かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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おたふく風邪 3
バタバタと買い物をして急ぎ足で帰ってみると、きり丸はまだ寝ていた。かわいい寝顔をひとなでして安堵の息をついたものだった。
『よかった・・・』
もし、自分が買い物に出かけている間に目を覚ませば、きっと不安がっていただろうと思う。最悪の場合は自分を追って表に出ることだ。
オババの言うことには、おたふく風邪は安静にしなければならない。風に当ててはならないとのことだった。 
朝のおかゆはほとんど食べれなかったのだ。お昼はなにか食べさせないとまずいのだ。半助は張り切ってきり丸の好きなおかずをつくった。こんな時は栄養やらバランスやら言うより、きり丸の好みを優先させてやった方がいい。とにかく何か食べないと薬も飲めない。
「先生・・・」
振り返るときり丸がいた。半助はその顔を見ると思わず噴出してしまった。
「?先生、なぁに?」
一体、自分は笑われるようなことを何かしたのだろうか?きり丸にはさっぱりわからない。だけど、半助は自分を見て笑っている。
「ねぇ、先生?なぁにってばぁ?」
きり丸はじれったくって地団駄をふんだ。なんで笑われているかわからないが笑われるというのは面白くないものだ。
「ごめん、ごめん。ごめんね、きりちゃん」
半助はそう言って謝りながら、まだ笑う。きり丸の地団駄だってスピードアップした。
「だめだよ、きり丸、暴れちゃだめ」
スピードアップ地団駄に半助は焦った。安静にさせなければならないのに、自分のせいで暴れさせてしまった。
「だったら、何よ!!」
「きり丸、鏡、見ておいで」

半助に言われて鏡を覗き込むと、そこには自分によく似たしんべエがいた。両方の頬がぷっくりとはれていたのだ。きり丸は驚いて自分の頬を触って確認した。手の感触でもやっぱりぷっくりで・・・
「先生!俺、しんべエみたいになっちゃった!!」
みるみる泣きべそで、半助に訴える。
「大丈夫だよ、おたふく風邪のせいだから。治ったら、ほっぺも元に戻るからね」
半助は笑いを堪えてそう言った。これ以上、笑うのはかわいそうである。そう言われても、きり丸は何度も鏡で顔を覗き込んだ。心配でたまらないのだ。これでは女の子の格好をしても売り子のバイトのたしにならないじゃないか。
「先生~どうしよう・・・」
よく人から「かわいい」と言われ、クラスで一番女装が似合う自分だったはずなのに、今やしんべえと同じ顔の形。違うのは自分の方が目が大きくって鼻筋が通っていて口が小さいくらいだ。そんなけ違えばかなりきり丸の方がかわいいと言われる要素を含んでいるのだけど、そんな風に思えない。だって、鏡の中の自分はみじめなおたふくなんだもの。
「大丈夫、それよりジュース飲むか?」
そんなに萎れちゃしんべえに失礼だろうと思う半助。しんべえはおたふく風邪じゃなくてもあの顔なんだから。顔がしんべえになってしまったのは悲しいがジュースは欲しかったのでコップを受け取った。
「うん・・・」
まだ熱の残る体に冷えたジュースはおいしかった。半助としては朝はジュースも欲しがらなかったのでおいしそうに飲んでくれて安心する。水分を取らさないと熱が上がってしまう。
「きりちゃん、もう少し飲む?」
いつもなら、「ジュースは一杯だけ!」と決められているのに、今日は半助のほうから進めてくれるなんて。きり丸はちょっぴり怪しんだ。
「先生、本当は俺、死んじゃうの?」
「は?」

唐突だった。
「だってさ、先生さ、いつもはジュースくれないじゃん?それなのにさ・・・」
なるほど。半助がジュースをくれるのは自分の命がもう長くないから、最期くらいは大好きなジュースをたくさん飲ませてやろうと。そういう気遣いだと思ったらしい。
「違うよ。お熱が出るから。おたふく風邪くらいで死なれてたまるか!!」
きり丸の考えが半助にはおもしろい。
「ホント?お顔も戻る?」
「戻るよ。三日もすれば元通りの顔になるから、さ、ジュース飲んで」

これを聞いてきり丸はまたジュースを飲んだ。そして内心
『これから三日もジュース飲み放題かぁ』
なんて思っていた。
きり丸の思惑は願っても無いほうに転がり、それからの三日間は天国のようだった。
半助はいつでもそばにいてくれてチヤホヤと自分の世話をしてくれる。わがままだってし放題だった。
「だっこぉ」
と、言えば抱いてもらえ、
「ジュース!」
と、言えばたとえ寝る直前でも好きなだけ飲ませてもらえた。食べたくないものについては
「お顔が痛いの」
と、言えばお残しもフリーパスだった。それもこれも、きり丸に家の中で安静にしてもらい、高熱を出させないための半助の涙ぐましい努力なのだ。
『おたふく風邪ってなんて素敵なんだろう!!』
きり丸はおたふく風邪がすっかりと気に入った。今まで、こんないい目に遭ったことが無いとまで思えるのだった。いつまでも、おたふく風邪に罹っていたいきり丸だった。
が、現実はそう甘くない。
きり丸の10歳の生命力はなかなかで三日目あたりから顔の腫れが引いてきた。
「きりちゃん、顔、少し引いたね」
寝る前に半助にそう言われた時、きり丸はおののいて鏡を見た。
「・・・・引いてる」
言われてみれば、今日ぐらいから体だってだるくなくなっている。おなかもよく空く。お昼寝もそれほどしたくなくなっている。
「なおっちゃった・・・」
ショックが隠しきれないきり丸はへなへなと座り込んでしまった。きり丸は天国から追い出されてしまった気持ちになった。
しかし、まだまだ天国にいたかったので、ここは嘘をつくことにした。
「ううん、まだ、お耳痛い。お熱もあるみたい」
なんて大げさに言ってよろよろと布団に戻った。それから、
「ジュースも飲みたいみたい」
と、弱った声で言った。こんな演技はすぐに半助に見破られた。
『ジュースが目的だな。変な癖、つけちゃったな・・・』
この三日間、寝る前に毎日ジュースを飲ませていた。寝ているときに熱が上がって、毎晩、ものすごい汗をかくのだ。だから、水分をとらないといけない。
だけど、今夜はもう必要なさそうだ。余分な水分は洗濯物の元なのだ。
「きりちゃん、お熱はもう大丈夫だね」
半助はそう言って、きり丸のおでこと自分のおでこをくっつけた。きり丸は大慌てで
「ううん!あるの!お熱!!今夜も苦しくなると思う!!だから、ジュースいるの!!」
とても熱があるとは思えない大声だった。
「おねしょすると思うよ?ジュース飲んだら」
「しない!大丈夫!!」

きり丸はこの三日間、おねしょは一度もしなかった。寝る前にどれだけ飲んでも大丈夫だったのだ。それほど、汗をかいていたというわけなのだが、おチビのきり丸は何かを誤解していて
「俺ってもうおねしょしないんだ」
と、確信したようだった。しかし、半助はそうではないことを知っている。だから、飲ませたくないのだが、弱った演技はかわいい。つい、そのかわいさに負けてしまうのだ。
「先生、俺ね、とってもお熱があるみたいよ。ジュース飲まないとお熱が上がるのよ?」
なんて、布団にうずくまって訴えるのだ。演技である事がわかりきっているのに、本人は騙せていると思っているのがまたかわいい。
「そっかぁ、お熱じゃ、仕方ないね」
半助はそう言って、今日もジュースを飲ませてしまった。

久しぶりにきり丸の泣き声で起こされず、朝までぐっすりと寝れた。やはり、夕べは熱も上がらず、きり丸もぐっすりと眠れたようだった。
「きりちゃん、よく眠れた?」
隣の布団でもう起きているきり丸に声をかける。
「・・・・・」
きり丸はぐっすりと眠れ過ぎて困っていたのだ。そんな様子を見れば、おねしょをしたとすぐに分かるのだ。
「だから、ジュースはだめなんだよ!」
そう言っておでこをぴんと突付いた。それから、きり丸を布団から抱き起こしてやった。
「へへへ、おねしょしちゃった」
きり丸は少し恥ずかしそうに言った。
「まぁ、おねしょしたって事は熱が下がったのさ。よかったな、もう治ったよ、おたふく風邪」
恥ずかしそうなきり丸を慰めるために半助は言ったが、きり丸の返事は意外なものだった。
「・・・・・あんまりよくない」
ちょっと口を尖らせて言っている。今日、おねしょしてしまった事を気にしているのだろうか?今日は別にきり丸をからかったりはしていないのに。これでいて、案外、繊細なところもあるきり丸なのだ。と、半助は思っていた。
「おねしょ、気にしてるのか?」
「違うよ、俺、おたふく風邪、好き」

予想は外れ。きり丸はおねしょについては全く気にしていないようだった。きり丸にしては、半助と二人のときにおねしょをしたって恥ずかしいだけでそんなに気にならない。気にしても布団が乾く訳でもないのだし。
「どして?あんなに顔がはれたのに?」
そうだ、あの時、とっても落ち込んでいるように見えたが・・・
「だって、おたふく風邪の時、先生、優しいもん」
「いつだって優しいだろ」

これには半助も苦笑い。
「そんな事無いもん。もう、今日はジュースくれないでしょ?」
「懲りないやつだな・・・」

シーツをはがしてきり丸のほうに向けてやった。
「あーあ、またおたふく風邪、ならないかなぁ?」
きり丸は自分の布団の濡れていないところに寝転んだ。昨日までの天国が忘れられないのだ。半助はきり丸の誤解に気がついた。
「きり丸、残念だけどおたふく風邪って一人一回って決まってるんだぞ」
「ええ!!そんなのやだぁ!!」

がばっと起き上がって涙を見せて嫌がるきり丸だった。
「やだっていわれてもねぇ・・・」
半助はそう笑いながらおねしょのシーツを持って中庭に出て行った。





あとがきです。
ようやく、終わることができました。
きりちゃんも回復できました。
よかった、よかったです。
「ちっ!一つのネタで三日も伸ばしやがって!」
と、お怒りの方!!
すみません。あやまります。
ホント、ねぇ。三日も伸ばすなんて・・・・
でも、また懲りずにすると思うのでよろしくお願いします。
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この記事に対するコメント

きりちゃん闘病3部作お疲れ様でした。
連載ものって好きですよ。
「続きを見るために頑張って日々を生活するんだ」って感じになります。
小学生の頃、「なかよし」を買っていた頃も「続きのために」と頑張ってました。
マラソンなどでよく用いられる「あの電柱までは頑張って走る」作戦のような感じです。

きりちゃん、ジュースが好きなだけ飲めてよかったですね。
病気はつらいけど、ジュースはほしいとは苦渋の選択ですかね。
平成のきりちゃんならアイスになるのでしょうか?
きりちゃん、はしかや水疱瘡はもう終わったのでしょうか?

ところで私、おたふくかぜがどのくらい苦しいのか分からないんです。
熱は38℃までしか出なかったし、腫れたところを押してもほとんど痛くなかったんです。
「動ける筋肉痛」ぐらいの痛みしかありませんでした。
お医者さんにも不思議がられましたよ・・・^^;
【2009/02/25 18:26】 URL | セディール #- [ 編集]


いつもありがとうございます。
まだまだ寒いですが、お元気ですか?

「なかよし」って懐かしいですね~
私が買っていたころは「あんみつ姫」とか「ぽーきゅぱいん」とかでしたね。
あと「りぼん」はなんと言っても「ときめきトゥナイト」ですね。
・・・知らないですよね、そんなん。20年以上まえですもの・・・
失礼しました。

さて、きりちゃんの「はしか」や「水ぼうそう」はどうでしょうね~
この時代はいい薬もないので、ちゃんと面倒を見てくれる大人がいないと死んでしまってるでしょうから、まだなんでは?
もしくはもっと赤ちゃんの時にすましているかですよね。
おたふく風邪が軽かったってのはうらやましいです。
私は顔も腫れたし、熱もでたし、熱に浮かされて天井が落ちてくる夢までみました。
はしかも水ぼうそうもひどくって・・・
特にはしかは入院しました。気管支炎を併発したので。
悲しき思い出です。
【2009/02/26 19:25】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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