かわいいきりちゃん。
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子供扱いしないでね
きり丸は半助の手をしっかりと握りながらご機嫌で歩いていた。
「ねぇ、先生。この前ね、あっちのお店がこっちに引っ越ししたんだよ」
街の様子に詳しいきり丸はあれこれと半助に説明していた。こうして説明するとまるで自分が先生になった気分。いつだって、半助が教えてきり丸が教えてもらう関係。学校でも、家でも。学校では先生だから当たり前なんだけど、家では恋人なんだからそればっかりじゃつまらない。
大人ぶりたいきり丸。
「そっか、引っ越ししたか」
「そうだよ。引っ越しした理由はね家賃が安いんだって」
「そんな事まで知っているのか?」
「へへっへー。俺はね、なんでも知っているんだから」

きり丸は驚く半助に得意顔である。半助は半助できり丸がどれほど、よその事情に首を突っ込んでいるのかと心配になってくる。
「きり丸、あんまり人のおうちの事を聞いたりしたら駄目だそ」
「なんで?」
「なんでって、子供がそんなによそのおうちに首を突っ込むもんじゃないの」

これを聞いたきり丸はあからさまにむっとしてしまった。
『子供扱いして』
今は恋人だ。ここは学校じゃない。だから、子供扱いはだめだときり丸は思っている。
「また、そんな顔する・・・ほら!」
機嫌をとってやろうとあめ玉を見せる。きり丸の大好きな赤いあめ。だけど今日はそんなのは欲しくない。だって、せっかくのデートなのに。せっかくの恋人気分なのに。
「子供扱いしないで!」
そう叫んで、半助の手を投げるように離した。そして、ずんずんと早足で進んでいく。
「あっ!きり丸!!」
半ば走り出しているきり丸をあわてて追いかける。こんな人ごみで見失うわけにはいかない。迷子にしてしまう。
すぐに腕を掴んで引きとめた。
「離してよ!」
怒ってそう叫ぶ。ここで半助が謝って自分を恋人扱いするなら許してやるつもりだった。せっかくのデートだもの、喧嘩なんてしたくない。
「迷子になるだろう」
だけど、半助の返事はきり丸が期待していたものをは違った。
悔しい。
迷子なんて、迷子なんて。きり丸は町の様子は半助よりもずっと詳しい。迷子になんてなるはずないのだ。本当にどこまで自分を子供扱いすれば気が済むのだ。
「迷子になんてならない!一人で帰れるんだから!」
「お馬鹿、大人とはぐれた子供は迷子って言うんだ。ほら、手、つないで」
「や!先生となんかつながない!」

自分で言いながらなんて子供っぽい言い草だと思うが、これ以外言い方が思い浮かばなかった。
半助は短く息を吐く。悪気はなかったがこれがまたきり丸の神経を逆なでる。
「俺は、俺はね・・・」
なにか言って半助を攻撃してやろうと思ったが言えなかった。もうなにがなんだかわからなくて泣きたい気持ちだった。
「わかったよ。じゃあ、手はつながない。でも、隣に歩こう、ね?」
目に涙をためているきり丸に半助は譲歩した。
きり丸もこれ以上は言えずにだまってうなずいた。
『いつも、子供扱いなんだから・・・』
歩き出すと違和感を覚える。こんな風に二人で歩くときに、手をつながないことなんてない。
『なんだか手が寂しい』
きり丸は寂しい手に自分の襟をつかませる。いつも半助とつないでいる左手で右の袂をつかむ。こうでもしないと、寂しくて・・・
左手は袂をもち、右手の親指はしっかりと口の中だ。なんとかして寂しさを紛らわしたいのだ。
『手持ち無沙汰だなぁ・・・』
違和感を覚えるのは、半助も同じ。右手が寂しい。いつもきり丸の左手を握っている手を誤魔化すように腕組をした。この腕組は学校でもよくする。学校ではきり丸だけの手を引くわけにはいかないのだ。それでも、思わずしてしまいそうになるので、しっかりと腕組をして歩くことが多いのだ。
会話の弾まないデート。
こんなはずではなかったのに。なんとかしたい思いはお互いだが、きり丸はその方法がわからなかったし、半助はこれ以上、きり丸の機嫌を損ねるのが怖かった。
『先生、怒ってるの?それとも、呆れちゃったの?』
落ち着いてくると、さっきは自分が悪かったような気がする。子供扱いしないでと言ったが、さっきの態度は子供だ。
『先生、何か言ってくれないかな・・・』
謝る勇気がないきり丸。
そっと半助を盗み見る。だけど、きり丸のそっとなんて、半助にはすぐにわかってしまう。
『チャンスかな?』
そう思って半助はわざと目を合わせた。
『あっ!』
あわてて目をそらす。
しかし、そらした視線の先には半助の笑顔があった。きり丸には眼で追えないほどのスピードで顔を移動させていた半助。さすがだ。
「仲直りしようか?」
「・・・・・」

本当はしたいのについ、意地を張ってしまう。だけど、「しない」とまでは張り切れない。きり丸の気持はちゃんと分かっている。分かっているから、してほしいようにしてやる。それが歳の離れた恋人を持った者の愛情だ。
「せっかくのデードだ。あそこで何かあったかいものでも飲もう」
半助の指さす先には甘酒屋さん。もう少し先にお汁粉屋さんもあるのだけど、お汁粉だとまた「子供扱い」と怒られるかと思ったのだ。
「・・・・うん」
今度は素直に返事ができた。半助の後から甘酒屋さんに入りながら、お汁粉ののぼりを見る。
『お汁粉・・・』
きり丸は甘酒も好きだが、お汁粉はもっと好きだ。いつもなら、お汁粉にしようと言ったのだが今日はなんだか言えなかった。
「あったかいね」
向かい合って甘酒を飲む。
「おいしいね・・・」
「そ、おかわりしてもいいよ」

半助にしては珍しい。御飯が食べれなくなるとか言っておかわりはダメなときがほとんどなのに。
「いいの?怒らない?」
「いいさ、今日はデートだもの。甘酒くらい自由にのんだっていいさ」

この返事にすっかり気をよくしたきり丸。自由に飲むなんて大人扱いなのだ。自由というのはうるさく小言を言われず好きなようにするということ。きり丸はそう感じていた。
それが大きな勘違いだと気づくのは本当に自由になってしまったときなのだけど、それはまだまだ先の事。10歳のきり丸の自由は半助の掌の中だけ。
「俺ね、こんな風に扱われたいの」
二杯めの甘酒を味わいながらうっとりと言う。なにはともあれ、きり丸のご機嫌が直ってやれやれの半助だった。
それからは、上機嫌でいつもどおりにいろいろと話をする。
「ふぅ、ごちそう様。先生、いっこか?」
すっかり満足のきり丸は立ち上がった。その顔はいままで甘酒を飲んでいましたと言わんばかりの跡がついている。
「きり丸・・・いや、なんでもない」
顔を拭いてやろうと思ったがせっかくのご機嫌を損ねたくない。お金を支払いながら、もう一度、きり丸をちらっと見る。やはり、しっかりと甘酒印だ。
『・・・・子供だよなぁ』
そう思って何気なく店の奥に目をやった。そこにはトイレがあった。
「トイレは?大丈夫?」
そう聞きたいがこれもまた我慢した。今や、きり丸はご機嫌で鼻歌なんて歌っている。曲目はゆりかごの歌だ。
『眠いのかな?でも、やっぱり子供だよ・・・』
言いたい事を数々飲んで半助はまた二人で歩きだす。
二人はのんびりと本屋によって、それから駄菓子屋にもよった。
「先生、本屋さん、好きだよね」
「きり丸は?好きかい?」
「本屋さんで本を選んでる先生は好きだけど、本を買う先生は好きじゃない」
「なんだい?それ?」

「だって、先生、本、買ったら俺の事、かまってくれないもん」
こういうところがかわいいのだ。
夕暮れの町はなかなかの活気であった。大きな大八車がものすごい速さで行きかう。こんな時間になれば、もう手をつながないわけにはいかない。
「きり丸、もう、暗くなってきたし、ちょっと手をつなごうか?」
なるべく、機嫌を損ねないように言う。だけど、きり丸の返事は
「や!つながない!!」
だった。
「きり丸、きり丸が好きだがら手をつなぎたいんだよ」
これを聞くときり丸は待ってましたとばかりに両手を上げる。だっこしてぇのポーズだ。
「先生、俺のこと好きならだっこの方がいいんじゃない?」
もうさっきからずっとだっこしてほしかったのだ。だけど、「子供扱いするな」と言った手前言い出しにくかった。
「はいはい」
くすっと笑ってから抱き上げる。
「子供扱いはしないで!恋人のだっこだからね」
「子供ですよ、お前は。こんなところに甘酒、つけちゃってさ」

抱き上げると甘酒の跡がくっきり見える。自分の袖口で拭いてやりながら笑った。






あとがきです。
わたしも甘酒よりもお汁粉がすきです・・・
だって甘さに本気を感じますから。
近頃、テレビの見すぎで目がしぱしぱします。
まさか、三十過ぎてこんなことで眼科に行くなんて・・・
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Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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