かわいいきりちゃん。
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お腹の痛いわけ
どう考えたって、明日の夕方までに出来る量ではない。きり丸は造花を前に悩んでいた。すぐ、そばには内職の悩みなんて知らないクラスメートが寝ている。まだ、夜明け前なのだから寝いていて当たり前だ。
きり丸は休むことなく手を動かしている。少しでも進めたいのだ。
『放課後、誰か手伝ってくれる人を探さないと・・・』
そう思って、クラスメートの顔を順番に思い浮かべていく。
『一番、文句言わずに手伝ってくれるのは団蔵だけど、あいつ不器用だからなぁ。やっぱり、乱太郎かな?家なら先生に任せておけばいいんだけどさ』
先生というキーワードはきり丸に重要な事を思い出させた。
『今日は裏裏山まで遠足だったんだ!』
非常事態である。裏裏山まで行く遠足なんて。帰りが何時になるか分からない。少しでも早く部屋に戻って内職に励むべきなのに、よりによって遠足なんて。もう、どう考えたって間に合わない。それに遠足なんて行ったら疲れて内職の手が遅くなってしまう。
『もう、あの手しかない!!』
きり丸は一人、決心をした。
ごそごそと布団にもぐりこみ乱太郎たちがおきだすのを待つ。暖かい布団に包まれるとうっかり眠りそうになるが、気を引き締めて待っていた。
「あれ?きりちゃん、おはよう」
乱太郎は珍しくバイトもせずに布団に入っているきり丸に驚きながらも声をかける。
「うん・・・」
きり丸はダルそうに乱太郎の方に寝返りをうった。
「どうしたの?具合悪いの?」
「うん。お腹が痛いんだ・・・」
「ええ!大変、先生呼んでくるね」

乱太郎はしんべエを起こして担任の元へ走って行った。そんな乱太郎を布団の中から見送る。
『土井先生じゃなくて山田先生を呼んでこいよ~』
365日、一緒にいる半助では仮病を使っているのがばれやすい。実際、家でなんども嘘を見抜かれて痛い目に遭っている。
 きり丸はついていた。乱太郎が連れてきたのは山田だった。半助は見張り台の当番ですでにいなかったらしい。
「どうしたんだ?きり丸」
山田は心配そうにきり丸の額に手を乗せる。そんな山田に心が痛むが内職のためなのだ。仕方ない。
「お腹が痛いんです」
「風邪の引き初めかもしれんなぁ」

きり丸はなんだか山田の顔が真っ直ぐ見れず、布団にもぐり込む。いつもと様子が違う、きり丸に相当、辛いのだと判断し、
「今日は一日、ゆっくりと休んでいなさい」
と言い残し乱太郎、しんべエを追い立てて出て行った。
『山田先生、ごめんなさい』
きり丸は布団の上で正座をし、引き戸に向かって手を合わせる。
 いつまでも、そんな事はしていれない。せっかく、時間を手に入れたのだ。なんとしてでも今日の夕方までには仕上げたい。明日は授業をサボれないだろう。きり丸は布団から這い出ると内職の造花に向かう。
『おなかすいたなぁ・・・』
朝ご飯は食べていない。お腹が痛いと言ってしまったので仕方ないのだ。お腹が痛いのに、お腹がすいたなどと言えば嘘がバレてしまう。
『お昼までの我慢だ!』
そう、自分に言い聞かせ造花に集中した。そのおかげで急ピッチで進んでいた。しかし、そのおかげできり丸はピンチにも陥っている事にまだ気が付いていない。
 内職に励む、きり丸の背中をそっと見つめる人物がいた。
『きり丸の奴・・・』
 山田が遠足の引率で出かける前に、きり丸の事を伝えられた半助は見張り台の当番が終わり、様子を見に来たのである。
「こら!お腹が痛いんじゃなかったのか?」
「げげっ!!先生」

きり丸はできれば誤魔化したかったが、自分の周りには造花が満開だ。誤魔化しようがない。が、それでも、一応は言ってみる。
「えっと、造花、ひっくりかえしちゃって・・・」
「そうか、それは大変だなっって言うか!!」
「先生、乗り突っ込み・・・」

拳骨を落とされた頭を撫でながらも、一言返すのがきり丸のきり丸たる所以である。
「そんな事より、山田先生に嘘ついて内職か?」
「だって、間に合わないもん・・・」
「山田先生、心配しておられたんだぞ」

先ほどの心配してくれていた山田の顔を思い出す。シュンとなりながらも
「だって、内職しないとご飯が・・・」
そう、言われると半助は弱い。きり丸は決して、贅沢や遊びのお金を稼いでいるわけではない。生活費や授業料のためなのだ。自分の膝をイジイジしながら下を向いている。こんなきり丸はこれ以上叱れない半助だった。だから、周りからは『甘い』と言われるのか。
「仕方ない、手伝ってやろう」
「本当!?」

きり丸はパッと顔を上げ、大喜びだった。かわいいと思ってしまう心をぐっとこらえ、厳しく言い渡す。
「その代わり、山田先生にちゃんと謝ること、明日はちゃんと授業に出ること。いいな?」
「うん、うん」

 天才アルバイターのきり丸と、もはや熟練の半助。二人でかかると予定より随分、早く出来てしまった。クラスメートが帰ってくるまでに出来上がる。
きり丸は出来た造花を箱につめ、納品に出かける。もちろん、半助と一緒に。
帰り道、
「山田先生に言わないとダメ?」
先ほどは、あんなに『うん、うん』と言っていたくせに、いざ、時間が迫ってくると怖気づくきり丸。
「約束したろ?」
「でもぉ、先生が言わなきゃさ、って!」

半助の拳骨が落ちてくる。
「いいか、きり丸。山田先生は本当にお前を心配してくれていたんだぞ、それなのに、お前は仮病を使ったうえに、まだ嘘をつく気なのか?」
「・・・やっぱり、謝る・・・」
「よし、いい子だ」

今度はきり丸の頭を撫ででやる。
「山田先生、怒るかな?」
「さぁ、どうかな?もしかしたら裏庭の木にくくりつけられちゃうかもよ」
「脅かさないでよ」

ニヤニヤ笑う、半助に非難がましい目をむける。半助には四六時中、叱られているが、山田に一人で叱られるのは滅多に無い。いつも、数人で叱られるから。
 ため息をつく、きり丸の手をしっかりと握ってやる。
「木にくくられたら、助けに行ってやるよ」
「本当?約束だよ」
「ああ、ちゃんとごめんなさいって言うんだぞ」
「先生も部屋にいてね」
「ああ、いてやるよ」

我ながらなんて甘いのだと思うが、しおれているきり丸はなんだかきり丸ではないようで、そう言わずにいられなかった。
『まぁ、なんだかかんだで山田先生も甘いからなぁ』





あとがきです。
さて、きりちゃんは山田先生に怒られたのでしょうか?
どうでしょう?
案外、山田先生もきりちゃんの嘘に気が付いていたのかもしれません。
それでも、だまされたふりをしてくれたのかもしれません。
そんなわけで、きりちゃんの内職なお話でした。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
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