かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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おさがり
きり丸は足をブラブラさせて上りに座っていた。
もうずいぶん、そうしている。
「遅いなぁ・・・」
この言葉ももう何度もつぶやいた。
半助は笑いながら、きり丸の髪をなでた。
「そんなに心配しなくてもすぐに来るよ」
「でもさ、道に迷ったかもしれないじゃん」
「まさか。二人とももう何度も来たことがあるだろう」
「そうだけどさ・・」

今日は乱太郎、しんべえが遊びに来る日なのだ。それを朝からずっと待っている。約束はお昼からなのに。
友達が来るのを楽しみにしている姿は10歳らしくかわいらしい。普段はバイトや内職のことばかりなのに。
「ねぇ、先生。髪を結びなおして」
きり丸からのお願いに半助は少々、驚いた。きり丸は案外、器用で髪は自分できれいに結べる。いつも自分で結んでいるはずだ。
「え?珍しいな」
「だって、せっかくのお客さまだもん」

部屋に戻って赤い髪紐を取り出してきた。
「お客様をきれいにしてお出迎えか」
「そうだよ。利吉さんが言っていたんだ。客はきれいにして迎えると儲けが違うって」

きり丸が思っていることと利吉の言ったことでは意味が違う。だけど、このまま誤解しておいてもらうことにした。利吉の言った意味はきり丸には早すぎる・・・
『利吉君・・・ロクなことを言わないね。一度、山田先生にお灸をすえてもらわないと』
半助は利吉の綺麗な顔を思い出す。そして、思い出した顔を思いっきり睨みつけた。
「きり丸、こんな紐持ってた?」
利吉の事はさておき、きり丸から渡された紐には見覚えがないことに気がついた。こういうものは、たいてい半助が買ってやるのだがこの赤いものは記憶にない。
「これね、団蔵にもらったんだ。団蔵はもう赤は似合わないんだって」
きり丸は嬉しそうに振り返った。その拍子に髪が下りてしまう。最初からやり直しだ。
「じっとして。すぐだから」
半助はまたきり丸の髪をとかしなおしていつもの位置にあげる。それから、団蔵にもらったという紐で縛った。
「へぇ、きり丸。赤いのもよく似合うじゃないか」
かわいらしい顔つきのきり丸には赤がよく似合った。半助も笑顔になる。その笑顔につられてきり丸も笑った。それから、鏡を覗きこむ。
「ホントだ。でも、ちょっと女の子みたいかな?」
かわいらしく仕上がったのは結構だが、かわいらしすぎるような気もする。半助は首をふって
「いや、本当に可愛いよ。似合ってる」
そう言いつつ、これをあの団蔵がしていたと思うとなんだかおかしい。はたして、団蔵に似合っていたんだろうか?
半助は口に出さなかったが、きり丸はまだ子供なのか、そういう性格なのか
「これさ、団蔵がしたらどんな感じなんだろ?」
ズバリと言った。自分も思っていた癖に、教師面で
「こら。そんな事、言わないの」
なんて注意する。些細なことでも友達の事については悪くは言わせない方がいい。子供同士はどんなことで喧嘩になるか計り知れないのだ。その結果、クラスで孤立するなんてことになったら、かわいそう。
「はぁい。でも、悪口じゃないよ。俺、団蔵好きだもん」
素直に返事をしたがちょっぴり抗議も入れておく。
「そうだね。団蔵はきり丸の友達だもんな」
「うん」

団蔵は友達、そう強調しておいた。利吉にしろ、団蔵にしろ警戒しておくことにこしたことはない。いまでもこんなにかわいらしいきり丸なのだ。お年頃になったらどんな風になることか。悪い芽は早めにつんでおくに限る。
半助の思いなんて推し量ることなど知らないきり丸は鏡に映った自分の姿をのぞいている。
右を向いてみたり、左を向いてみたり。
「どうした?かわいいよ」
「知ってる」

えらく自信に満ちた返事。では、一体、なにが気になるのか。
「俺さ、お下がりが多いなぁって思ってさ」
「そうかな?」
「うん、髪紐は団蔵のお下がり、小袖は先生のお下がり、袴はお迎えのお下がり。みんな、お下がりじゃない」
「下帯は違うでしょ」

なんだか不服そうなきり丸に半助は言った。確かに、下帯は新しく買った。お下がりではない。
「下帯までお下がりなんて嫌だ!!貧乏すぎるよ!」
頬を膨らませて抗議する。
半助は優しく笑って首を振った。
「お下がりは貧乏だからするんじゃないよ」
「うっそだぁ。俺、母ちゃんたちと暮らしていたときだってお下がりばっかりだったもん!いつだって、兄ちゃんか姉ちゃんのお下がりだった!うちは貧乏だったもん!」

半助の言葉にきり丸は納得しない。だけど、半助はまた首を振った。
「ホント。お下がりはねまだまだ使える物を捨てるのはもったいないし、着やすいからいいんだよ」
もったいないは分かるが着やすいというのはどういうことか?新品の方がぴしっとしていてカッコイイんじゃないだろうか?
「そんな事ないさ。お下がりの方が着やすいよ。だから、赤ちゃんのおむつはたいていお下がりなんだぞ。新品よりお下がりの方が柔らかいし、おしっこだってよく吸うんだぞ」
「そんな事、言われたって・・・」
困るのだ。だって、自分が赤ちゃんだった時なんて覚えていない。新品のおむつよりお下がりの方がいいなぁなんて思っていたかどうかわからないのだ。
まだ納得していないきり丸を膝に抱きあげて
「それにね。お下がりにはいろいろな気持ちが入っているんだぞ。団蔵がくれたこの紐だって自分よりきり丸の方が似合うと思ってくれたんだ。団蔵がきり丸の事を思ってくれたんだぞ。お迎えのおばちゃんがくれた袴だっておばちゃんがきり丸の前の袴が小さくなってるなぁって思ってくれたんだぞ。わざわざ裾をまつりなおしてくれたんだからな」
言われてみれば確かにそうだ。
団蔵だって似合うかどうかは別にして、自分だって髪を縛るのに使えるのにきり丸にくれたのだ。
お迎えのおばちゃんだって、自分の子に小さくなった袴なんて古着屋に売るか雑巾にしてしまってもよかったのにきり丸にくれたのだ。
「俺、別に嫌って言ってないもん・・・」
明らかに不服を言ってしまったが、半助の話を聞くと不服を言った事がとても悪いことだったように思えてくる。
「まぁ、新しいのが欲しい気持ちがわからないでもないけどね」
きり丸の気持がよく分かっている半助はやっぱり優しく言った。
「うん・・・」
「自分の周りに自分の事を思ってくれる人がいるのは幸せなんだぞ」

きり丸の周りにはたくさんの人がいる。その人たちすべてがいい人とは限らないけど、きり丸を思ってくれている人には感謝をする気持ちを持ってほしい。
それが、きり丸自身の幸せにつながっているのだから。
「うん。この小袖も先生が思ってくれたの?」
来ている小袖の袖をイジイジしながら聞く。
これは半助がくれたもの。きり丸には着替えがないからと、自分のを仕立て直してくれたのだ。自分の持ち物の中から一番、きれいな木綿を選んで仕立て直した。
きり丸が少しでも過ごしやすいようにと。きり丸のことだけを思って。
「ははは、そうだね。それくらいは新しいの買えばよかったかな?」
半助は少し照れてしまった。別にお金がなかったわけではない。
裕福ではないが子供の着物一枚くらいはなんとでもなる。だけど、お下がりにした。きり丸と自分は家族なのだと思いたかったのだ。
「そんな事ないよ。俺、大事にする」
きり丸もなんとなく半助の気持がわかった。
そして、この小袖はきっと大きくなっても大事にするだろうと思った。自分は甘えん坊だから半助からのお下がりを誰かにお下がりはしないだろうと思った。
大きくなっても自分だけが半助の赤ちゃんでいたいのだ。
そう伝えると嬉しそうな顔で
「ははは、甘えん坊だな。だけど、その着物はもうお下がりしたくても出来ないよ。きり丸が大きくなるころにはボロボロさ」
そうは言ったがやはりうれしい半助だった。






あとがきです。
今回は私も思いで深い「おさがり」についてです。
きりちゃん同様、またおさがりかぁって思っていたものです。
おさがりで一番悲しかったのは自転車ですね。
友達で私だけぼろいの・・・
あと、家庭科で使う裁縫道具です。
これは兄のお下がりで箱が可愛くないのがいやでした。
ちなみに姉は兄と年子なのであまりお下がりがないのも納得できなかったです。

そして、おしらせです。
明日から一週間ほどお休みさせていただきます。
実家(大阪)に帰り、実家を拠点に京都と奈良に日帰り旅行に行ってきます。
京都は久しぶりに嵐山へ行き、奈良はやはり大仏様へ。
小学校、中学校、高校と遠足でさんざん行ったのに、また行きたくなりまして。
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この記事に対するコメント

おさがりはあまり経験したことがないです。
従姉妹からワンピースを数着貰ったぐらいですね。
上の子だからなんでしょうけど、私は「おさがり」がうらやましかったです。
妹は「お姉ちゃんのばっかり!もういや!!」とよくヒステリーを起こしていました。
それを見ながら「私はおさがりがいいのになぁ」と思っていました。
全国の妹・弟さんたちから怒られそうです。

きりちゃんは大好きな人たちからのおさがりならきっとOKでしょうね。
なんてったって「どケチ」ですからね。

一週間のご旅行とのことですが、思う存分楽しんできてくださいね。
花粉にお気をつけて・・・^^;
【2009/03/09 20:16】 URL | セディール #- [ 編集]

Re: セディールさんへ
> おさがりはあまり経験したことがないです。
> 従姉妹からワンピースを数着貰ったぐらいですね。
> 上の子だからなんでしょうけど、私は「おさがり」がうらやましかったです。
> 妹は「お姉ちゃんのばっかり!もういや!!」とよくヒステリーを起こしていました。
> それを見ながら「私はおさがりがいいのになぁ」と思っていました。
> 全国の妹・弟さんたちから怒られそうです。
>
> きりちゃんは大好きな人たちからのおさがりならきっとOKでしょうね。
> なんてったって「どケチ」ですからね。
>
> 一週間のご旅行とのことですが、思う存分楽しんできてくださいね。
> 花粉にお気をつけて・・・^^;




いつもありがとうございます。
ただいま帰ってきました。
今回は予定していた奈良は雨のため中止しまして。
京都だけ行ってきました。
嵐山の薬師寺です。なかなかきれいな景色でしたよ。
子宝に恵まれると言われるところではかなり真剣に祈ってしまいました。
薬師寺は子供の事が多くて「安産」とか「子安」とか「おねしょ封じ」とかいろいろありましたよ。
私は何と言っても「子宝」ですが・・・・
【2009/03/17 13:39】 URL | ゆっち #- [ 編集]

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
【2011/01/21 21:03】 | # [ 編集]


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Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
「友達になってやるか」って心やさしい方募集中です。



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