かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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チョコレート
「お兄ちゃん、これなぁに?」
きり丸は半助が持って帰ってきた包みを目ざとく見つけた。せっかく、かばんの中に隠してきたのにさっき、家の鍵を取り出したときにかばんが開けっ放しになっていたのだ。
『俺ってうっかりだなぁ・・・』
自分のうっかりに呆れるやら、きり丸の目ざとさに感心するやら。
「それね、もらったんだ」
「開けていい?」

きり丸の予想ではこれはおいしいもののはずだ。そんな気がする。だって、この包装紙はモロゾフの包装紙だもの。半助の返事を待たずにびりびりと破いている。
「あっ!チョコレートだぁ!!」
きり丸は大喜び。箱の中身は小さくておしゃれなチョコがぎっしりと入っている。さっそく、一番端のを摘み上げる。もう少しで口にはいるところで声がかかる。
「こら!」
当然ながら半助だ。
「あっ、お行儀悪いよね」
きり丸はリビングの床に座り込んでいた。いきなり「こら!」なんて言われてちょっとばかりムカついたが、そんな事を言ってチョコレートを取り上げられるのは困るので、大人しくソファーの上に座った。
「そうじゃなくて、ご飯前でしょ?後にしなさい」
「え~!ひとつだけ!!」

この提案は受け入れられず、チョコレートは奪われてしまった。
「ちゃんと、ご飯食べたらね」
こんな時に限っておかずは「八宝菜」なのだ。きり丸の嫌いなにんじんもピーマンもどっさり入っている。もし、今日がハンバーグだったらきっといい子でみんな食べてチョコレートをもらえたのに。
『いい子になるにはそれなりの条件がいるんだよねぇ』
きり丸はお箸でにんじんとピーマンをつつきながら思っていた。上目遣いに半助を見る。半助はそ知らぬ顔だ。きり丸が言いたいことは分かっているくせに。
「お兄ちゃん。あのさぁ」
「全部、食べないとチョコないよ」

つれない言い方。きり丸は考える。
『ポケットににんじんとピーマン入れちゃおうかな』
この前、これをして叱られたばっかりだ。
『わざと床に落としちゃおうかな』
この作戦はもう自分でも数え切れないくらいやって、数え切れないくらい叱られている。きり丸は大きなため息が出た。
「ほら!あ~ん」
半助はきり丸のお皿のにんじんを口元に運んでくる。不思議なものでこうしてもらうと、少しなら食べれるのだ。
「もう一回!あ~ん」
今度はにんじんより難関なピーマン。チョコレートのためには我慢我慢。
「まずい・・・」
お皿にはまだまだにんじんもピーマンも残っているが半助は許してやった。そのしるしに、残りは自分の口に運び込んだ。半助が自分のお皿を綺麗に片付けてくれると、きり丸は笑顔で
「ご馳走様でした!」
とご挨拶。それと、同時にリビングにダッシュだ。もちろん、半助だってやってくる。
「どれにしよっかなぁ」
いろいろあるチョコレートを迷う幸せ。
「ひとつだけだよ」
この半助の言葉にきり丸は耳を疑った。こんなにたくさんあるのに、ひとつしかくれないなんて。信じられない。そう思って、まじまじと半助を見上げた。
「ひとつ・・・?」
「そうだよ、ひとつ」

聞き間違えでは無いらしい。ひとつしかくれないらしい。確かにこのチョコレートは半助がもらったものだ。でも、こんなにたくさんあるのにひとつしか自分の分はないのだ。きり丸は悲しくなってしまった。悲しくなると、涙が出る。まだまだおチビのきり丸。
「え?なんで?」
今度は半助が驚く番。だって、もう夜だからひとつしか食べてはいけませんと言っただけなのだ。それなのに、それだけなのに、こんなに悲しそうに泣くなんて。
「お兄ちゃんのけち。こんなにあるのに・・・」
「違うよ!きり丸。もう夜でしょ?夜にあんまりチョコ食べると寝れなくなるからさ」

きり丸の意図がわかって、慌てて自分の意図を説明した。
「この箱、みんなきり丸のだよ。でも、今夜はひとつだけ。分かった?」
きり丸はようやく半助の意図がわかって納得した。
今夜は大人しく、一つだけにしておいた。そのチョコレートは普段、きり丸が食べているものと比べ物にはならないほどおいしかった。
「おいしい~」
本当はもっと食べたかったが、ここでそんな事を言ったらもうもらえないかも知れない。反対にここでちゃんと言うことを聞いておけばこの箱は丸ごと自分のものである。
きり丸は大人しく、チョコの箱を返した。半助が冷蔵庫に直しているのを横目で見ながら。

「おやすみ」
かわいい寝息を立てているきり丸に、そう言って半助は部屋を出て行った。今日は団蔵とサッカーをして遊んだからすぐに寝付いた。いつもなら何度か起き出して
「早く寝なさい」
とベッドに戻されるのだが、今日はそんな事もなさそうだった。
次にきり丸が目を覚ましたのは夜中の3時。ベッドに置いてある時計を見ると
「おやつの時間だ・・」
そう、お昼のおやつの時間と同じだった。
「どうして起きちゃったんだろ?」
きり丸は自分が目を覚ました理由が思い当たらない。おねしょでもないし、おしっこでもない。ついでに言えば、怖い夢も見ていない。
「おやつだからかな?」
きり丸はむっくりと起き出した。おやつの時間に起きたのなら、おやつを食べるべきなのだ。半助を起こさないように抜き足、差し足、忍び足でキッチンに向かった。冷蔵庫にはチョコレートが入っている。
ブーン・・・・
静かなキッチンではやけに冷蔵庫のモーターの音が聞こえた。いつもは怖くってトイレも半助か利吉に付いてきてもらうくせにこんなときはちっとも怖くない。きり丸は冷蔵庫を開けた。
「ちっ!」
残念ながらチョコレートは一番上の棚に置いてあった。ここではきり丸は手が届かない。しかし、そんな事であきらめるわけには行かないのだ。だって、おやつの時間だもの。きり丸は再び、抜き足、差し足、忍び足で部屋に戻った。それから、自分の踏み台を持って、三度、抜き足、差し足、忍び足でキッチンに。今度はなんとかチョコレートを手に入れた。さて、食べましょうと思ったとき、ぱっとキッチンの電気がついた。きり丸はびっくりして飛び上がった。
「なにしてんの!」
半助は怖い顔。きり丸は持っていたチョコレートを何とか誤魔化すべきだと思ったが誤魔化しようがない。
「えっとね、お腹空いたの!」
「そんな嘘ついたら閻魔様に舌を抜かれるよ」

お腹空いてなんてありえない。もし、仮に本当にお腹がすいて目が覚めたなら半助を起こしたはずだ。いつもは、トイレに行くのだって起こしてくれるきり丸が、自分ひとりでやるなんてありえない。
「閻魔様に舌抜かれちゃうのと、お兄ちゃんに正直に言うのをどっちにするの?」
半助はきり丸からチョコレートの箱を取り上げて言った。きり丸は正直に言った。でも、言った内容は半助の要求とは違っていた。
「どっちもヤダ!」
きり丸は知っている。正直に言わないと閻魔様に舌を抜かれちゃうことも、正直に言ったら半助におしりを叩かれちゃうことも。
「じゃあ、お兄ちゃんが言ってやろう。きり丸はチョコレートを食べようとしてただろう!!」
「知ってるなら聞かないでよ・・・」

まったく、きり丸の言うとおり。そう思うと半助は笑いそうになった。こんな気分ではきり丸を叱る気にはなれない。なにが幸いするか分からないのが人生である。
「お前は本当に油断も隙もないね」
そう言ってきり丸を抱えてキッチンの電気を消した。そのまま、自分のベッドに連れて行かれてしまった。
「ねぇ。ひとつだけ頂戴?」
ベッドに入ってもあきらめきれないきり丸は半助におねだりしてみる。
「だ~め、虫歯になるよ」
だけど、予想通りの返事でがっかりだ。
こんな時のきり丸は実に回転がいい。自分でも感心するくらいだ。
「どうして?お兄ちゃんは虫歯になるかどうかなんてわからないでしょ?お医者さんじゃないでしょ?」
そうなのだ。半助は今回に限らずすぐに先回りしてダメと言うのだ。
「後ろ向きに歩いちゃダメ。こけるよ」
「寝る前にジュース飲んじゃダメ。おねしょするよ」
「ベランダからのりだしちゃダメ。落ちるよ」

数えたら数えきれないくらい。
きり丸は半助をにらみつける。半助だって負けていられない。
「ダメったらダメ。虫歯になったら痛いんだぞ!歯医者さんに行くんだぞ!いいの?」
「でも、必ず虫歯にならないでしょ?」
「夜に食べるとなるんだよ!」
「でも、アメリカは日本が夜のときに朝だってりっちゃんが言ってたよ?」
「そういう問題じゃなくて、寝る前に食べるのがダメなの!」
「じゃあ、寝ない!」
「きり丸!」

まったく、たかがチョコレートで夜中の三時にいちゃもん小僧に難癖をつけられるなんて。気分は終電にあわてて乗り込んで酔っ払いに話しかけられているような気分だ。
溜息をついていてもらちが明かない。半助は妥協策を打ち出した。
「今、我慢できたら明日の朝に二つ食べていいよ」
半助の感情に敏感なきり丸。こんなチャンスは見逃さない。
「・・・三つ!」
「三つ?」
「うん。三つなら我慢できる」

足元を見てくる弟。賢くなったというべきが、ずるくなったというべきか。
だけど、やっぱり今夜も負けてしまった。
「じゃあ、三つね」
「やったぁ!!」








あとがきです。
先日はバレンタインデーでしたね。
うちの旦那さんも会社の女の人からもらってきました。
三つもらってきましたが、すべてが「連名」・・・
めっちゃ義理だのう・・・
私も昔は義理チョコを配ったものです。
今は、バレンタインが終わってから半額になったのを買います。
主婦は悲しいです。
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この記事に対するコメント

子供がチョコを食べ過ぎると鼻血をだすというのは本当なのでしょうかね?
私はそういう経験ないです。
きりちゃん、お子様のうちからモロゾフを食べられるなんて贅沢ですね^^。
きっと利吉さんがもっとたくさん貰って帰ってくるのでしょうね。
でも、お兄ちゃんに「一日一個だよ!!」と言われてそうですね。

私は女友達数名にチョコとクッキーをあげました。
チョコペンとホワイトチョコでキャラクター(ガンダムのシャアとか)を書いて
プレートチョコ風にして、クッキーと合体させたものです。
結構簡単にできるのでお勧めですよ。
【2009/02/19 20:05】 URL | セディール #- [ 編集]


追記です。
先日はうつ病に関しての暖かいコメントありがとうございました。
優しいコメントで、とても心が温まりました。
土井先生がきりちゃんにやるみたいに「よしよし」ってなでなでしてもらったような
そんな暖かい気持ちになりました。
もうあの症状たちに悩まされずに、人生を謳歌していこうと思っています。
ゆっちさんのお友達も、自分のペースで回復していけるといいですね。
サイトとはまったく関係のないことで失礼いたしました。

【2009/02/19 21:36】 URL | セディール #- [ 編集]


OH!プレートチョコっていわえるブルボンのアルフォートみたいな?
そんな感じでしょうか?
私、あれが好きでスーパーで特売を見かけるとつい・・・
セディールさん、すごいですね。
私は高校生の時、手作りしたら彼氏が悲しそうな瞳をしていたので、二度としないと誓いました。それくらい悲しそうな瞳でした。
BGMはもちろんドナドナでした・・・

話はかわって。
青春を謳歌してくださいね。
でも、つらくなったらいつでも話してくださいね。
そして、自分は立派に戦った。そして勝ったんだって思っていてくださいね。
私はね、「若い時の苦労は買ってでもしろ」って言うのは反対なんです。
どうせ、苦労は付いてくるのだからワザワザ買わなくても、ねぇ?
若い時こそ楽しまないと。
だって、若いんだもん。
【2009/02/20 18:45】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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