはなんだか不吉で嫌だったのだ。
全ての仕事を終えると手持ち無沙汰になってしまった。そうなれば、ゆっくりと読書でもしていればいいはずなのだが、今日はそんな事をする気分になれなかった。ただ、きり丸の寝顔をじっと見ているだけだった。
『きり丸・・・・』
全く赤味をさしてこない頬に触れる。赤味はないが頬は温かく半助を安心させる。
「先生・・・」
「ごめん、起こしちゃったか」

きり丸は力のない笑顔を半助に見せた。その笑顔が切なく半助にはこたえた。
「先生・・・ごめんなさい・・・」
きり丸は何を謝ったのだろう?床や服を汚した事?刃物をおもちゃにした事?怪我をした事?これらの全ては禁止事項だが、一体どれを謝ったのか半助には分からなかった。半助に分かるのはカミソリを出しっぱなしにしていた自分が悪いという事だけだった。きり丸があんなに興味深く見ていたのに、出しっぱなしにして、何も注意もせずにその場を離れた自分。大人として、子供を守るべき立場の大人として、してはいけない事だった。
「きり丸。謝るなよ・・・」
優しく髪を撫でながらそう言った。
「でも・・・先生・・・怒ってる・・・・」
きり丸は先ほどからの半助の険しい表情を誤解していた。心配や自分を責める気持ちにより表情が険しいのだ。それを自分に怒っていると。
「違うよ。怒ってない。私こそ、ごめんな。ごめんなさい」
寝ている自分に頭を下げる半助が分からず、きり丸はキョトンとしていた。そんなきり丸に半助は全てを話した。自分が悪かったと。そして、最語に
「ごめんなさい」
ともう一度、しっかりと謝った。きり丸は力なく頷いて、それからまた眠りについた。






あとがきです。
いよいよクラマックスです!!
長い間、ありがとうございました。
明日、明日で終わりです。
本当に長くなってしまって・・・・
明日は明るく楽しくなる予定ですので、よろしくお願いします。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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