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かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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町での恋敵ー2-
『窮屈ねぇ・・・』
団蔵との会話の間もぐっすりと寝ていたきり丸の顔を覗き込んだ。なんの、憂いもなさそうに寝ている。幸せそうな寝顔である。
半助はこの笑顔の中には自分を窮屈だと思っているきり丸もいる訳であると思うとなんだか切ないのだ。自分はもうきり丸にとって不必要な存在なのだろうかと思う。
『いつまでも甘えん坊ではいてくれないのかな?』
夜になると、
「先生と一緒に寝る」
なんて、言うときもしょっちゅうなのに、時々は一人部屋の団蔵が羨ましくって、自分の家が窮屈と感じているなんて。なんだか、切ないじゃないか。
 家に帰ると半助はそっと、きり丸をおろした。
細心の注意を払って下ろしたつもりだったが、目を開けてしまった。多分、もう、充分に寝たのだろう。
「先生・・・だっこ・・・」
今の今までずっとだっこだったのに、起き抜けに言ったセリフはこれだった。
「甘えん坊だな」
そう言って抱いてやる。それでも、今日はなんだか複雑な気分。甘えてこられて嬉しいような、それでいて、少し拗ねたいような気分。
「俺、だいぶん、ネンネ?」
「うん、町で団蔵に会ってもネンネしてたよ」

半助がそう言うと、きり丸はパッと顔を上げて
「え!団蔵にだっこしてるの見られたの?」
と、声を上げる。団蔵は自分をからかったりはしないけど、やっぱり恥ずかしい。だって、だっこでネンネなんて赤ちゃんみたい。赤ちゃんみたいだけど、大好きでやめられない『だっこでネンネ』なのだけど。
「仕方ないよ、ネンネしてたんだもん」
きり丸はそう言われてもやっぱり恥ずかしいらしい。口の中で何やらブツブツと言っている。
「ネンネしなきゃ良かった・・・」
きり丸はそう言って自分の親指を確認する。見れば、ふやけてはいない。どうやら『指ちゅっちゅっ』の方は見られなかったらしい。これが見られなかっただけでもやれやれだ。
「仕方ないよ、きり丸はまだ小さいもの。疲れちゃったら寝ちゃうんだよ」
半助は殊更に、きり丸が嫌がる言い回しをした。なんだか、面白くなかったのだ。きり丸がやけに団蔵の目を気にするのが面白くないのだ。しかし、きり丸は別段、団蔵の目を気にしている訳ではない。こんな場合は団蔵以外のクラスメートだって同じ反応で気にするのだけど。だけど、今日の半助にはそう思えないのだった。
「先生、意地悪!」
きり丸はふて腐れて言い返す。そして、半助の腕から飛び降りた。こんな言い返しだって、いつものようにさらっと流せばいいものをイチイチ引っかかってしまう。
「そう?だったら、あっちの部屋に行けば?おうちは狭いから。一人にはなれないけどね」
これは明らかに団蔵の『窮屈』発言を意識した言葉なのだけど、きり丸はそんな事知らない。眠っていたのだから、二人がどんな会話をしたのか知らないのだ。知らないで聞くと、なかなかにキツイ言葉だった。半助は言ってしまってから自分の大人気なさが嫌になり、きり丸に背中を向けた。背中を向けて何やら忙しいふりをした。
「先生のバカ」
きり丸はなんだか淋しくなった。なんだか、半助が一人のほうがいいと思っているような気がして淋しかったのだ。大きなつり目からなみだがポロッとこぼれる。
「きり丸・・・」
半助はとまどってしまった。いつものきり丸ならギャンギャン言い返すか、ワンワンと大声で泣くと思っていたのだ。それなのに、こんな静かに泣かれるなんて。
「きり丸、どうしてわーんって泣かないの?いつもみたいに言い返さないの?」
我ながら馬鹿な事を言っていると思う。自分でひどい事を言っておきながら、きり丸が本気で傷ついてしまった事に怯えている。
きり丸は返事をしないで、半助を見ている。大きな目で見ている。涙の目で見ている。
「きり丸、こっちにおいで」
半助がそう言うと、きり丸はすばらしいスピードで抱きついてきた。こんな時は、意地を張れないのだ。半助との間には少しの隙間もきり丸は嫌なのだ。
「きり丸、ごめんね」
きり丸は力のかぎり抱きついて
「先生、なんで意地悪、言うの?」
と、痛いところをついてきた。決して悪気があるわけではない。半助が大好きなのだ。だから、聞くのだ。半助だって分かっている。分かっているから、言いにくくても返事をするのだ。
「ごめんね、ちょっとだけ、拗ねていたんだ」
「??俺が??」

半助の返答はきり丸には分からない。『拗ねる』のはいつだって自分と決まっている。半助にからかわれたり、叱られたりで拗ねるのだ。でも、半助が拗ねているのは見たことがない。拗ねると言うのは、自分から押し入れに閉じこもったり、頭から布団をかぶって膨れたりする事だと思っている。今の半助は意地悪なだけだ。
「きり丸じゃないよ。私が拗ねていたんだ」
「なんで?」

またも、痛いところをついてくる。
「だって、きり丸が団蔵に『一人のお部屋がうらやましい』なんて言うからさ・・・」
自分で言いながら子供くさい言い方だと思って笑いそうになってしまった。
『だって、だって。私って25歳なのに・・・』
毎日、きり丸と一緒にいるとうつるのかしら?きり丸がイタズラをして、怒られたらよく
『だって~』
って、言うから
『だってじゃない!!』
って、叱るのに。自分が『だって』なんて言うなんて。
 半助の気持ちなんて知らないきり丸は小首をかしげて考える。自分は団蔵にそんな事、言ったかしら?
「団蔵?」
「そうだよ、団蔵が一人のお部屋でうらやましいんだろ?きり丸は窮屈なんだろ?」

半助はまた拗ねたような言い回しになってしまった。
「先生だって窮屈だろ?」
きり丸はあっさりと言いのける。この言い方から察すると、きり丸は相当、窮屈な思いをしているらしい。確かに、自分は口うるさいかな?と、思う時はあるが、こうも面と向かって『窮屈』なんて、割れると半助だって淋しい。
「私はきり丸がいても窮屈なんて思ってないぞ!」
思わず、声を上げてしまう。
「見栄張らないでよ。狭いじゃん!布団だってぴったりとつけないと敷けないじゃん!」
きり丸も負けていない。だって、自分は間違った事は言っていないと思っているから。
半助はここで、違和感を覚えた。どうも、自分の思っている『窮屈』ときり丸の思っている『窮屈』は少し意味合いが違いそうな気が・・・
「きり丸・・・そう言うのは『うちが窮屈』とは言わないんだけど・・・」
だいたい、冷静に考えてみればきり丸に一人部屋なんていらないのだ。布団をぴったりとくっつけて敷いているのに自分の布団に潜り込んで来る甘えん坊なんだから。夜は一人でトイレに行けない怖がりなんだから。本気で団蔵を羨ましがって一人部屋を欲しがったのではないだろう。ただ、単に一人部屋という大人びた状況に憧れたのだろう。もし、この家が広くて、一人部屋になったとしても、きっと
「先生~一緒に~」
なんて、甘えた声を出して一人では寝てくれないと思う。
半助はそんな事を思うとなんだか顔がにやけてしまう。急にニヤニヤし始めた半助を怪しい人を見る目つきで見るきり丸は
「なに、ニヤニヤしてんの?気持ち悪いなあ」
なんて生意気な口調でいぶかしがる。
「いやね、きりちゃんがね、一人部屋だったら一人で寝れるのかなぁって思ってさ」
半助はニヤニヤ顔のままで言う。きり丸にとってそんな子供扱いはとっても悔しいのだ。
「寝れるに決まってるでしょ!!」
今回ばかりはどれほど強気で言っても大丈夫。だって、自分ちは二部屋しかないのだから。絶対に半助と別々に寝ることなんてありえないのだ。
「俺、きっと一人のほうがぐっすりと眠れるよ!静かでさ!」
きり丸はさらに生意気を継ぎ足した。これには半助だって言いたい。きり丸の方なのだ。寝てからうるさいのは。寝言は大声だし、寝相は悪いし、寝ぼけて歩き回るし。
「何言ってんの!きり丸なんてね夜中に大声で泣いたりしてるんだよ!」
これだって事実だ。きり丸自身は覚えていないが寝ぼけておお泣きしたりする事だってある。
もちろん、覚えのないきり丸は激しく抵抗した。
「そんな事してないね!先生なんて遅くまで本読んでるから俺、眩しいんだから!」
これも半分、事実。半助は確かにきり丸に言わせれば遅い時間まで本を読んでいる。しかし、きり丸が眩しくて眠れないなんて事はない。いつも、半助がいつ寝たのか分からないのだから。
 二人はにらみあう。お互い、譲りたくないのだ。こんな風に黙っていると、きり丸は先程、半助が言っていた『拗ねていた』の言葉を思い出した。
「ねぇ、先生、さっきね、俺がお部屋が狭いって言ったから拗ねているって言ってたの?」
にらみ合っていた事なんて、次の考えが浮かんだらすぐに忘れてしまう。そんな、単純な歳のお子様なのだ。そんなお子様と本気でにらみ合うなんて我ながら大人気ないと思ってしまった半助だった。一旦、そう思うと急に気恥ずかしくなって
「違うよ。きり丸が私の事を邪魔に思っているのかなって思ってさ」
「そんな訳ないじゃん!俺、先生が大好きなのに!」

この時のきり丸の素直さが半助には眩しかった。
「私だってきり丸が大好きなんだけどさ・・・」
「あっ!団蔵がなんか言ったの?」

きり丸はこの前、団蔵に半助の事を「口うるさい」とか言ってしまった事を思い出していた。
「違うよ、団蔵は何も言ってなかったよ」
実際には団蔵がアレコレと言っていたし、『窮屈』という言葉も使っていたのだが、それによって半助がいろいろと思い悩んだのだが、ここで団蔵のせいにするわけにはいかない。そんな事をすれば、きり丸と団蔵の友情にヒビが入ってしまう。それに、なによりそこまで卑怯に成り下がりたくないじゃないか。
「ふ~ん、なぁんだ!先生、俺と一緒だね!」
きり丸はニヤッと笑った。
「一緒って何が?」
「俺もね、時々ね俺は先生が大好きだけど、先生はどうかなって考えちゃうんだ。そしたらさ、急にだっこしてほしくなったりするんだ」

きり丸はそう言って、半助を強く抱きしめてくれた。実際には半助の膝に乗って、しがみついているから、きり丸のほうがだっこされているように見えるのだけど。だけど、半助は嬉しかった。きり丸の優しさが嬉しかった。
「きり丸、じゃあ、もうだっこされなくても大丈夫さ。私は世界で一番、お前が好きなんだから」
きり丸を安心させ喜ばそうと思って言ったのに、きり丸は嫌な事を言われた時の顔になる。
「・・・・・」
眉根を寄せて複雑そう。まるで、一つのお皿に大好きなものと、大嫌いなものが乗っているときのような顔だ。
「どった?」
半助がきり丸を覗き込んで聞くと、きり丸は半助の耳元にそっとささやいた。
「俺ね、だっこはね、いつでもされたいの」
つまりは、『だっこされなくても大丈夫』がダメだったのだ。いくら半助が自分の事を好きでいてくれると約束してくれてもだっこは別物なのだ。もちろん、さっき言ったように不安になった時もだっこされたいが、それ以外の時でもいつでもだっこがいいらしい。
「そっか!だっこ好きだもんな」
「うん」

テレながらも認めるきり丸に半助は幸せを感じた。きり丸はまだまだ自分を必要としてくれているのだと。







あとがきです。
こどもはみんな、だっこが好きですよね。
私は末っ子だったのでずいぶん、長い間、だっこされていました。
でも、兄弟の上の人はそうはいかないですよね。
我が家は三人兄弟で、真ん中の姉は我慢強いのでいつも黙って我慢していたそうです。
母はいつも
「このこばっかり我慢している」
と、悩んでいたそうです。
その甲斐あってか、姉は三人の中で一番人間ができていると思われます。
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この記事に対するコメント

先生勝利ですね。
きりちゃんはなんだかんだ言っても「先生がいい~」と思うでしょうね。
恋人同士ですものね^^。

私は抱っこは3歳ぐらいまででした。
妹が生まれましたから・・・
「かわいいきりちゃん」できりちゃんが先生に抱っこされていると私まで幸せになってしまいます。本当は抱っことかおんぶとか大好きですもの。

あぁ・・・お子ちゃまな19歳・・・・^^;
【2009/02/05 18:29】 URL | セディール #- [ 編集]


こんばんは~
先生はきりちゃんを愛してますからね。
愛は強いのです。

三歳までって、ちょっとさみしいですね。
だっことかおんぶというのは幸せな気持ちにしてくれますよね。
私は大人になってからは子供をだっこしたりするのが好きです。
友達の子を抱きまくりです。
だから、私の書く話では土井先生がよくだっこしてくれるのだと思います。
きりちゃんのピンチとかも半分くらいは経験談です。
ああ、ごめんね、きりちゃん。ピンチの多い人生にしてしまって・・・

と、反省するときもあります。
【2009/02/05 22:13】 URL | ゆっち #- [ 編集]


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Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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