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かわいいきりちゃん。
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歯医者さん 2
「俺、なんで寝ちゃったんだろ・・・」
半助にしっかりと手をつながれたきり丸は悔しそうに何度もそう言った。
家出は失敗し、結局、こうして歯医者に向かっているのだ。心の底から行きたくないが、半助が許してくれない。
「ねぇ、お兄ちゃん、ホントに行かないとダメ?」
「お前もあきらめが悪いねぇ」
「だって怖いんだもん」
「男の子でしょ?」
「お兄ちゃんさ、俺が男の子だって知ってるんでしょ?だったら聞かないでよ!」

きり丸はぷりぷり怒っている。半助は別にきり丸に性別を聞いたわけではない。だけどこんなにご機嫌の悪いきり丸にそこのところを伝えるのは難しそうだとあきらめた。
「はいはい」
歯医者に着いたきり丸は何度も確認した。
「お兄ちゃん、ずっとそこにいてね。俺が戻ってくるまでいてね」
「わかった、わかった」
「約束だよ。絶対だよ」
「約束するから」

そんな二人の会話を受付のお姉さんが笑いをこらえて聞いている。そのお姉さんに呼ばれていよいよきり丸の番になった。
「行っておいで」
「うん・・・」

本当は中まで付いて行ってやりたい半助だったが、きり丸ももう一年生。そろそろ一人で頑張らないと。いつまでも甘えん坊ではいられない。
「少し削るからね」
「う・・・ん・・」

緊張で何がなんだかわからないうちに治療は終わった。虫歯の程度はごく軽かったので痛みもなかった。だけど、きり丸は治療が終わるとどっと疲れた。
帰り道はもちろんだっこになる。
「甘えん坊だな」
半助は笑いながら言った。今日は頑張った。だから、だっこの権利があるときり丸は思っている。
「だって、俺、すっげー怖かった!」
「痛くなかったんでしょ?」
「でも、怖かったの!」
「そっか。ふふふ」
「笑い事じゃないよ!俺、ちびるくらい怖かったんだから」
「あれ?本当にちびっちゃったんじゃない?濡れてるよ」

半助はそう言ってきり丸のズボンを触った。
「え?うそ?」
まだまだ自分に自信のないきり丸はあわてて確認した。だけど、濡れていなかった。
「もう!お兄ちゃんのウソつき!」
怒って脇腹を蹴る。
「ごめん、ごめん」
怒ってはいるが、内心はほっとする。本当にちびっちゃったかと思ったのだ。それくらい怖かったのだ。
この頑張りはもちろん、夜に利吉に報告された。
「俺ね、がんばったよ!」
半助よりずっと甘い利吉はきり丸を膝に乗せてべたべたと頬ずりをしながらほめてくれる。
「きりちゃん、えらかったねぇ。かっこいいねぇ」
「だって俺、強いもん」

得意になって自慢するきり丸に半助はちょっと意地悪をしてやった。
きり丸のリュックを差し出して。
「こら。家出の荷物、片付けなさい」
「家出?きりちゃん、家出したの?」

それから、半助の説明ときり丸の言い訳を聞くことになった利吉。
「家出かぁ。やるね、きりちゃん」
「りっちゃんは家出したことある?」
「ないなぁ。俺って家出するほど情熱家じゃないからさ」

きり丸は情熱家の意味はよくわからなかったが、利吉の言った事はぼんやりと理解できた。つまり、利吉は家出したくなるほど何かを思い込んだりはしないってことなのだろうと。
「りっちゃん、のんきだから」
「のんきなんだよ」

小さな弟に「のんき」だなんて言われてもやっぱりのんきな利吉。
「ねぇ。何を持って家出しようとしたの?」
利吉がリュックをのぞくとそこには、着替え、携帯電話、少しのお金、ジュース、お菓子、ゲーム。それから、小さなケースに入ったおしゃぶりが入っていた。
「きりちゃんの家出の荷物って・・・」
「変?」

笑いをこらえる利吉を見てきり丸は首をかしげた。
「携帯とゲームの充電器は?それに缶入りのジュースは家出には向かないんじゃない?」
「そっかぁ。忘れてた!」

兄の利吉の意見に感心する。さすがは大人だと。
「そういう問題か?だいたいね、携帯は充電気持っててもお金を払わないと止められちゃうんだぞ」
半助はきり丸の着替えの内容が上着ばかりなのに「まだまだ赤ん坊」と思う。
「おかねはお兄ちゃんが払ってよ」
「お前ね・・・お金も払えない癖に家出なんて・・・。それより、なにより、おしゃぶりが必要な癖に家出なんて10年はやい!!」

かっつり叱られたきり丸は不服顔。
「いいじゃん。ちゅっちゅっしててもさ」
口をとがらせる。
「ま、家出はちゅっちゅっがいらなくなってから再チャレンジだね」
利吉はのんきに言ったが、きり丸は困った顔になる。
「どしたの?」
「だって俺、ちゅっちゅっいらなくならないもん。ずっと。10年たっても」

きり丸の困っている理由を聞いて2人は大笑い。10年たったらきり丸だって16歳。高校生だ。さぞかし、美形な高校生になっていることだろう。でも、その時におしゃぶりがいるというのだ。
「きりちゃん、ずっとちゅっちゅっいるんだ」
「冗談じゃないよ」

半助は笑いながらも少々不安になる。
「案外、本当にしてるかもね。それで、修学旅行の時に悩んだりするの」
「利吉、怖い予想するなよ・・・きり丸もちゅっちゅっはそろそろ終わりにしてね」
「や!!俺、ちゅっちゅっ好きだもん」

きっぱり言う姿になんだか頭を抱えたくなる半助だった。






あとがきです。
実は私もおしゃぶりがなかなか話せない子でした。
親と話し合ってやめたのを覚えています。
おしゃぶりなしの初めての夜はとってもさみしかったですね。
そんなわけで、きりちゃんもこれから大変ですね。
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この記事に対するコメント

きりちゃん、ちゃんと歯が治ってよかったですね。
リクエストかいてくださってありがとうございます。

私はおしゃぶり系はないんですが、
未だにビーズの小さな枕をにぎにぎしていないと寝られません。
いい加減に止めなくては・・・!
【2009/02/27 20:49】 URL | セディール #- [ 編集]


こんにちは~
みんな、いろいろあるもんですね。
でも、ビーズの枕で小さいならそんなに問題ではないかなと思います。
修学旅行とかでもこっそり持ってられますね。
それにしても修学旅行って悩みがいっぱいですけどね。

私はさすがにおしゃぶりは小学校に行く時になんとかやめましたが、
未だにストローをかむ癖があります。
ジュースを飲むときにストローをかんでは「おえっ!」ってなってます。
いったい、なんのために噛んでるんだか自分でもわかりません。
【2009/03/01 10:48】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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