かわいいきりちゃん。
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おたふく風邪 1
きり丸はやけにのどが渇いた。さっき、体を洗ってもらったあとに麦茶を飲んだのに、また喉が渇くのだ。
半助の目を気にしながら土間に下りていき、もう一度麦茶を飲んだ。
『おいしい・・・』
一杯だけにしようと思っていたのに、つい二杯目を湯飲みに入れてしまった。口をつける直前、
「こら!一杯にしときなさい」
と、声をかけられる。
「だって、喉が渇くんだもん」
「もう寝る時間だぞ?夕飯の味噌汁、辛かった?」

半助はきり丸の喉の渇きの原因を考えてくれる。しかし、きり丸にとっては原因なんてどうでもいい。今、手の中にある麦茶を飲みたいのだ。半助の言うことなんてイチイチ聞いてられない。そう思って、ぐっと麦茶を飲み干した。
「おいしぃ~」
その笑顔に半助は笑いながら
「夜中に泣いても知らないぞ」
と、言いながら軽くでこピンした。きり丸は痛くないおでこをなでながら
「おねしょなんてしないもん」
と、言い返す。でも、やっぱりちょっと心配なので小声で付け足しておいた。
「たぶん・・・」
そんなきり丸の自信のなさが可愛くって笑顔になってしまう半助。
「たぶんかぁ・・・なんだか頼りないなぁ」
「じゃあ。絶対!」
「絶対かぁ・・・ホントかなぁ」

何を言っても笑う半助。きり丸はふてくされ顔で
「どう言えばいいの?」
なんて怒っている。半助はきり丸に義務的な感じで注意しただけで、実際におねしょしてもかまわないと思っているのである。しかし、きり丸はおねしょはしたくないわけで。注意した半助は「してもいい」と思い、お茶を飲んだきり丸は「したくない」と思っている。なんだかつじつまが合わないが、子供と大人の関係は往々にしてこのような食い違いがあるものだ。
 きり丸は布団の上にごろんと大の字になった。今日はなんだかとても疲れた。まだ寝ころんでいくらも経っていないのに、もう意識が遠くなっていく。
「風邪ひくだろ」
いつもどおり優しい声と布団がかけられる。こんな何気ない日常がきり丸の幸せで、そんなきり丸の幸せが半助の幸せなのだ。
「せんせ・・・・おやすみ」
「うん。おやすみ。いい夢、見るんだぞ」

やわらかな頬に唇をつけて、きり丸の邪魔をしないように出て行った。
『今日はやけに早く寝たものだ』
時間はまだ八時を少し過ぎたばかりだ。いつものきり丸ならまだ、うだうだ言って布団に入っていない。
『疲れてんのかな?明日は忙しくなるかもな』
きり丸が疲れると半助が忙しくなる。なんだか、「風がふけば桶屋がもうかる」みたいな感じだが、実際にそうなのだ。自分が疲れている分、半助に内職を多く任せる。それにやっぱり10歳の子供だから疲れていると機嫌も悪くなる。疲れて寝るとおねしょもしがちだ。きり丸の機嫌をとるのも、洗濯も半助の数多い仕事のうちなのだ。

その夜、半助の予想は半分当たった。きり丸は夜中に泣き出した。でも、それはおねしょのせいではない。
体が熱くて苦しいのだ。背中も痛くて、息も苦しい。それに、胸の上に誰かが乗っかっているみたいに重い。こんなに苦しい時に言うセリフは決まっている。
「先生~」
泣き声をあげるきり丸に半助は慌てて飛び起きた。声の調子でたいていわかる。暗闇で顔が見えなくてもわかるのだ。この声は体調が悪いのだ。きり丸が夜中に自分を起こすのには理由がいろいろある。今夜のように体調不良。怖い夢を見たとき。トイレに行きたいとき。間に合わなくって布団がぬれちゃったとき。それから、半助が一番切なくなる理由。なにか悲しい出来事があったとき。
「どった?苦しいのか?」
慌てて明かりをつけ確かめると、きり丸は高熱でぐったりとしている。顔は真っ赤で息が荒い。少しでも多くの空気を肺に送り込もうとしているのか、はっ、はっと短い呼吸を繰り返す。
「お茶・・・ほしい・・・」
喉の渇きを訴える目は涙目だった。これほどの高熱なのだから喉も渇くのだろう。麦茶を飲ませるために抱き上げると背中が汗でびっしょりと濡れている。体に力はなく、半助に抱かれるままだった。
「きり丸、着替えようね・・・」
「嫌・・・お茶・・・欲しいの・・・おねしょしないから・・・」

きり丸は半助がお茶をくれないと思ったらしい。確かにこんな夜かなはいつもならもらえない。朝までまちなさいと言われるのだ。だけど、今日は朝まで待てそうにない。今すぐに飲みたいのだ。それに比べたら着替えなんてどうでもいい事のように思えた。
「お茶だね。先に飲もうね」
お茶を飲ませると、苦しいながらも笑顔を見せる。
「おいしぃ・・・」
「うん。もっと飲みなさい」

半助はきり丸を抱き抱え二杯目を飲ませてやった。風邪とは思えない高熱なのだ。今はお茶を飲んで様子を見るしかない。幸い、きり丸は寒いと言っていない。寒がっていないところを見ると今が発熱のピークらしい。
それから、着替えさせてやった。布団に寝かせようとすると、嫌々と首をふる。
「お茶、もっとか?」
また嫌々。そして苦しそうに
「だっこ・・・だっこしてて・・・」
布団に寝た方が楽に決まっているのに、こんなに苦しい時に自分を求めてくれる。
「よしよし、ずっとだっこしてような。背中、なでような」
すると安心したのか、またとろとろと寝始めた。息使いは相変わらず苦しそうだが、寝てくれたのはありがたかった。眠れないというのは激しく体力を消耗する。
『寝る前から調子が悪かったんだな・・・』
半助は寝る前にやけにお茶を欲しがっていたのを思い出す。かわいそうに、あの時、気がついてやれなかった。こんな時、半助は自分の不甲斐なさを思う。もし、これが母親なら気がついてやれたのではないだろうかと。そして、その時になにかしてやることが出来たのではないかと。
半助は眠れない一夜を過ごした。寝ていなかったからと言ってやっていたことは、きり丸のおでこを冷やしたり、汗を拭いたりとごく一般的なことしかしていない。下手に熱さましなどは飲まさないほうがいいような気がしたのだ。
苦しそうなきり丸を抱いて長い長い苦しい夜だった。自分が眠れないことより、ずっと抱いてやらないといけないことより、目の前できり丸が苦しんでいるのが辛かった。
「きり丸・・・」
一体、何がいけなかったのか?薄着すぎたのか?それとも、この長屋の隙間風が子供には無理なのか?もしかして、なにか悪い病気の始まりだろうか?
半助は自分の胃の中に何か冷たいものが流れ込んできたような気がした。
『私はお前のお墓参りは行かないと決めているんだぞ・・・』
苦しそうなきり丸の顔を見つめながら、神に祈る。どうか、この子に幸せな未来を下さいと。








あとがきです。
きりちゃん、故障です!!
先生、大ピンチ!!
そんなわけで明日以降に続きます。

できれば、明日もよろしくお願いします。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
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