かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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やきもちは愛の大きさ
きり丸がバイトから帰ると、一枚の手紙がおいてあった。半助が出かけるときに、よくきり丸当てに置手紙をしていく。が、今回の手紙をそうではない。きっちりと包んである。表書きには『土井半助様』とあり、裏には何も書いていない。普通は差出人の名前が書いてあるものなのに。きり丸はあたりを見回す。誰もいない。いけないと分かりつつも包みを開ける。どうしても、我慢できなかったのだ。なぜなら、表書きの文字は明らかに女性の字だったから。半助は二十五歳。きり丸と知り合う前に女性と付き合っていたって不思議はない。むしろ、付き合っていない方が不思議だ。きり丸はドキドキしながら、中身を広げる。
「半助さん。私があなたと合えなくなって、どれくらいたつのでしょうか。私から、あなたに別れを告げておいて、こんな手紙を出していいものか、迷いました。それでも、私の現状をあなたに伝えたくて筆をとることにいたしました。もし、ご迷惑でなければ、明日の午後、町の川筋にある御茶屋でお会いしたく しず」
きり丸は一気に読むと、慌てて手紙を戻した。心臓がドキドキする。まるで校外マラソンの後のよう。手が震える。まるで火縄銃を打った後のよう。
『先生は明日、会いに行くのかな?行かないのかな?会ったらこの人とどんな話をするのかな?』

その夜、半助は手紙を読んだ後、やけに沈み込んでいたような気がする。きり丸は何度も半助をちらちらと見ては、慌てて宿題に没頭しているふりをしていた。
「そんな風に見ても、手伝わないぞ」
てんで、見当違いの半助。それは、仕方が無い。半助はきり丸が手紙を読んだことをしらないのだから。あれから、きり丸はずっと、中庭にいて、半助が探しに来るまで隣のおばちゃんと話しこんでいた。本当は上の空だったのだが、誰かと話をしていたほうが気がまぎれてよかったのだ。
「ねぇ、先生。明日、出かける?」
思い切って聞いてみる。半助は一瞬、迷った顔をしたが、深く首を横に振り、
「いいや。出かけない。出かけないよ」
と、やけにキッパリと言った。それは、自分自身に言い聞かすようでもあった。
「そう、じゃあ、俺も明日は家で内職なんだ。手伝ってよ!」
「まーったく。すぐに人を当てにするぅ」

そう言いながらも、きり丸の髪をくしゃくしゃにして笑う。機嫌がいいようにも見えるが、何かを隠しているようにも見える。きり丸も笑いながら、半助を観察する。
 次の日は、朝から見張るようにして半助を観察したが別段、変ったところはない。きり丸に隠れて出かける様子もない。ただ、正午の鐘が鳴ったとき、なんだか神妙な顔をしていたような気がする。それでも、どこにも出かけなかった。
『早く、お日様が沈めばいいのに。そしたら今日が終わるのに』
きり丸はまだ、西の空に居座る太陽をにらみつける。
「きり丸、ちょっと買い物に行って来るよ」
ついに半助が『出かける』と言った。朝から、きり丸がずっと恐れていた事を言ったのだ。きり丸はめまいがしそうだった。
「何買うの?」
「夕飯だよ」
「俺も行く」

もう、約束の時間はとっくに過ぎている。今から、行ってもきっと、いないだろう。それなのに、今更、どうして?
「寒いから待ってな」
そう言って出かけてしまった。半助がきり丸をおいていくのは、よくあることだ。今日に限ったことではない。それなのに、きり丸は無性に不安になった。もう、半助が帰ってこないのではないかと。
一人、土間の上がりに腰をかけ、足をフラフラさせる。今ごろ、先生はどうしているかしら?今ごろ、しずさんとあっているかしら?きり丸は「しずさん」の顔を想像してみた。が、きり丸はあまり、女の人を知らない。自分の母親か、隣のおばちゃんか、バイト先の知り合いか、乱太郎の母親か。そんなくらいだ。
「ごめんください」
声の方を見ると、一人の女性が暖簾を片手で上げて立っている。瞬間的に「しずさん」と分かった。が、何も云えずにいると
「坊や。ここは半助さんのおうちでしょ?坊やは何処の子?」
まるで、きり丸が勝手に上がりこんできたような言い草だった。きり丸はムッとして言い返す。
「おばちゃんこそ誰さ?ここは俺の家だい!」
「お姉ちゃんはね、半助さんの知り合いなの。間違えたのかしら?ここは半助さんの家じゃないの?」

相手もきり丸の『おばちゃん』発言にムッとしたようだ。
「ここは、半助さんと俺の家!」
本当は「半助さんの家ではありません」と言ってやりたかったがそれは嘘になるのでいえない。嘘をついたら半助に叱られる身の上なのだ。
「あら、じゃあ、待たしてもらえる?」
そう言って、暖簾をくぐって二歩ほどこちらに歩いてきたとき、きり丸は自分でもびっくりするくらいの大声をだしていた。
「だめ。ここは俺んちだからダメ」
女は意地悪な顔になって言い返す。
「でも、半助さんの家でしょ?私は半助さんのお客さんなのよ。そんな風にしていいのかしら?」
「いいもん。おばちゃんなんてお客さんじゃないもん」

きり丸だってひるんではいられない。どうしてもこの女に家に上がりこまれたくない。半助が帰ってくるまでに帰ってほしいのだ。
「私は半助さんの恋人なのよ」
「おばちゃんの嘘つき!」

きり丸は大声をあげる。が、相手も負けておらず、
「あら、本当よ。結婚する約束もしているのよ」
「嘘つき!嘘つき!!」

きり丸は立ち上がって、土間においてあるひしゃくをつかんだ。これで水でもかけてやろうと思ったのだ。
「きり丸、何を騒いでいるんだ?」
「先生!」
「半助さん!」

半助は振り返った女を見るなり、嫌な顔をした。
「先生、このおばちゃん、先生と結婚するって嘘つくんだ!!」
「嘘じゃないわよ。随分、前にしたのよ」

二人は、またギャーギャーとわめきだした。
「うるさい!」
半助が突然、二人を上回る声で叫んだ。それから、きり丸を片手で抱き上げ土間から上がりへのせる。
「部屋に入っとけ」
ぐずぐずしているきり丸のおしりを一発叩いて
「はやく!」
半助が本気で怒っているのできり丸は慌てて奥の間まで引っ込む。それを見届けた半助は、今度は女に向かって、冷たい声で静かに言う。
「帰ってくれないか」
「私は話しに来たのよ」
「話すことはもうないだろう。二度と来ないでくれ」

半助の声は冷たい。きり丸に部屋に入るように言ったときより、ずっと静かな声だが、比べようも無いくらい冷たい。
「私は・・・」
「少なくとも俺に話すことは無いんだ」

半助の取り付く島のない様子に女も諦めて帰って行った。女を見送ることもせず、半助は部屋に上がってきた。
「きり丸、びっくりしただろ?」
「あの人、しずさん?」

引き戸に隠れてみていたきり丸は恐る恐る聞いた。
「ああ。もう随分、会っていなかった。もう、会うこともないと思っていたよ」
「でも、しずさんは会いたかったんでしょ?だから御茶屋で待っているって」

半助が本当にしずに会いに行ったわけではなかったと安心感からきり丸は口を滑らせた。
「きり丸、なんでそんな事、知ってるんだ?お前、手紙、読んだな?」
「ち・・・違うよ。読んでないよ。えっと、えっと・・・」

きり丸は必死に言い訳を考えたが、いい言い訳が思いつかない。人の手紙を読んだりするのはいけないことだ。いけないと分かっていてやるのは、もっといけないことなのだ。
「お仕置きしてやるから、こっちにきておしりだせ!」
「え・・・えっと・・・夢で見たの!夢で!!」

半助はきり丸の苦しい言い訳なんて無視して、きり丸を膝に抱える。袴を下ろして脅かす。
「今すぐ、ごめんなさいと言わないと、うんと痛くするからな」
「本当に見てないもん!」

往生際の悪いきり丸。半助は遠慮なく、力をこめて一発叩く。そのとたん、きり丸の返答は一変し、
「ごめんなさい!ごめんなさい!!もう、手紙、見ません!!」
「やっぱり、じゃないか!もう、遅い。今日はうんと痛くする!!」

数回、力をこめて叩いてから膝から下ろす。きり丸はいつもより、ずっと痛いお仕置きに大泣きで「ごめんなさい」と「もうしません」を繰り返していた。膝から下りてもまだ、大泣きなので半助は「よしよし」となでた。自分が泣かして、自分がよしよしするのも不自然だか、この家にはきり丸のほかには自分しかしないので仕方ない。
「痛かったか?」
「うぅぅえぇぇ」
「よしよし、もうしちゃダメだぞ?」

きり丸は声が詰まって返事が出来ない。だから、頷いてみせる。相当、懲りたらしいので半助はもう一度、髪をなでる。

 布団に入ってから、きり丸は半助に話し掛ける。
「ねぇ、先生。もし、俺に昔の恋人が来たらどうする?」
「10歳のお前に昔の恋人はいないだろう」

半助は笑ってしまった。
「もし、もしだよ!先生!」
きり丸は半助の脇腹をかるく突く。こんな風に笑われるのは嫌なのだ。
「そうだなぁ。どうするだろう?」
半助は考えてもみなかった事を真剣に考えるが、どうしても具体化できない。実際に、きり丸は自分の恋人なんだけど、過去に恋人がいたとは考えられない。今、自分の恋人って事でも世間的には不自然なんだから。
「俺みたいに手紙、読むよ。きっと」
「私はお前ほどやきもち焼きじゃないよ!」

きり丸は、ちっちっちっと指をふり、
「先生、愛の大きさとやきもちは比例するんだよ」
半助は呆れた声になり、
「お前、何処でそんなの聞いてきたんだ?」
また、ろくでもない所でバイトしているなと感じる。
だからね、俺が手紙を読んだのは先生を愛しているからだよ。それなのに、あんなに叩いてさ」
 なるほど、言いたかったのはそれなのか。半助はきり丸の言いたいことをその先まで読んで
「わかったよ。明日、おしるこでも食べに行こう」
「やったぁ!!」







あとがきです。
今回は土井先生の過去の恋人がでてきました。
原作とかには出てこないですが、たぶん、一人や二人はいることでしょう。
なにせ25歳ですから。
きりちゃんがやきもちを妬いていますが実際には土井先生のほうがやきもち焼きのような気がします。
どうでしょう?


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この記事に対するコメント

先生に恋人なんて
ちょっとびっくりでした

でも
ヤキモチやくきりちゃん
かわいいですね~


そんな風に想ってくれたら
先生も嬉しいですよね
【2009/03/30 15:38】 URL | チカ #- [ 編集]


まさかの昔の恋人登場ですね。
あれだけハンサムでいい人ですから、恋人の一人や二人いたのでしょうね。
きりちゃんと出会う前は結構適当だったのかも・・・(無茶したり)。
きりちゃんという守りたい人が現れて、土井先生も大人になったのかもですね。
恋人もいないくせに偉そうなことを書いてしまいました・・・^^;
【2009/03/30 19:36】 URL | セディール #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> 先生に恋人なんて
> ちょっとびっくりでした
>
> でも
> ヤキモチやくきりちゃん
> かわいいですね~
>
>
> そんな風に想ってくれたら
> 先生も嬉しいですよね



こんにちは。
先生も若い時は案外、モテたのかもしれません。
きりちゃんの前に恋人の一人や二人・・・
そんな事を思って書きました。

ヤキモチは妬いても仕方がないのに焼きますよね
赤ちゃんだって妬くし、兄弟でも恋人でも。

【2009/03/30 20:27】 URL | ゆっち #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> まさかの昔の恋人登場ですね。
> あれだけハンサムでいい人ですから、恋人の一人や二人いたのでしょうね。
> きりちゃんと出会う前は結構適当だったのかも・・・(無茶したり)。
> きりちゃんという守りたい人が現れて、土井先生も大人になったのかもですね。
> 恋人もいないくせに偉そうなことを書いてしまいました・・・^^;



こんにちは~
先生の恋人を勝手に書いてしまいました。
私も先生は若い時は案外モテたと思います。
モテたのでその適当だったと思います。
セディールさんはお若いのでこれから素敵な恋人と出会うことでしょね~
もう恋はできない私にはちょっとうらやましいです。
あの時のドキドキをもう一度!!
【2009/03/30 20:29】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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