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行方不明の海賊 2
「そんな訳でやってきたのですが」
舳丸の長い話が終わった。しかし、せっかく来てもらったのに半助もきり丸も第三協栄丸の行方は知らない。行方を知らないどころか行方不明になっていたことすら知らなかったのだ。
「あの人もよく姿を消すなぁ・・・」
半助は思わずつぶやいた。海賊のお頭なんて立場にある人なのにとっても繊細な第三協栄丸。かつて何度、姿を消したことか。
自分の力量を思い悩んで。
部下とのコミュニケーションに悩んで。
海賊の行く末を悩んで。
悩むたびに姿を消す。とても繊細な人だと半助は思った。
が、きり丸はそ思わなかったようで
「大人も家出するんだねぇ」
なんて感心したように笑っている。網問は網問で
「もう、お頭ったら。言いたい事があるならはっきり言えばいいのに」
この家も空振りで憮然とする。さっきまでの舳丸と二人きりという重い空気から解放された気楽さからか思わず本音が出てしまう。
きり丸は大いに頷いて
「なんで、大人って訳のわからない事するんだろ」
と、網問に同調する。きり丸は半助の行動がよくわからない時がある。きり丸から見て意味のないことも多いように思えるのだ。例えば、新しい着物は必ず裏返してから着る。例えば、朝に生味噌は食べない。例えば、きり丸にくれるお菓子は必ず奇数だったり。こんなことのすべてがきり丸には意味のないことで、意味のわからないことだ。
だけど、半助は繰り返す。絶対にそれを破らないのだ。
「ホントにねぇ。大人って困るよねえ」
と、網問も納得する。網問だって同じだ。第三協栄丸や舳丸がすることの意味がわからないことが多い。言いたい事があるのに言わないなんてもっともわからないことの一つだ。
網問は言いたい事は言う。それが普通だと思う。血のつながりはないけど、家族なのだから。言いたい事ははっきりと言うべきだと思っている。
そんな二人だから気があってうんうんとうなずき合っている。
うなずく子供たちを見て半助は少し笑った。それからとても優しい声になっていった。
「大人はね、素直じゃないんだよ」
「??」

2人の子供はじっと半助を見た。
「子供みたいに素直になれたらよかったんだけどね。そうなら網問君に謝れたんだけどね」
半助の答えに網問は驚いてすっとんきょうな声を出した。
「俺ぇ?」
自分の出した声の甲高さに驚く。もうすっかりと声は低くなったと思っていたのに思わぬ時に子供のころの声が出た。
「なんで?謝るのは網問さんなんでしょ?」
きり丸も驚いて声を上げる。黙っていたのは舳丸だけだった。
「そうだよ。お頭に謝らないといけないのは俺だよ、ねぇ?」
「・・・・・」

舳丸はやっぱり黙っていた。
ずっと黙っている舳丸に代わって半助が話し出す。
「第三協栄丸さんはね、商人の家で網問君をかばってやれなかった自分に腹が立ったのさ。だけどね、商人とやりあうわけにもいかない。これ以上、網問君が言われるのを聞いていられなくなったんだと思うよ」
「お頭・・・・」

網問はすっかりしょげてしまった。第三協栄丸の気持も知らないで、早く街で遊びたいなんて思っていた自分が嫌だった。何も言わないで言ってしまった第三協栄丸に腹が立っていた自分が情けなかった。これでは商人に馬鹿にされても仕方がない。自分は半人前だ。大事にしてくれる人の思いやりにも気がつかないなんて。子供だ。半人前だ。
「いったい、何年、お頭といるんだ・・・」
網問を横目でにらんで言う。
「だって・・・・・俺・・・・だって・・・」
こんな時に「だって」なんて言ってしまう自分がますます嫌だった。「だって」なんて子供が言い訳に使う言葉だ。自分が悪くっても許してほしいなんて甘ったれた気持のときの言葉だ。
「人の気持も考える。それが大人のルールなんだよ。なんでも思った事をすべて口にしてもいいってわけじゃない。家族でもそうなんだぞ」
舳丸にしては優しい声。そして髪をなでてくれる。こんな風に舳丸に髪をなでてもらうのは久しぶりだ。なんだか小さい時に戻ったような気がする。
「うん・・・」
あまり多くを話すと涙が出そうになる。だから、短く返事をした。
「よし!」
しょげる弟分の頭を軽くはたいてから、戸口の方を向いた。
「お頭もそろそろ出てきたらどうです?」
「え?お頭?」

驚いて勢いよく顔を上げる。
「第三協栄丸さん?」
きり丸もびっくり顔で戸口を見る。
今度は半助だけが黙っていた。先ほどの舳丸と違ってやさしい笑顔で。
「俺たちが入る前から隠れていた癖に」
舳丸にそう言われて第三協栄丸はばつの悪そうな顔で出てきた。網問はともかく、忍者の卵のきり丸まで驚いているのには困りもの。
「お頭・・・」
網問はなんて言っていいかわからなかった。こんな時、言葉が通じなければいいと思う。もし、こんな時、生まれた国の言葉しか知らない頃なら、ただ笑っていればよかったのだから。でも、今の自分はこの国の言葉を話せる。
話せるようになったのは今、目の前にいるお頭はじめ兵庫水軍の強面のおかげだ。
「その・・・網問、悪かった」
バツの悪そうな声ながらも第三協栄丸は男らしく謝った。
「えっと・・・えっと・・・」
自分の足ばかりを見てしまう。こんな時は、一緒にいるのが舳丸じゃなければいいと思う。もし、一緒にいるのが優しい鬼蜘蛛丸だったらとりなしてくれただろうから。でも、一緒にいるのは無口な舳丸だ。
無口だけど、自分の面倒を一番よく見てくれた舳丸だけだ。
「網問、怒っているのか?」
さっきから口ごもっている網問に不安になる第三協栄丸。
「違います!お頭!お頭が、えっと、お頭が・・・えっと、俺、お頭が好きです!」
大いに焦って言ったのがこのセリフ。なんだかね。なんだかなんだけど、第三協栄丸には網問の誠意が大いに伝わった。
「そうか、こんな総大将ですまん!」
第三協栄丸は網問を抱きしめた。小さなときから何度もこうして抱きしめてきた。だけど、その体はもう自分よりも大きくてたくましい。
「俺こそ、こんな水夫ですみません!!」
体は大きく成長しても中身はまだまだの網問もしっかりと第三協栄丸に抱きつく。
2人は盛り上がって抱き合っていた。体格のいい男が抱き合うのは非常にむさくるしいが、美しくもある光景だった。
が、そんなワビサビはまったく理解できていないおこちゃまは大きな声で言い放つ。
「ダメだよ!悪い時はごめんなさいって言わないと!!」
その声で急に我にかえって離れる2人。冷静になるとけっこう恥ずかしい。
「・・・・・」
「謝る時は、悪かったとかすまんとかじゃなくってごめんなさいって言わないとだめなんだから!」

三人の海賊はじっときり丸を見ている。きり丸は大真面目な顔だ。半助一人、大笑い。
「先生?」
海賊たちの視線を受けて半助は一言で説明した。
「我が家の教育方針です」






あtがきです。
海賊さんたちは無事に海へ帰って行きました。
帰る途中に街でなにかいいものを食べたかも知れません。
他の人には内緒って言われても網問君は言ってしまうかもしれません。
そんなわけで、今回はきりちゃんの影が薄いですね・・・
でも、海賊さんたちも書いてみたかったので楽しかったです。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
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