かわいいきりちゃん。
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剃刀 2
 半助が出て行ってしまった部屋にはきり丸と鏡とカミソリが残される。半助はいない。出て行ったのだから当然なのだが。
きり丸はそっと窓からのぞいた。それからクスッとわらった。
「先生ってば・・・」
そこには隣のおばちゃんに何か言われながらペコペコ謝っている半助の後ろ姿があった。
普段は頼もしく大きな背中もこうしてみると頼りない。
「俺がしっかりしなくっちゃ!!」
きり丸が独り言を言う間も半助は頭をかいたり、変な笑い方をしたりしていた。
「先生って大人なのによく怒られるよなぁ」
この独り言を半助が聞けば元気よく抗議して気だろう。だいたい、半助が怒られるのは、きり丸が原因なのだから。
「長くなりそうだな・・・」
また、おばちゃんに捕まった。と、なると、すぐには帰ってこない。きり丸のイタズラの好機であった。
もちろん、そんな好機を逃すきり丸ではない。早速、鏡の前に座り込み、カミソリを手にした。
 カミソリは薄く、そして鋭い。家にあるどの包丁よりずっと光っていた。
普段、きり丸の手の届かない所にしまってあるのでこんなにじっと見たのは初めてだった。
『なんだかツーって感じだ』
窓から差し込む光を反射させるとぞくっとするほど光った。
きり丸は半助の真似をしてそっと首筋にあててみる。泡がなかったので全く滑らなかった。
『先生はこんな感じ・・・』
そう思ってカミソリを動かしてみた。
「痛てっ!!」
慌ててカミソリを置く。その時、見たカミソリの刃はもちろん、柄まで真っ赤だった。
「血・・・」
ビクッとなって鏡を覗くと、自分の首から血が流れている。首だけではない。見れば、服も袴も、そして床も・・・
鏡の中の血まみれで恐怖に引きつった自分と目が合った。
今でも充分に血が出ているのになおも出る。まるで自分の血ではないように感じる。だけど、間違いなく自分の首から流れている。
不思議と痛くない。ただ、ドクドクと流れているのがわかるだけ。血が生温かいのがわかるだけ。
「先生・・・」
大声をあげて半助を呼びたかったが、恐怖からか声がでない。きり丸は知っている。人間はたくさん血が出ると死んでしまう事を。かつて見たことがある。首筋を切って自害した人を。きり丸が切ってしまったところと同じ場所を切って死んでしまった人を。
「死んじゃう・・・」
鏡の中の自分は真っ青で、反対に血は赤かった。手に落ちてくるヌルヌルも血、袴を染める物も血。
「赤い・・・」
何度も死んでしまいたいと思った事がある。だけど、いざ死に直面すると恐ろしい。
だんだんと目の前が白くなる。
白くなっているが血は赤い。
真っ白な世界に真っ赤な血だけが浮かび上がったような光景をぼんやりと見ていた。
やがて、何か悪いものに魂を引きずり出されるような感覚に襲われる。だけど、どこか眠るときのような心地よさも否めない。
ゴトン・・・・
何かが床に落ちたような音を聞く。
「何の音・・・・?」
こんな時なのにやけに気になった。しばらく考えてそれは自分が床に倒れた音だと理解した。
『誰かが言ってた・・・人間、死ぬ前は目が見えなくても耳は最期まで聞こえるって・・・だから死にかけている人には声をかけてあげるといいって・・・誰だっけ・・・誰が言ってたんだっけ・・・』
誰が言っていたかを思い出せない。死ぬ前なのだからもっと重要な事を考えるべきなのかもしれない。だけど、どうにもこうにも気になって仕方がない。
死ぬのが怖くて焦っているような、だけどどこかのんきな不思議な気分。
『死ぬ時ってみんなこうかしら・・・』
目の前の血を見ながら薄れていく意識で両親を思い出す。
お母ちゃんは死ぬ時に何を思っていたんだろう・・・
死んだらお母ちゃんに会えるのだろう・・・
自分はたくさんイタズラしたから天国に行けないかもしれない・・・
そうしたらお母ちゃんに会えない・・・
お母ちゃんに会いたいなぁ・・・・





あとがきです。
暗い展開ですみません。
この話が終わったら何かぱぁっと笑える話を書きたいと思います。
書いている本人も、まさかこんなに暗くなるなんて思いもよらない展開です。
読んでくださっている方はさぞ
「・・・・・」
と、お思いでしょうね・・・
すみませんとしか言いようもなく・・・・
本当にすみません。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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