かわいいきりちゃん。
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ごめんなさい
きり丸は今日も半助が見れば激怒する事間違え無しといった事をしていた。
きり丸に言わせれば「楽しい事」、半助に言わせれば「くだらない事」。それは、窓の面格子に綱を輪にかけてその輪の中に自分が入り胸辺りに綱をかけ、ブラブラとしていた。それは一見、楽しいだけの遊びだが、もし、支えにしている足がすべれば首がしまってしまうかも知れないし、綱が切れれば確実に床に叩きつけられる。
しかし、きり丸はそんな危険が潜んでいるなんて全く気がついていない。だから、とっても楽しく遊んでいる。
「ぶんぶんぶーん!!」
まるで半助がだっこの時に振り回してくれるみたいな感覚が楽しい。調子に乗ってきたきり丸は勢いをつけた。
「大きくぶんぶんぶーん!!」
体を揺らすたびにポニーテールの髪が頬に当たるのもまた楽しいのだ。そんな風に楽しければますます調子に乗ってしまうのはきり丸の悪いところなのか。それとも、子供の特性なのか。もっと、大きく揺すろうと、渾身の力を綱にかける。
その時、全身に衝撃が走った。
全身を床に叩きつけられたのだ。
「っ!!」
あまりの痛さに息が出来ないほどだった。おチビのきり丸はこのまま死んじゃうんじゃないか?と心配になるほどの痛みだ。痛すぎて声も出ないし、痛すぎてなく事も出来ない。
やっとの事で声が出たのはずいぶん経ってからだった。
「痛て~・・・」
この場に半助がいれば大声で泣いているところだが、今、家には自分しかいないのだ。こんな時は案外、痛くても泣かずに我慢できるもので、きり丸はヨロヨロと起き上がった。
起き上がってからの衝撃は、床に叩きつけられた時と同じくらいのものだった。いや、それ以上かもしれない・・・
「どうしよう・・・」
足元に転がっているものは、さっきまで窓にはまっていた面格子。今は床に転がっている。つまり、先ほどの衝撃は綱が切れたのではなく、面格子が折れたのだった。
「・・・・・」
窓を見ると、一本、足らない。当然だが、一本、折れてしまっているのだ。きり丸は折れた面格子を拾い上げて、窓に沿わしてみる。折れたところがぴったりと合う。そんな事をしても当然、くっつかない。
「のり!!」
きり丸は慌てて行李を引っ掻き回した。のりで貼り付ける気なのだ。大人が考えれば全く無駄な事でも、小さなきり丸にはわからない。
「そ~っとね」
けちなきり丸にしては大盤振る舞いにのりをつけて、再び、折れたところをあわす。
が、当然、くっつかない。きり丸が手を離せば、当たり前のように落ちてしまった。
「どうしよ・・・」
早くしなければ半助が帰ってきてしまう。ぐずぐずしている場合ではないのだ。だが、のりがだめなならもう手立てがない。「物と物をひっつける」。この行為を成し遂げるのに、きり丸は「のり」しかしらないのだ。
『しらんぷりしちゃおうかな?』
そんな事も思い浮かぶが、すぐに諦めた。しらんぷりなんてしても、どうせすぐにばれちゃうのだ。ここは一つ、正直に謝ったほうがいいと思うのだ。
「先生、怒るだろうなぁ・・・」
半助がどれくらい怒るものかと考える。
普段は優しい半助だが、ときどきものすごく怖いのだ。拳骨のときもあるし、押し入れに放り込まれるときもある。そして、きり丸が一番、恐れるのはおしりを叩かれることだった。拳骨は一回だし、押し入れは暗くて怖いけど、お家の中だから案外、平気だ。だけど、おしりを叩かれるときは10回とか、20回とかだし、よほど運がよくない限り袴を下ろされちゃうのだ。だから、拳骨よりもずっといたいのだ。
「やっぱり、黙ってようかな・・・」
まだ叩かれていないのに、もう、おしりをなでてしまう。だって、どれくらい痛いかはよく知っているのだ。そんな事は知りたくないのだけど、よく知っている。イタズラ坊主で生意気小僧のきり丸。
「黙っててもわかるよ!」
きり丸は飛び上がった。いつもは大好きな半助だが今日は会いたくなかったのだ。会いたくなかったが、帰ってきてしまったのだ。帰ってくるのは当たり前。ここはきり丸の家でもあるが半助の家でもあるのだから。その上、ちょっとお買い物に行っていただけなのだから。
手に持っている木片を隠しようもなく、どうしようもなく
「先生!ごめんなさい!!!」
真っ先にそう言った。半助は窓を見ながら
「派手にやったなぁ・・・なに、してたんだ?」
と、のんきに聞いてきた。それほど、怒っているような様子はない。ただ、また大家さんに怒られるなんてことを気にしているようだ。
そんな半助に安心してきり丸は正直に話す事にした。
「あのね、あそこにね、これ、かけてぶーんって」
きり丸の話を聞いているうちに半助の顔つきが厳しくなっていく。そんな半助を見ながらきり丸は内心、まずいかもしれないなんて思っていたが今さら嘘をつけるほど器用ではない。
「で、折れちゃったの・・・」
すっかり、上目使いになってしまう。その上目使いで見た半助はかなり怒っているときの顔をしている。
「きり丸、先生、普段からなんて言っている?」
顔だけではない。声だって怒っている。
「やっちゃったものは仕方ない・・・?」
きり丸だって半助がそんな事を言えと言ったのではないと分かっている。だが、自分にとって都合のいい事を言ったのだ。今の半助を見ていると誰もがそんな言動をとるだろうと、いうほどの顔つきなのだ。
「違うでしょ?」
「違わないよ。先生、いつも言うじゃん・・・」

確かにいつもそういう。きり丸がイタズラではなく、誤って物を壊してしまったりしたときは。
「きりちゃん!」
半助はますます怖い顔をする。知恵の回るきり丸はここらで大人しくしたほうが身のためと判断した。
「先生、ごめんなさい」
「あのね、そんな事したら危ないの。きり丸だって痛かったでしょ?」

半助は怒っているというより、冷静に言い聞かせているときの声になる。危険な行為は絶対禁止なのだ。二度としないようにしっかりと伝えておかなければならない。
「うん、痛かった」
「今回は痛かったで、すんだからよかったけど、死んじゃうかもしれないんだぞ。首が絞まっちゃう事だってあるんだぞ」

半助の真剣な顔はきり丸の反発心を奪い取る。しょんぼりとした返事はすっかりと元気のないものだった。
「うん・・・」
袴の裾をイジイジ。居心地が悪いのだ。こんな怒られ方よりいつものように「こらぁ!!」と、怒鳴られるほうがずっといい。
「先生、普段、なんて言ってる?」
「危ない事はしちゃいけませんって・・・」

きり丸は言い辛そうに言う。
「いけない事ってわかっているね?」
「うん」

本当はわかりたくないのだ。だけど、わかっているから「うん」と返事しなければならない。半助はしっかりときり丸を見ているが、きり丸は半助を見ない。この次に半助がなにを言うかも分かっている。
「じゃあ、おしりを出しなさい」
やっぱりね。そんな心境だ。このまま「じゃあ、ごはんにしようか?」なんて事にはなるはずない。
「ごめんなさいって言ったよ?」
きり丸は不満げに言う。ちゃんと謝ったのにおしりを叩かれるなんて。納得いかない。
「ごめんなさいですまない事もあるんだよ」
半助はゆっくりと首を振りながら怖い顔をしてみせる。かわいそうな気もするが、危険な遊びをした時は厳しく叱ると決めている。そして、それはきり丸にも普段から伝えてある。それでも、目を離すとこうなのだから。きり丸の安全を守るためには心を鬼にする事も大切なのだ。
「すむときもあるでしょ?」
きり丸はだめもとで言ってみる。もしかしたら、許してもらえるかもしれない。だって、正直に言ったのだから。面格子を壊したのは悪い子だし、危ない遊びをしたのも悪い子だった。でも、正直にごめんなさいと言ったのはとてもいい子だと思う。だから、その分、差っぴいて欲しいのだ。
「今回はすまない事だよ」
半助は再びゆっくりと首をふった。
「痛い思いもしたのに・・・」
きり丸はぶつけた膝を見せる。
「それについては、あとでよしよししてやるよ」
「おしりも痛くなるでしょ?おしりもよしよしするの?」

きり丸は口を尖らせた。痛い思いをかわいそうと思ってくれるならおしりを叩くのはやめて欲しい。
「おしりはしないよ。痛いままでいなさい」
が、おしりはよしよししてもらえないらしい。痛いままでいろなんて、なんて意地悪な事を言うんだろう。自分は半助の愛しい恋人なのに。
「先生、意地悪」
膨れっ面。
「きり丸、意地悪」
負けずに膨れっ面。
「俺、なにもしてないじゃん」
ますます負けずに膨れっ面。だって、意地悪なのは半助のほうだ。今から、おしりを叩くって宣言しているのだから。それに引き換え、自分は意地悪なんてしていない。
「したよ」
半助はきっぱりと言った。こんなにきっぱりと言われるほどの意地悪ってなにをしてしまったのだろう。きり丸はチラッと窓を見た。一箇所だけ表がよく見える。
「なに?窓、壊したから?」
「違うよ。きり丸が痛い思いしたら、私も痛いんだよ。体は痛くなくても、心が痛いんだよ」

きり丸は黙ってしまった。「ごめんなさい」と言いたいけど、さっき「ごめんなさいではすまない事もある」と言われたばかり。
なんて言っていいのか、なにを言うべきなのか。
「・・・・・おしり、出します」
考えた挙句、そう言った。
それから、もういいって言うほどおしりを叩かれた。泣きべそで言ったのはやっぱり
「ごめんなさい」
だった。また、「ごめんなさいですまない」と言われるかと思ったが半助は優しく抱きしめてくれて
「どこが痛かったの?」
と、髪をなでてくれた。今まで自分のおしりを叩いていた半助がいつもの優しい半助になっていて、それがますますきり丸を泣かせるのだ。
「わかんない・・・でも、痛かったの・・・」
涙ながらに訴える。半助の胸に頬をぴったりとくっつけて。こんな風にされると、いつだって『やりすぎたかなぁ』なんて後悔が持ち上がる、とっても甘い半助なのだ。結果、甘い声になってします。
「よちよち、痛いの痛いの飛んで行け~。ほら、飛んでいったよ」
背中に腕をぎゅっと回して、膝の上でゆっくりとゆすりながら。こんな風にしてもらうのが大好きなきり丸。大好きなのをよく知っている。
「飛んで行った?まだ、痛い・・・」
こうして何度もおまじないをおねだりする甘えん坊のきり丸。
「じゃあ、もう一回だ。痛いの痛いの飛んで行け~」
こんなおまじない、信じているのはうんと小さい子だときり丸だって思っている。だけど、半助にこうしてもらうと本当に痛くなくなるのだ。ただし、これは半助がしてくれたときだけ。他の人にしてもらっても駄目なのだ。
「もっかい・・・」
甘ったれ。かわいい。
「痛いの痛いの飛んで行け~」
「もっかい・・・」
「もう痛くないでしょ?」

思わず笑ってしまう甘えん坊。こんなに甘えん坊にしてしまってどうしようと思う。反面、いつまでも甘えん坊でいてほしい。
「痛いの」
「甘えん坊め。痛いの痛いの飛んで行け~」
「も・・」

きり丸が「もう一回」と言う前に、半助が大げさなしかめっ面をしてみせる。
「痛い、痛い・・・。痛いのが飛んできたよ」
「嘘ばっか!」

きり丸は笑い出す。だって、自分だってもう痛くなかったのだ。それなのに、痛いのが飛んでいくなんて。ありえない。
「きり丸だって嘘ばっかだろ?」
かわいい丸いほっぺを突付く。やわらかいほっぺは気持ちがよかった。
「先生、大好き」
「私だって大好きだよ」

そんな事を言い合ってもう一度、ぎゅっと抱き合う二人だった。





あとがきです。
まどの格子が折れてしまいました。
子供の破壊力は案外、すさまじいですからねぇ。
ちなみに私は子供の時に洗濯機の上にのって蓋をわりました。
あの当時は2層式洗濯機だったのでそのまま蓋がわれたまま使用・・・
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Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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