かわいいきりちゃん。
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行方不明の海賊
「こんにちは~」
家の中で宿題をやらされていたきり丸はこんな声がかかると慌てて玄関のほうにすっ飛んでいく。勉強を中断するチャンスだ。
それに、今日の「こんにちは~」はよく知っている人の声だ。兵庫水軍の網問。兵庫水軍では下っ端だけど、きり丸とは仲良しで気安い相手なのだ。
「網問さん!!いらっしゃい!!」
転がるように出てくるきり丸を抱きとめてくれたのは網問ではなく一緒に来ていた舳丸。この人は水練の人とからしくって網問より兄貴分なのをきり丸はちゃんと知っている。
「きり丸君、こんにちは」
「こんにちは」

顔に愛想は無いが優しい人だという事だってちゃんと知っているきり丸は人見知りする事もなくご挨拶をした。
『でも、変なの・・・』
第三協栄丸のお使いで網問が来る事はよくあるが、舳丸が来るのは初めてだ。この前、学園に来たときは間切と網問との二人だった。二人ともけっこう下っ端だからお使いもあるんだろうけど、舳丸がお使いなんて・・・。
「やぁ、どうしたんだい?」
きり丸が逃げ出した宿題の本を片付けながら半助が言う。舳丸は相変わらず表情を変えずに会釈した。その横で網問が閉まりのない笑い方で
「へへ、実はお頭を探しているんです」
と、なんだか恥ずかしそうに言った。網問の言うお頭とは第三協栄丸のことだ。第三協栄丸は海賊のお頭なのだから海にいるはずではないのか?
「第三協栄丸さん、どうかしたの?」
「お頭、迷子になっちゃって・・・」

網問は妙な笑顔のまま言う。その網問の後頭部を一発叩いてから舳丸は
「バカタレ」
と、無表情に言い放つ。一体、なにがあったのか。きり丸は興味心身である。もちろん、半助だって興味心身だ。
「実はですね・・・」
へらへらと笑って誤魔化そうとしている網問をにらんでから舳丸は話し出した。

それは、今朝から舳丸は第三協栄丸のお供で街の商家へとやってきていたのだ。海賊だって商家と仕事の取引があるのだ。それの打ち合わせに。第三協栄丸直々に出向くほどの仕事なので、お供はしっかり者の舳丸が選ばれたのだけど、それにくっついてきた網問。
「ねぇ、お頭。商談がうまくいったら帰りにあれ食べたいです」
16歳の網問は食べ盛り。しかも、街では海にない珍しいものが並んでいる。そうなれば、あれもこれも食べたい。そうなれば、当然、お頭の第三協栄丸にねだるしかないのだ。
「よし、よし、わかった。わかった」
第三協栄丸はもともと優しいお頭だし、一番年下で親も兄弟もいない網問にはやっぱり甘かった。
「お頭、網問のわがままなんて放っておけばいいんです。そんな事より急ぎませんと」
お頭と違ってなかなかに厳しい舳丸。
「フンだ・・・」
網問はブツブツと文句を言っていたが7歳も年上の舳丸にはなにをしても敵う訳もなく・・・。しかしながら大きな声では文句は言わなかった。商談が終わればきっとお頭がなにかご馳走してくれるだろうし、そうなれば舳丸だって何も言わないだろうと思っている節もあるからだ。
「網問、そうむくれるなよ」
まるっきり無視を決め込む舳丸とちがって第三協栄丸は網問のご機嫌を取り結んでくれた。
「はぁい」
間延びした返事を返す網問。そんな網問になにか言いたそうな舳丸だったが口に出してはなにも言わなかった。元来、無口なほうなのだ。
商家につくと商船の上乗りの話はとんとん拍子にすすんでいった。日取りも人数も決まったところでやり手の商人は
「うちどもはいつもそちらをご贔屓にさせていただいているので・・・」
などと言い、値切ってきたのだ。第三協栄丸にしても「ああ、そうですね」なんて簡単には言えない。なにせ、兵庫水軍を束ねる身なのだ。
「それでも、決めた賃金はいただかないと」
「いやぁ、でもねぇ・・・あの水路はいま穏やかでしょ?正直、上乗りはいらないんじゃないかって話も聞いてますし・・・」
「いま穏やかな海が、ずっと穏やかではありませんよ」
「しかし、どうでしょうねぇ」

第三協栄丸の左隣で正座をしていた網問はすっかり退屈になった。出された大福はとっくの昔に食べてしまってやる事もない。ちらっと見れば舳丸は大福に手をつけていない。そっと手を伸ばすと、にらまれる。
[行儀が悪いぞ]
舳丸は口だけでそう言った。だけど、やはり兄貴分。自分の皿を網問のほうに押し出してくれた。遠慮なく食べ終わるとまた退屈になる。今度は第三協栄丸の大福に手を伸ばす。が、今度はおしりをつねられた。もちろん、つねったのは舳丸。
[後でひどいぞ]
今度はさっきよりもっと怖い顔で言われた。さすがの網問も諦めてまた大人しく座っている。しかし、やりて商人と第三協栄丸の話は長い。二人とも互いの主張を譲らず堂々巡りだ。
『あ~あ、退屈・・・』
あくびを我慢しながらちらちらと商人の顔を見たり、第三協栄丸の顔を見たりしていた。ただあんまりキョロキョロしていると舳丸が怖いので控えめにしていたのだ。
「では、どんな事があっても積荷を守っていただけるという保障はありますかね?」
「もちろんです!うちのものは皆、優秀なものばかりです」

第三協栄丸は胸を張って言ったが、お供の網問をみればそうは思えない。
「しかし、そちらの子も水軍の一員なんでしょ?」
突然、自分に話題が振られてしまってどぎまぎする。だって、早く話がまとまって街に遊びに行きたいなんて事ばかり考えていたものだから。どぎまぎする網問とは違って第三協栄丸は自慢げに
「そうですとも!こいつは16歳にして立派な水軍です」
と、答えた。しかしながら商人は疑わしそうな目つきで網問を見る。
「この子がねぇ。お前さん、潮の流れは読めるのかい?」
「・・・・・」

網問は返答に困った。船が流されないようにする程度の潮目は読めても鬼蜘蛛丸のように出来る訳ではない。あれくらい出来て初めて胸をはっていいものだと思っているからである。
「頼りないねぇ・・・じゃあ、水練のほうはどうなんだい?」
これも困る。もちろん泳げるが、舳丸や重のような訳にはいかない。
「じゃあ、お前さんは腕っ節が強いというのかい?」
意地悪そうな顔になってくる商人。誰がどう見たって網問が腕っ節が強いようには見えないのに。
「腕っ節なら義兄ィが・・・」
少しでもいいように聞こえる返事をしたいと思った網問は少々小声ながらも返事した。海千山千の商人は鼻で笑って
「じゃあ、お前さんはなにが出来るんだい?これで優秀とは話になりませんよ、お頭」
と、第三協栄丸に向き直った。網問はなんていっていいかわからず、へらへらと笑って誤魔化した。怒りたかったがここで怒っては商談はパァになってしまう。自分のためにそんな事は出来ないのだ。兵庫水軍は大家族。稼げる金銭は稼いでおくに限る。舳丸だって同じ気持ちだ。弟分の網問をここまでコケにされて黙っている事は忍耐以外の何物でもない。
商人はさらに追い討ちをかけてくる。
「お前さんはなんのためにお供してきたんだい?」
「え・・・。あっ、街で何かあるかと思って・・・」

言いながらしまったと思った。もっと、他に言いようがありそうなものなのに。どうしてバカ正直にいったのか。
「まだまだ子供ではないですか、お頭」
商人はいやらしい高笑いをした。明らかにこちらをバカにしている。見下している。
「お頭!!」
いままで黙っていた第三協栄丸が突然、立ち上がって部屋を出て行ってしまったのだ。すぐに網問も後を追おうとしたが舳丸に引っ張られる。
[座ってろ!]
その顔は凄みが聞いてなかなかの迫力。
「でも・・お頭が・・・」
「申し訳ございません。水軍のものは皆、陸に不慣れで、お頭も陸酔いになったのでしょう」

舳丸は無表情に言って、商人に頭を下げた。それから、商談をまとめて商家を後にする。
「あ~あ、結局、値切られちゃったねぇ」
網問は舳丸のご機嫌を伺うような目つきである。今回、値切られたのは自分が下手な受け答えをしたせいと思っているのだ。だから、舳丸がどれ程、怒っているかが気になる。第三協栄丸が姿を消してしまったのも自分が頼りないから怒ってしまったのだと思う。
「まぁ、仕方ねぇさ。商人は値切ってくるものだ」
以外に怒っていない舳丸。と、思ったらやっぱり全力で怒っていた。くるっと網問のほうを振り向くと盛大に拳骨を落とした。
「このアホンダラ!!お頭、探して来い!!」
「痛てぇ・・・ でも、値切られちゃったからお頭に言いにくいよ」

渋る網問にもう一発拳骨を落として
「クソッタレ!お頭はそんな事を怒る人じゃない!!」
お頭がなんで怒ったのか網問にはわからない。自分の受け答えでもなく、値切られた事でもないと舳丸は言う。だけど、それ以外は網問には分からなかった。二人はあてもなく第三協栄丸を探して歩いた。
「ねぇ、兄ィ。こんな風にしているよりさ、土井先生の家に行こうよ。あそこはここから近いし、お頭だって行ってるかもしれないよ」
無口な舳丸と二人で当てもなく歩くというのはなかなか苦痛だ。普段の網問なら舳丸が無口でも無愛想でも気にしない。だって、それが舳丸だから。
でも、今日は違う。舳丸がしゃべらないのは自分を責めているような気がする。
「土井先生の家?お頭がそんなとこに行くかな・・・」
舳丸は考える。土井先生は頼りになる人だが果たして頼って行ったりするだろうか?子供じゃあるまいし。
『子供かぁ・・・』
子供で土井半助の家にいるきり丸を思い出す。あの子ならお頭と仲良しだし、お頭だって頼りこそはしないだろうが気分転換に行った可能性もある。






あとがきです。
今回は海賊さんが主役です。
舳丸さんの役どころはほかの人でもよかったのですがマンガで網問君がため口をきいていたので、仲がいのかなと思って起用しました。
16歳と23歳って案外、歳が離れていますね。
網問君は水軍で一番若いのでけっこう自由人っぽい気がします。

そんなわけで明日もよろしくお願いします。
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この記事に対するコメント

久々に海賊さんが登場ですね。
原作やアニメでは厄介ごとを持ち込んでくるお頭ですが、ここでもなにやら問題が
ありそうですね。
明日、どんなふうに話が進むのか、とても楽しみです。
【2009/03/26 18:40】 URL | セディール #- [ 編集]

Re: タイトルなし
> 久々に海賊さんが登場ですね。
> 原作やアニメでは厄介ごとを持ち込んでくるお頭ですが、ここでもなにやら問題が
> ありそうですね。
> 明日、どんなふうに話が進むのか、とても楽しみです。

いつもありがとうございます。
海賊=厄介ですよね~
それにしても兵庫水軍は厄介事が多いですよね。
アニメでも原作でも・・・
クジラを捕まえたりしているから案外、裕福とみたんですが。
裕福な暮らしの割には私の書いた網問君は大福に執着を・・・
【2009/03/27 17:10】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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