かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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酔っ払い
きり丸はつまらない気持ちを何とかして晴らしたかった。そこで、あれこれとやってみる。だけど、こんな気持ちのときは何をしてもつまらないのだ。
ガラス玉もつまらない。
お手玉もつまらない。
伝蔵人形をつかってのおままごともつまらない。
「あ~あ、つまんないの!!」
大きな声でそうってごろんと横になった。どんなに大声で言っても誰も返事をしてくれない。それがまたつまらなさを増大させる。
「つまんない!つまんない!!つまんない!!!」
部屋中を転げまわって手足をばたばたさせる。
「そんなにつまんないの?」
ふいに声をかけられた。
びっくりして起き上がると見慣れた笑顔がある。
「利吉さん!!」
こんな時のお客様は大歓迎。それが大好きな利吉ならなおのこと。きり丸は喜んで迎え入れた。
「あれ?先生は?」
きり丸よりもずっと家にこもっている確率の高い半助の不在に軽い気持ちで聞いてみると、きり丸はみるみるふくれっ面になって言いつのった。
「先生はね、意地悪なんだよ!!俺の事、おいて行っちゃったんだ!!!」
キーキー声をだして悔しがっている。
「どこに?」
「お買いもの!!俺も行くって言ってたのに!!」
この答えに利吉は首をかしげた。珍しいこともあるものだ。いつでも買い物に行く時はきり丸も連れて行く半助なのに。いや、買物どころかどこへ行くのだってきり丸の手を引いている人なのに。
「どうしておいて行かれたの?」
「それは・・・」

きり丸はいいよどんだ。その態度からしてきり丸にも非があるらしい。
『って、言うより、きりちゃんに非があるんだろうな』
利吉はそう悟ったが、そうは言わなかった。そう言うことは、自分にとって得策ではない。利益がすべてとは思わないがここはやはり、きり丸のご機嫌をとって
「利吉さんが大好き!」
なんて言われたい。
「そう。言いにくいほど重大なことなんだ。かわいそうにね、きりちゃん」
これを聞いたきり丸は瓢箪から駒の心境。こんなに都合よく誤解してくれるなんて、世の中、案外甘いじゃん?なんて思っていたりした。
「そうなの。先生はさ、何かと意地悪でさ。俺、すり減っちゃうよ・・・」
こんな事、真顔で子どもに言われると噴き出しそうになる。ここで噴出していては忍者はつとまらない。利吉は澄ました顔で
「大変だね。気晴らしに甘酒でも飲みに行く?」
「うん!!行く!!」

きり丸は甘酒が大好きだ。半助はなかなかくれないが、大好きなのだ。
こうして二人は手をつないで出かけて行った。
行く道々すがら、きり丸は半助の意地悪さをぶちまける。
「先生ったらね、俺の事、いい子じゃないって言ったんだ」
「ふ~ん、どうして?」

きり丸は利吉が自分の味方に付いてくれたので今日のおるず番のわけを話しだした。もちろん、より半助が悪く聞こえるように。
「俺がさ、ちょっとさ、言いつけ守らなかったらさ、いい子じゃないから置いて行くって!!」
「どんな言いつけ?」
「宿題ね、いっぱいしなさいって!!そんなの無理だよね」
「いっぱいはきついね」

そうは言ったものの、利吉だって半助の性格くらいは知っている。きり丸が出来ないほどの量をしろと言ったとは思わない。
「そうでしょ?俺がさ、出来なかったからって一人でお買い物に行ったんだ。きり丸はいい子じゃないから待ってなさい!なんて言ってさ」
プンスカ怒っているが、事実はどうなのか?後日、半助に確認の必要を感じないわけでもないが・・・。
「きりちゃん、がんばったの?」
「がんばった!でも、出来なかったんだもん・・・」

怒っていた声に涙が交じる。こうなれば、利吉はとっても弱くて事実なんてどうでもよくなる。
大方、きり丸は頑張らずに笑ってごまかそうとしたのだろうと思う。そして、半助がお仕置きにおいて行ったのだろうと思う。
だけど、そんな事はどうでもよろしい。目の前の、小さな子が不憫なのだ。
「ね、きりちゃん。元気出して!!甘酒はきっとおいしいよ」
小さな手をぎゅっと握って励ます。
「うん!!」
小さな手が握り返してくる。なんだか、とても幸せな利吉だった。
『お仕置き、万歳!!!』
お茶屋さんの甘酒はとても甘くておいしかった。
「おいし~」
大声で評するきり丸に店のおばちゃんも気をよくして
「うちは子供向けだからね。よそより甘くしてるんだよ」
と言いながら、小さな干菓子も出してくれた。
『こんな甘いもの飲みながら、干菓子はないでしょ、干菓子は・・・』
口では礼を言っておきながら、干菓子には手を付けない利吉。しかし、きり丸は甘い物のうえに甘いものという組み合わせをモノともしない。笑顔で干菓子も口に放り込んだ。
「きりちゃんは、甘いものが好きだね」
「そうよ!!俺はすきものよ!!」

二杯めの甘酒を飲み始めてからロレツがあやしい。
「すきものって・・・」
単なる言い間違えがなんだかいやらしく聞こえる利吉は18歳。まだまだ若いのだ。
「利吉さん、聞いて!先生ね、いつも俺に勉強、勉強ってうっさい!!もう、俺ね、家出しちゃう!」
酔っぱらったきり丸は名調子で語りだす。
「へぇ。じゃあさ、私と一緒に暮らす?」
「いいよ!!俺さ、山田先生んちのコロモになるよ!!」
「ホントに?うれしいなぁ」

普段は「山田先生の家は山の中だから怖い」とか「秘境は嫌だ」とか言っているのに今日はいい返事だ。
「へっへへーん、山田先生は学園にいるからいいよねぇ」
どうやら、山田は休みになっても家に帰らず学園に残っているから勉強、勉強と言われないで済むと思っているらしい。利吉はきり丸が割と読みが深いなぁなんて思っていた。
「うちは山の中だけど、平気?怖くない?」
「利吉さん、俺の事、いくつだと思ってるの?怖いものなんてないよ!」

酔っ払っていると勇ましいきり丸。
「おっ、きりちゃん、強いねぇ。じゃあ、土井先生がいなくても大丈夫だね」
「当たり前じゃん!!俺、夜に泣いたりしないよ!」

誰もそんな事まで言っていないのに「泣いたりしない」というあたり、きり丸が自分でも大丈夫じゃないかもと感じているのだろう。
「そっか。じゃあ、一緒に行こうか!」
「うん!!」

その後、きり丸はもう一度、お代りをしてお店を出た。
夕暮れの道を利吉に手をひかれて帰るのもいいものだ。歌を歌いだす。
「きりちゃん、酔っぱらい」
「違うよ、酔っぱらいってもっとうるさいんだお」

充分に酔っているが認めない。これも酔っぱらいの特徴だ。
『こんなに酔っぱらわして先生になんて言い訳しようかな・・・』
踊るようにして歩くきり丸。利吉はこの状況を見たら半助がなんて言うか、恐ろしかった。ただでさえ、お仕置き中のきり丸を連れ出しているのだ。
「ふふふふ」
きり丸が突然、笑いだした。
「どうしたの?」
「こ・れ!!」

笑いながら懐から取り出したのは先ほどの干菓子だった。利吉が残したので持って帰ってきたらしい。
「ああ、持って帰ってきたんだ」
「しょうよ!先生のお土産にすゆんだ!」

笑顔でそうったかと思うと、とつぜんその場にしゃがみこんだ。しゃがみこんで顔を両足の中にうずめる。
「きりちゃん?どうしたの?気持ち悪い?」
心配した利吉が覗き込むときり丸は泣いていた。
「・・・先生に会いたいの」
「は?」

一体、なんのことやら?いま、まさしく半助の待っているだろう長屋に帰ろうとしているのに。
「先生に会いたいのぉ~」
本格的に泣き出す。
「きりちゃん?ねぇ。きりちゃん?」
優しく背中をなでて見ても「先生に会いたい」の一点張りでどうしようもない。どうしようもないからと言ってほうっておくわけにもいかない。
利吉はきり丸に背を向けて
「ほら、おんぶ。おんぶで帰ろ。すぐに先生の待っているきりちゃんのおうちに着くからね」
きり丸は目元をごしごしとこすりながらおぶさった。
まだ冷たいけど、真冬とは違う春を含んだ風が涙のほほをなでいてく。利吉の背中に身を預けながら見る夕焼けは優しく、強く、そして切ない色だった。
「きりちゃん、夕焼けがきれいだね」
「・・・・」

利吉が何か話しかけているのは分かっている、だけど、返事が出来なかった。眠くてしょうがないのだ。
背中のきり丸が少しずつ重みを増していくのに、ねむりかけていると気がついた。
『ホントに先生になんて言おうかな・・・』





あとがきです。
今回もセディールさんからいただきました。
本当にいつもありがとうございます。
図々しいですが、これからもひとつよろしくお願いします。

・・・この図々しい文を読んだ方で
「よし!一肌ぬいでやろう!」
って方は連絡お待ちしてます。
コメントでもメールでもモウマンタイですので・・・
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この記事に対するコメント

こちらこそいつも楽しい、ステキなお話にしてくださってありがとうございます。
いつも本当に楽しみにしているのですよ。
こんなにステキな、生き生きとした土井先生ときりちゃんのお話は、私の中では「かわいいきりちゃん」が初めてです。

それにしても、この後土井先生に二人とも正座の刑でしょうかね?
きりちゃんは二日酔いになってしまうのでしょうか?
気になります。
【2009/03/05 19:09】 URL | セディール #- [ 編集]


いつもありがとうございます。
「いつも読んでくれている人がいる」
と、思うととてもうれしいのです。
そう思うとがんばれるのです。
ああ、人は一人で生きていけないのですね・・・

そうですね~
利吉さんは正座できてもきりちゃんは酔っ払って寝ちゃったから正座は免れるでしょうね~
でも、次の日が怖いですよ。
もしかしたら、二日酔いで、正座で、漢字ドリルかも知れませんね・・・
かわいそうなきりちゃん。
【2009/03/06 15:14】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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