かわいいきりちゃん。
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注射ー前ー
きり丸はじっとカレンダーをにらむ。
そこには「きり丸、インフルエンザ」と半助の字で書いてある。それはきり丸の予定だ。別にインフルエンザにかかる予定ではない。インフルエンザの予防接種に行くという予定なのだ。もっと、厳密にいえば半助がきり丸を連れて行く予定。
「・・・・・」
ここ一週間ほどこの字ばかりをにらんでいるのだ。睨んでいるうちにいよいよ明日になってしまったのだ。
「往生際が悪いな」
半助は笑う。
「だって嫌なんだもん」
「何言ってんの。注射しとけばあとから楽なんだからね」
「楽じゃなくてもいい」

これは本心だ。毎年、この季節になると注射されてしまう。楽とは思えないのだが。
「インフルエンザってすごく苦しんだぞ。きり丸なんてちょっと風邪ひいただけでも大騒ぎじゃないか」
「そんな事ないもん」
「い~や、あるよ>」

実際に毎年の予防接種でインフルエンザにはかからないが、風邪はたまに引く。その時は大変な騒ぎだ。いつもに増して甘えん坊になり、食欲もない。薬も嫌がって逃げ回る。そして機嫌が悪く、一日中、ぐずぐずと言っているのだ。
「インフルエンザにかかったら一人で寝てるからぁ」
「寝てれないでしょ」

毎日の就寝だって一人では無理なおちびの癖に。毎晩、どちらかの兄が添い寝をしている。
「注射のない国に行きたいなぁ」
「・・・・・」

半助はきり丸と同じ地球上に注射一本がないために死んで行く子供がいることを思った。思ったが話さなかった。きり丸にはまだ理解できないだろう。今、話すよりももう少し大きくなってから話す方がきり丸のためになるような気がした。
「いつまでもぐずぐず言ってないで、おやつでも食べな」
「はぁい」

きり丸はキッチンのいすに座って考える。足をふらふらさせながら考える。どうしたら注射からのがれる事が出来るのか。確かに風邪を引けば苦しいが、それなりにいいこともある。いつも、半助か利吉がそばにいてくれる。赤ちゃんみたいにずっとだっこしてもらえる。御飯だって食べたくないと言えば「あ~ん」で食べさせてもらえる。
だから、きり丸としても注射するくらいなら風邪を引きたい。
『あ~あ、注射に行くのがりっちゃんならなぁ』
明日の付き添いは半助だ。これが利吉ならまだ少しは望みもある。病院に着く前におお泣きすればいいのだ。そうすれば、うまくいけば中止だ。
だけど、利吉は明日は忙しいらしい。だから半助がついてくるのだ。三時に迎えに来るから家にいるようにと言われている。全く、利吉ったら。肝心な時にいないのだ。
『そうだ!りっちゃんだ!!』
きり丸は名案を思い付いた。どうして、こんないい事、思いつかなかったんだろう。

「ただいまぁ」
「りっちゃん!おかえり!!」

いつもはリビングから言うのに今日は玄関までお出迎え。こんなお出迎えのときはたいてい利吉にとっていいことではない話を持ちかけられるのだ。
『また、一緒に謝ってかな?』
きり丸はいたずらをしたり、物を壊してしまったりしても半助になかなか言い出せず、よく利吉に謝りの応援を頼むのだ。
「りっちゃん、俺のこと、好き?」
これで始まる時はたいていそうだ。
「りっちゃん!りっちゃん、教えて!!」
今日は、利吉の予感は外れで、何か知りたい事があるらしい。
「なぁに?」
「あのね、インフルエンザの注射、しないでいい方法!」

きり丸は声をひそめる。半助に聞かれてはまずいのだ。
「注射?そうだなぁ、注射するときに熱が7度以上なら打てないよね」
「ホント?」
「うん。でも、結局は後で受けるから一緒だと思うけど…って、聞いてる?」

利吉の話の途中できり丸はもういなかった。踊るようにしてリビングに戻って行った。そして、リビングの窓を全開にする。
「きり丸、寒いよ!」
もちろん、半助から苦情が来た。
「いいの!子供は風にあたりなさいって大木先生が言ってた!」
「それはお昼のはなし。お風呂入った後はあったかくしないとダメなの」

半助はそう言って窓を閉めてしまった。
「もう!!」
これ以上、窓を開けると本格的に叱られる。それは避けたいので、今度はパジャマを脱ぎだした。まずはパジャマの上に来ているドナルドダックのパーカー。それからズボン。そして上着。あっという間にパンツだけになった。
「こら、何してんの?」
今しもパンツを脱いでしまおうとしているところで半助が本から顔をあげた。
「脱いでんの」
「なんで脱ぐの?寒いでしょ?風邪ひくよ」

半助にはこんな風に突然、服を脱ぐきり丸の行動がさっぱり理解できなかった。半助の理解なんて求めていないきり丸は構わずにパンツも脱いだ。
「こら!恥ずかしいよ!」
「いいの!!」

半助はよく「恥ずかしいよ」と言うがきり丸には一体、なにが恥ずかしいのかわからない。家の中で家族しかいない時に裸ん坊になるなんて恥ずかしくもなんともない。
「よくないの!ほら、着なさい!」
半助は裸ん坊を捕まえてパジャマを着せようとした。もちろん、きり丸は抵抗した。
「どうしたの?裸ん坊でぇ?」
2人が騒いでいると着替えを済ませた利吉がのんきに入ってきた。
「俺は裸がいいの!!」
「風邪ひくだろ!」

こんな二人の会話を聞いて利吉はさっきの事を思い出す。きり丸は風邪をひこうと頑張っているらしい。
「きりちゃん、さっきも言ったでしょ。明日、注射できなくても来週にはするんだって。もうお医者さんに予約してるんだから無理だよ。逃れられないよ」
利吉の声はいつもどおりに穏やかだがきり丸に絶望を与えるものだった。
「もう、往生際が悪いんだから!」
結局、おしりに一発もらってパジャマを着せられた。
メソメソとソファにうずくまるきり丸。その背中を優しくなでながら利吉は言った。
「きりちゃん、泣かないで。でもさ、インフルエンザになったら死んじゃう時だってあるんだよ」
「・・・・」

急に死んじゃうなんて言われてもピンとこない。
「それにさ、インフルエンザになったら治るまでに三回は注射すると思うよ」
「え?」

具体的な回数の方がピンときた。
「だかさ、明日、予防接種しておいで。お土産、買ってきてあげるからさ」
「ホント?」
「ホント。きりちゃんの好きなシュークリーム買ってきてあげる」
「うん。じゃあ、がんばる!!」
「えらい!さすがはきりちゃん!」

こうしてきり丸はいよいよ覚悟を決めた。
だが、なかなか眠れず半助に三冊も本を読んでもらってようやく寝た。
『よっぽど怖いんだろうなぁ』
親指を吸いながら眠るきり丸を見て半助はしみじみと思った。そっと、指を口から外して布団に入れる。それから音をたてないようにドアを閉めた。







あとがきです。
今回は平成のきりちゃんです。
セディールさん、ありがとうございます。
明日に続くので、明日もよろしくお願いします。
今、いとこから借りた漫画にはまってまして、家事を怠りがちです・・・
六巻までなのに、読むのが遅いです。
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
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