かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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初めての隠し事 後
「ポテチにはオレンジソーダだよなぁ」
きり丸はのんきにポリポリと食べては、ジュースもぐいぐいと飲んでいた。自分でもそろそろやめないと夕飯が食べれなくなるとか、夜中に困ることになるとか思うのだがどうしてもやめられない。
食べたり、飲んだりすることで不安からのがれようと無意識にしているのだ。だって、利吉に隠し事なんて初めてだもの。
「りっちゃん・・・」
返事はないとわかっているのに呼んでみた。その名前にちくっと心が痛む。
「りっちゃぁぁん・・・」
もう一度呼んでみた。今度は泣きべそになった。
「はぁい」
その泣きべそに思わぬ返事があった。利吉が帰ってきたのだ。きり丸は走って玄関にお迎えにあがった。
「りっちゃん!!」
「ごめんね、遅くなって」

急ぎ足で帰ってきたらしく息を切らしている。心に不安をもつきり丸は思わず抱きついた。
「よしよし、寂しかった?」
利吉は自分の帰りが予定より遅れたのでべそをかいていると思ったようだった。きり丸を抱き上げて頬をよせた。
リビングには食べかけのポテチと空っぽのオレンジソーダの缶があった。
「お腹、空いちゃったんだ?」
半助なら「夕飯前でしょ!」と怒るところだがやはり、優しい利吉。お腹が空いたから食べたのだと理解してくれ怒ることはなかった。
「うん。今はもういっぱいなんだけどね」
暗に夕飯は食べれませんと伝えた。利吉は笑いながら
「たまにはしょうがないよねぇ」
なんて言っている。そしてそのまま、きり丸を置いて着替えに自分の部屋に入って行った。普段ならきり丸もついて行くのだけど今日は大人しくリビングで待っていた。
「・・・・・」
部屋に入るなり利吉は自分の不在中に自室に侵入者があったことに気がついた。そして、その犯人が小さな弟だということにも。
片づけてあったゲームソフトが封を破られて転がっている。
ポテチを直してあった棚が開けっぱなし。
そして、時計がなくなっている。
とりあえず、ソフトを拾い、棚を閉める。
「さて、どうしたものか・・・?」
部屋をぐるっと見渡したが時計はない。きり丸がどこかへ持って行ってしまったのだろうか?それとも、壊してしまって隠したか?
「たぶん、後者だよなぁ」
あの時計はそんなにきり丸の気を引くデザインではない。だから、きり丸が持って行ってしまうことはないだろう。
「ポテチ発見→ハサミ→ガッチャン。かな?」
利吉の推測は完ぺきだった。そして、もう一度
「どうしたものか」
とつぶやいた。
利吉は半助のように怒るのは苦手だ。どうも怒る気になれないのだ。いつだって。
か、と言ってこのまま何も言わないのは教育上よくない。
「素直に自主してくれないかなぁ」
もし、きり丸から謝ってくれば「いいよ」の一言ですむ。こんなに楽なことはない。だけど、素直にする気がないから隠しているのだろう。と、なれば詰問しなければならない。
「いやだなぁ・・・」
今日に限って半助がいない。利吉はわざとのろのろと着替えた。
いくらのろのろしても着替えなんてすぐに終わる。終わればきり丸のまつリビングに行くしかない。
「ねぇきりちゃん、りっちゃんの部屋にあった時計、知らない?」
なるべく、さりげなく聞いた。
「し・・らない」
きり丸は声が詰まった返事をした。
「ふぅぅん、そう。困ったなぁ。あれがないと時間がわからないなぁ」
今度は演技をした。
「でも、俺、知らないもん」
きり丸は利吉の視線から逃げるようにソファに突っ伏した。
どうしてだろう?今まで半助にはたくさん隠し事をした。嘘もついた。だけど、こんな気持ちにならなかった。半助と利吉。どちらが好きかなんて比べられないけど。どちらも大好きで大切なんだけど。だけど、どうして今回はこんなに心が痛むんだろう。
「そう、じゃあ仕方ないね」
利吉はあっさりと引き下がった。これ以上、追求すれば泣き出すかもしれない。こんな場合泣くのを恐れていてはダメなんだろうけど、泣かすのはどうも後味が悪くて。
『ずるいのかな、俺って・・・』
普段、半助がきり丸に雷を落としているのを横目で見ている。決して口を挟まないのは、それがきり丸のためだと分かっているからだ。それなのに、いざ自分が叱る番になると叱れない。
2人はお互いに悶々とした。そして、お互いに横目で作り合う。
『りっちゃん、時計のこと考えてる。時間がわからなくなったら明日、遅刻しちゃうかもしれない。そうなったら俺のせいだ。俺のせいでりっちゃんが先生に怒られる』
きり丸は罪悪感でいっぱいだ。利吉が黙っているのは時計がなくなったせいと思っているのだ。
『俺ってどうも勢いがないんだよねぇ。甘やかすばかりがいいと思っているわけじゃないんだけどさぁ。結局、きりちゃんに嫌われたくないだけだったりして・・・』
利吉は利吉で自分の行動に反省しているのだ。
「りっちゃん・・・」
「うん?」
「時計、どうするの?」
「そうだねぇ、こまったなあ」

いつもどおりののんびりの返事。きり丸はもう辛くてリビングにいられなくなった。でも、自分の部屋には壊れてしまった時計がある、そう思うと行くのが嫌だった。
「ねぇ、きりちゃん、ホントに知らない?時計」
利吉はもう一度聞いてみた。
「・・・・知らないもん」
きり丸は言いにくそうに言った。
「ホントに?怒らないからさ、言ってごらん?」
いつもの優しい笑顔で覗きこまれると、これ以上隠すのは無理な気がした。
「あのさぁ・・・・あのさぁ・・・ホントはさぁ・・・」
もう少しで本当の事が言える。心の中では言ってしまうと決めている。だけど、口から出るのは「あのさぁ」ばっかりだ。
そんなきり丸の髪をぽんぽんとなでながら
「ホントはハサミを取る時に落として壊れちゃったんでしょ?」
笑顔の利吉が言った。きり丸は驚いて目を大きくした。
「りっちゃん、知ってたの?」
「ううん。りっちゃんはね、名探偵なんだよ」

利吉はやっぱり笑顔で少しも怒ってなかった。きり丸も今度は正直に時計を差し出して謝った。
「りっちゃん、ごめんね」
「しょうがないさ、こわれちゃったものはさ」

そのままリビングのゴミ箱に入れてしまった。ガラスが割れてしまっては見栄えも悪いし、危険だ。
「怒ってない?」
どう見ても怒ってなさそうなのに確認する。
「怒られると思ったの?」
「うん」

だって、これが半助なら大目玉だ。クドクドと叱られたはずだった。
「ひどいなぁ。俺がきりちゃんを怒ったりするわけないじゃない。きりちゃんをこんなに愛しているのにさ」
利吉は拗ねたような声を出したが、後半はきり丸をギュッと抱きしめて行ったのできり丸も安心したように笑う。
「へへへ」
「へへへ」

2人、見つめあって笑う。
こんな風に時計の一件は平和のうちに幕を閉じた。それから二人は鬼の居ぬ間の洗濯とばかりに羽を伸ばした。ゲームをしながらお菓子を食べる。ただこれだけのことなのだが半助がいると、やれ目が悪くなるだの、虫歯になるだのとうるさいのだ。
そんな至福の時、ふっときり丸は思い立った。
「ねぇ、りっちゃん」
「うん?」
「りっちゃんは俺を愛してるから許してくれたんでしょ」
「そうだよ」
「じゃあさ、お兄ちゃんは俺を愛してないの?」

半助はきり丸のイタズラや嘘は厳しく叱る。今日の利吉のように簡単に許したりはしないのだ。利吉は愛しているから許してくれた。では、半助は?きり丸は率直に疑問に思ったのだ。
「お兄ちゃんは愛してるから許さないんだよ」
澄ました声でそう言ってから利吉は一人笑いだした。とっても損な役回りの兄を思い出すと、申し訳ないけどおもしろかった。
ソファに転がって笑い続ける利吉にきり丸は抗議する。
「りっちゃん!何がおかしいの?」
それでも利吉は笑っていた。きり丸は利吉の上に乗っかって
「ねぇってばぁ」
と繰り返す。
だけど、最後まで利吉の笑う理由はわからなかった。





あとがきです。
そんなわけで平和に解決です。
昨日に続いて読んでくれている方、ありがとうざいます。
そして、なによりセディールさん。
本当にありがとうございます。足を向けて寝れませんわ・・・
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この記事に対するコメント

りっちゃんはやっっぱり、きりちゃんに甘いですね。
これが土井先生ならものすごく怒られていたでしょうね。

足を向けて寝られないなんてそんなことないですよ
ネタがいくら思いついても、一つの話にするのは大変だと思うのです。
そして、その「話」にしているのは他ならないゆっちさんなのですから。

これからも楽しみにしています。
【2009/04/04 10:13】 URL | セディール #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> りっちゃんはやっっぱり、きりちゃんに甘いですね。
> これが土井先生ならものすごく怒られていたでしょうね。
>
> 足を向けて寝られないなんてそんなことないですよ
> ネタがいくら思いついても、一つの話にするのは大変だと思うのです。
> そして、その「話」にしているのは他ならないゆっちさんなのですから。
>
> これからも楽しみにしています。



いつもありがとうございます。
いやぁ、本当にネタがないんですよ。
だって、私、専業主婦なので毎日、毎日、同じことの繰り返しなんですよね。
そんな生活には、トキメキとかもなく・・・・
あま~い日常なんてはほど遠く・・・
でも、まぁ、結婚して10年以上経ってますからそんなものです。

これからもよろしくお願いします。
【2009/04/05 21:47】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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