かわいいきりちゃん。
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復讐するは我にあり
 半助は土間に脱ぎ散らかされた小さな草履を揃えて、部屋に上がる。部屋にはこれまた、出しっぱなしの本。奥を見れば開けっ放しの障子。
「きり丸め~  痛て!」
何か踏みつけて足元を見ると、ガラス球がおちていた。それは床のあちこちに落ちていて、明らかにきり丸が遊んだまま出かけて言ったのだとわかった。
「今日という今日は・・・」
半助はガラス球を拾い集め、自分の柳行李の一番下に隠してしまった。
 程なくしてきり丸が帰ってきた。草履も履かず、出かけているのだからすぐ近くに行っていたのだろう。何度言っても裸足で表に出てしまう。怪我でもしたらどうするつもりなのだ。
「ただいま~ となりのおばちゃんにもらったぁ」
「おかえり 何をもらったんだ」

きり丸は小さな鍋を持っている。中身は野菜の炊き合わせだった。
「へぇ~うまそうだな」
「そでしょ?」

どうやら、となりに行っていたようだ。きり丸はちょくちょくとなりに遊びに行っては何かもらってくる。となりからもらってくる炊き物などは絶品でとてもありがたいのだ。
まるで自分が炊いたように得意気に部屋にあがり、首をかしげる。
奥の間まで何かを確認に行ったようだが、またも首をかしげる。
「ねぇ、先生。ここにおいてあったガラス球、知らない?」
「捨てちゃったよ」

あっさりと答える半助にきり丸は、キョトンとしていた。
「捨てちゃった?」
「そう。いつも出しっぱなしにしていたら捨てるって言ってるだろ?」

確かに半助はいつもそう言っている。おもちゃ以外の物でも出しっぱなしは捨てると。でも、今まで一度も捨てられたことはない。口ではいつも、グダグダと言うが実際には捨てたことなどない。
「嘘だ~」
きり丸は部屋の中を探し回った。が、どこにもない。半助が置きそうなところも全て見て回ったがない。
「ねぇ、先生。どこにやったの?」
この時、きり丸はまだ余裕があった。ガラス玉は自分の宝物だと言うことは半助だって知っているはずだ。だから、捨てちゃったりするはずが無いと思っているのだ。
「捨てちゃったってば」
きり丸はだんだんと不安になってきた。もしかしたら今回は本当に捨てられたのかも知れない。
「ねぇってばぁ」
「だから、捨てちゃったんだよ。さっき、くず集めの人が来たからね」

半助の具体的な嘘にすっかりだまされたきり丸は、泣き声をあげて抗議する。
「俺の物なのに、どうして勝手に捨てちゃったの?」
「出しっぱなしだったから」

半助の冷たい言い回しにカッとくる。あんなに大事なガラス球なのに。
「先生の馬鹿!グレてやる!悪い子になってやる」
まるで今までとってもいい子だったような発言に半助は笑いをこらえて、返答する。ここで笑ってしまえばしつけにならないのだ。
「グレればいいよ。悪い子になって牢屋にいれられればいいよ」
懸命に冷たい声を出す。半助の演技が見抜けない小さなきり丸は、涙声から泣きべそにパワーアップしている。
「先生の馬鹿ぁ!俺が牢屋に入れられたら先生の悪口を言うから~」
そう言って走って出て行ってしまった。
『悪口言うからか・・・』
きり丸の捨て台詞にまだまだ牢屋に入れられるほど、悪い事は出来そうにないなと思いつつ半助は迎えに行ってやる事にした。なにせ、まだまだグレれる歳でもない。

 半助の予想通り、きり丸は河原にいた。座り込んで草を抜いては投げている。その仕草は相当に膨れている。しかし、やっぱりまだグレる事は出来なかったらしい。涙で汚れた顔だった。
「きり丸」
半助が横に座るときり丸はプイッと反対方向を向いてしまった。そんなきり丸にクスッと笑い声をだし、『ほら』っと小さな袋に入れたガラス球を見せてやる。
「捨てちゃったんじゃなかったの?」
きり丸は嬉しいような、でも、まだ拗ねたいような顔つき。そんな少し涙で汚れた顔を袖でグイッと拭いてやり、厳しいような、甘やかすような声で言い渡す。
「今度したら捨てちゃうぞ」
「はい」

きり丸にしてはいやに素直に返事をする。が、半助はこの時油断していた。きり丸はガラス球が戻って素直な返事をしていると。
 しかし、そうではなかったのだ。きり丸はグレていた。しっかりとグレていたのだ。半助の知っているグレ方ではないがグレていたのだ。
『先生め。今日という今日は』
心の中で復讐を誓いながら反省しているふりをしている。大体、普段から先生は自分をチビだと思って軽くみていると感じていたのだ。ここらでひとつ、分からせておく必要があるのだ。

「いってきま~す」
「いってらっしゃ~い」

 きり丸が早朝バイトに出かけた後、半助はゆっくりと二度寝を決め込んでいた。もちろん、きり丸が帰ってくるまでに朝食の準備をし、布団を上げておかなければ怒られるのだが。
それでも、朝の二度寝はやめられない。
「ガラッ」
戸が開く音がし、誰かが入ってくる気配がする。こんな不躾なのはきり丸くらいである。
『げげっ!!もう帰ってきたのか?』
半助は慌てて布団からはいだす。そして見たのはきり丸ではなく隣のおばちゃんであった。
「ちょっと!半助!」
朝から力いっぱい怒っている。このおばちゃんが半助に声をかける時はたいてい怒っているのだか。十回声をかけられれば八回は怒っている。別におばちゃんが悪い人とか意地悪な人とかいう訳ではない。きり丸の事もかわいがってくれるし、昨日のようにおかずだってくれる。どちらかと言えばよい人なのだ。しかし、ベテラン主婦から見れば、二十五歳の独身男が十歳のイタズラ坊主を育てているのは危なっかしくて口を挟まずにはいられないのだ。
「はい」
思わず、正座をしてしまう。そんな迫力の持ち主だった。
「あんた!何回、言えば分かるんだい!」
「はい?」

今回は心当たりがなく、聞き返す。婦人会の事でも、町内会の事でも、きり丸のお行儀についても半助は何回もご指導を受けている身である。しかしながら、今回は何もしていないはず。まぁ、きり丸がどこかで何かしでかしたなら別の話だが。
「はい?じゃないよ!ゴミの日以外にゴミを出すんじゃないよ!!」
「へ?」

今朝はまだ、一歩も外へ出ていない。だから、当然、ゴミ出しもしていない。だが、土間を見るとゴミがない。
『きり丸め~』
半助はきり丸が昨日の仕返しにゴミだしをしたと、すぐに理解した。あの子が曜日を間違ってゴミだしなんてするわけがない。だいたい、ゴミだしなんてした事がないのだから。
『捨てるには捨てるで対抗か!!きり丸!!』
歯軋りをしながらも、おばちゃんに平謝りに謝った。おばちゃんが散々、文句を言った後引き上げていくとすぐに、きり丸が帰ってきた。中庭に隠れて様子を伺っていたに違いないタイミングであった。
「お手伝いしたんだよ」
ニヤニヤと笑いながら、うそぶくきり丸。その顔は
「ザマ~ミロ」
とお題をつけるのにぴったりである。
『今回はやられたけど、次はみていろよ~』
と、熱く誓う半助だった。なんだか大人気ないけど、大人だからこそ復讐しないわけにはいかないのだ。大人の面子にかけても。
「どうもすみませんだって」
まだニヤニヤをやめずに、さっき半助がおばちゃんに謝っていた言葉を真似したりしている。「きり丸のせいだろ」と言うのも悔しい半助は黙ってきり丸をにらみつける。
「いやいや、ホントにだって」
『どこでこんな憎たらしいこと覚えてきたんだろ?』

きり丸が口真似で半助を冷やかすのは、実は半助の真似なのだが。案外、人間とは自分の姿は見えていないものだった。
「みんなにも教えてやろっと!!」
この発言に半助はなんとか新学期までにきり丸の弱みを握らないといけないと確信するのだった。








あとがきです。
きりちゃん、復讐の鬼になってます。
仕返しの仕方がなんだかね・・・
先生も近いうちに、なんか仕掛けるかもしれませんね。
このままでは新学期に威厳が落ちてしまいますもの。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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