かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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お客様
「いい加減にしなさいよ」
もうこの言葉を言うのは何回目だろうか。半助は奥の部屋で丸くなっているきり丸に声をかける。だけど、きり丸はそんな半助を無視して丸まったままだ。
「きり丸もこっちにおいで」
それでも返事をしない。徹底的に拗ねているらしい。
「なんだか、申し訳ないですね・・・」
恐縮しているのは六年生の立花仙蔵。火薬の授業の事でやってきたのだ。やってきたのはいいのだが、やってきたタイミングがまずかった。ちょうど、きり丸と半助が二人でお出かけするときだった。そして、お出かけ先はきり丸のお買い物だ。このお買い物を数日前から楽しみにしていたきり丸は突然の中止にすっかりとへそを曲げてしまった。
「本当にすみません・・・」
「いいんだよ。ちょっとは我慢も覚えさせないと」

内心はかわいそうにと思っているが立花に対しての見栄もあって、つい、そう言ってしまった。そんな半助の言葉がきり丸をますます拗ねさせる。
『先生なんて嫌い!!立花先輩なんて大っきらい!!』
ちょっと気を許したら涙が出そうになる。だけど、こんな事で泣くのは悔しかった。それに、背中を向けているが耳は二人の会話をしっかりと聞いている。
火薬の話なんだろうけど難しすぎてわからない。
でも、一言も聞き逃さないように聞いていた。だって、ぼんやりしていると立花先輩に先生を取られちゃう。
『そんなのだめだ。先生は俺の先生なんだから』
そう思うと、なんだか立花が憎たらしくなってきた。
『先輩なんて、おうちに帰ったらお父さんもお母さんもいる癖に。なんで、休みのときに俺の家にくるんだろ!!帰ればいいのに』
『俺のわからない話を二人でして。俺から先生を取っちゃう気なんだ・・・』

ちらっと2人を見る。すぐに立花と目が合った。あわててそらそうとしたが、先に手招きをされた。
「おいで、おいで」
声を出さずに口だけでそう言っている。
きり丸は素直になれずに、プイっと顔をそむけた。だけど、また気になって立花を見てしまった。そして、また手招きしてくれた。
『呼んでるから行くだけだもん・・・』
自分に言い訳するように思ってから、はいはいで移動した。
きり丸が近づいてくると立花はきれいに笑って
「きり丸、ごめんね。お出かけだったのにね」
と謝った。きり丸はちゃんと知っている。こんな時は
「いえいえ」
と言わないといけないことを。だけど、そう言えない。言えないけど
「さっさと帰って」
とも言えない。そんな事を言ったら半助から大目玉だし、それに、そんな意地悪を言うほど立花が嫌いじゃない。
だから、黙っていた。黙っていると、気まずい。
「きり丸、こっちおいで」
振り返ると半助が自分の膝をぽんぽんと叩いている。お膝においでの合図だ。きり丸は少し迷った。本当は今すぐに半助の膝に座りたい。だけど、立花が見ている。甘えん坊だと思われるのは恥ずかしい。
「どしたの?おいで」
もじもじしているきり丸を半助は引っ張って膝の上に乗せた。膝の上に乗ってしまえばもうおりたくない。だけど、立花先輩はどう思っているかしら?
そっと、立花を見る。だけど、その顔つきはとても優しくてとてもきり丸をからかったりはしそうになかった。
「・・・・」
「うん?こっちくる?」

あわてて首をふる。半助以外の人の膝はちょっと苦手だ。案外、人見知りなきり丸。バイト先なんかでは、物おじしないが実のところは結構内弁慶なのだ。
「おいでよ」
立花は優しい笑顔でもう一度、誘ってくれた。だけど、きり丸は首をふる。これが利吉なら、喜んで行くのだけど立花とはそんなに親しくない。学校でもそんなに接点がないのだ。
「きり丸って案外、大人しいんだね」
「・・・・」

きり丸の態度に立花は自分の持っていたイメージとの違和感を覚える。学校では騒がしくって生意気で一言多くて。そんなイメージだ。だけど、目の前の子どもは大人しくってよわよわしい。
「ふふふ、そんな事ないよ。ちょっと人見知りしてるだけさ」
半助は笑いながらきり丸の頭をぽんぽんとなでた。
「人見知り?だって、僕の事は知っているでしょ?」
きり丸はまだ小さい。人見知りするのは仕方がないが、人見知りというのは知らない人にするのであって、こんな風に顔なじみにはしないはず。
「子供ってね、結構、融通が利かなくってね。きり丸の中では立花に会うのは学校、って決まっているんだよ。だから、自分の家で会えば緊張しちゃうんだよね。ね、きり丸?」
「・・・・」

きり丸は恥ずかしいのか足をもじもじとさせるばかりだ。
「そうなんですね。でも、なんだか寂しいですね」
せっかく、来たのにきり丸が一言もしゃべらないなんて予想もしなかった。目的は半助に火薬の事を教わりに来たのだけど、きり丸もいるからにぎやかになるだろうと思って手土産にお菓子も持ってきたのに。
「大丈夫だよ。すぐになれるさ。なれたら勘弁してほしいくらいまとわりつかれるぞ」
立花は半助の膝の上にちょこんと座っているきり丸を見る。きり丸もきり丸で上目使いに立花を見ていた。
「お菓子、食べるかい?」
なんとか距離を縮めたいと思って持参したお菓子を差し出す。きり丸は差し出されたお菓子を受け取った。
しかし、食べようとした瞬間、半助から待ったがかかる。
「こら、もらったらなんて言うの?」
「・・・ありがと」

ようやくしゃべった。
「いいえ」
立花はなるべく優しい声でそう言った。
立花のくれたお菓子はおいしくて思わず声が出る。
「おいしいぃ!!」
「そ?よかったね」

そんな会話を交わしてしまえば、あとは話も弾んだ。きり丸は自分の話をたくさんした。
バイトの事。半助との暮らしの事。たまに来る利吉の事。学校での友達の事。
話し出すと半助や利吉よりも年が近い分、気の合うところもあった。
「立花先輩、今日は泊まる?」
「ううん、今日は帰るよ」
「え~?泊まっていけば?」
「おうちの人に言ってきてないからね。今度、泊めてもらうよ」
「じゃあ、御飯食べていく?」
「いいや。そろそろ帰らないと」
「え~?いいじゃん!」
「ふふふ、おうちに言ってきてないからね。きり丸だって土井先生に言わないで遅くなったらダメだろ?」
「俺は言っても遅くなったらダメなんだよ」

きり丸は大真面目だけど、立花は少し笑った。半助は大いに笑った。
「お前は一人でほうって置くとロクなことしないからな」
「ふんだ」
「まぁまぁ、それだけ心配されているってことさ。愛されているんだよ」

立花はきり丸の髪をなでてから帰って行った。
見送った2人はついでに夕日を見ている。立花の姿が完全に見えなくなると、きり丸は両手を半助に差し出してきた。だっこをねだるポーズだ。
「よいっしょっと」
半助は掛け声と一緒に抱きあげる。別に掛け声をかける必要はないのだけど、きり丸が喜ぶので言うのだ。
「よいっしょっだって」
その声は「先生、ジジくさい」とのからかいが含まれている。
「重いんだぞ。赤ちゃんじゃないんだから」
半助だって負けずにからかう。負けてなんていられない。
「重くないでしょ?俺の事、愛してるんだから」
「立花も余計なことを言うなぁ」

先ほど、立花が言っていたことを早速、活用するきり丸にあきれ声が出てしまう。どうして、こういう応用だけうまいんだろう。
「余計じゃないよ。俺だって先生を愛してるもん」
かわいいことを言う。
「そっか。今日はお買いもの、いけなくてごめんな」
かわいいことを言われると、半助はデレデレしてしまうのだ。
「許してあげる」
「えらく寛大だな。じゃあ、夕飯にするか」
「俺、まだ、お腹すかない」
「そりゃ、あんなけ飲み食いすりゃあね」

先ほどまで、きり丸はお菓子を食べ、お茶を飲んでいた。その量はきり丸には多すぎる量だった。途中で何度か注意しようかなと思ったが、楽しそうなきり丸を見て大目にみたのだ。
「へへへ、おいしかったの。今日は夕飯、食べたくない」
「許してあげる」
「えらく寛大じゃん」

すぐに半助のまねっ子のきり丸。
「愛してるからな」
なんだか照れてしまって夕陽を見る。腕の中のきり丸も夕陽を見ている。
「明日もいい天気だね」







あとがきです。
今回は珍しいお客様です。
火薬のことで来たってだけで立花先輩なのです。
立花先輩はしんべえとは仲良しですがきりちゃんとはいまいち・・・
でも、きりちゃんって仲良しな先輩なんていないですよね。
委員会でもそんなに誰とも仲良くしていないような気がします。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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