かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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町での恋敵-1-
半助はかわいい荷物を持って市場を歩いていた。夕方の市場は、皆、自分の持ってきた商品を売りさばいてしまおうと思っているので、なかなかの活気だ。
「なかなかの賑わいだねぇ」
そう言って、もうすっかりと夢の中に入ってしまったきり丸に話しかける。ちかごろ、一人で歩くことなんてめったに無い。いつだって、きり丸の手を引いているか、今のようにだっこしているかだ。そのせいか、話しかける癖がついてしまったようだった。
『もう、寝ている』
先程まで、アレコレとバイトの話をしていたのに。無理もない。今朝は早くから働いていたのだ。売り子のバイトで、もちろん半助だって手伝わされたのだ。その結果、満足いく上がりだったようで、寝顔も安楽なものだった。
『幸せそうな顔しちゃって』
半助はきり丸の寝顔が幸せそうで、自分も幸せな気持ちになった。きり丸にこんな事を言えば、
「先生って安上がりで得だねぇ」
なんて笑うに決まっているけど。本当に口だけは達者なおチビさんなのだ。
『・・・あれ?あれは・・』
半助は見知った顔を見つけた。
「お~い!団蔵!」
数メートル向こうの店から出てきた団蔵。団蔵に愛想よく手を振った。
「仕事か?」
団蔵は愛馬を連れている。家業の手伝いだろう。振り返った団蔵は一瞬にして険悪な顔つきになった。半助の腕の中にきり丸がいたからである。
「先生・・・。きり丸、具合が悪いんですか?」
挨拶もせずにきり丸の話題。半助はそんなのが団蔵らしいと言えば、団蔵らしいと思った。
「え?ああ、違うよ。だっこしていたら寝ちゃったんだ」
半助はきり丸の寝顔を団蔵に見せるように少しかがんだ。団蔵が覗き込むときり丸はぐっすりと眠っていた。その安心しきった顔つきに団蔵はますます面白くない。
「どうだ?うちによっていくか?」
半助は団蔵の面白くなさそうな顔に気づかないふりをして誘う。団蔵はよくきり丸の元に遊びに来るのだから、こんな風に偶然会った時も誘ってみた。いつだって狭い長屋できり丸と楽しそうに遊んでいるのだ。今は寝ているきり丸もすぐに目を覚ますだろう。そして、突然の団蔵の来訪に喜ぶだろう。
「いえ。きり丸、寝てますし」
団蔵はやけにきっぱりと断った。きり丸と遊びたい気持ちはあったが、半助の腕の中で安心して寝るきり丸は見ていたくなかったのだ。
「きり丸だってすぐに起きるさ」
半助がきり丸を揺すりあげたようとした時、片手で抱いていたのでずれてしまった。
「おっと!」
慌てて半助がもう片方の手を添えると同時に団蔵が両手を差し伸べる。
「危ない!!」
団蔵はしっかりときり丸の背中を押さえた。
「先生、危ないじゃないですか!」
厳しく言う団蔵に対して半助は笑顔で答える。
「はは、大丈夫だよ」
半助にしてはこれくらいよくある事なのだ。きり丸がだっこで寝てしまう事だって珍しくないし、荷物のために片手で抱く事だっていつもの事なのだ。これくらいで慌てていてはきり丸の恋人は務まらない。
「大丈夫って落ちてからでは遅いんですよ。馬術だって走る前に下りる稽古をするんです!」
まだ、きり丸の背中を支えながら団蔵はぷりぷりと怒っていた。
『団蔵ってこんなに怒りっぽかったけ?』
半助は団蔵をみながらそんな事を思っていた。でも、本当は知っている。団蔵が怒りっぽくなっている訳を。団蔵はきり丸が好きなのだ。その好きは、半助にとって厄介な事に半助がきり丸を好きなのと同じ種類の好きなのだ。団蔵の気持ちがいつまで続くかは誰にも分からない。でも、団蔵にとって初恋であることは間違えない。
『初恋は実らないのがこの世のならいさ、若旦那』
半助は怒り顔の団蔵を、笑いをこらえて見やった。
それから、団蔵に向かってにっこりと笑って
「団蔵は心配性だな。でも、先生は大人だから大丈夫さ」
なんて、教師のふりをして恋敵を挑発してみた。ここらで、自分という男の存在をアピールしておかないと。団蔵の初恋を実らせてやる気なんて全然ないのだから。
クラスでは大人な態度をよくとる男らしい団蔵もやっぱり10歳で、25歳の大人に挑発なんてされれば面白いように反発してしまう。
「そんな事ないですよ!先生はきり丸をちょっとぞんざいに扱いすぎです!」
ふて腐れ顔の見本のような顔になって言い返す。団蔵にしてみればそうだろう。いつも、自分がきり丸を馬に乗せてやったりする時は、もっと、もっと丁寧に扱っている。もっと、もっと、大事に扱っている。危ない目になんかあわせない。
今日はなんだか、とっても意地悪な気持ちになってしまった半助はさらに言い返してやった。
「ふふふ、でもね、先生は大人だし、ずっときり丸と一緒にいるから慣れているんだよ、平気さ。いつもだっこしてるんだから」
『大人』、『ずっと』、『一緒』、『慣れている』、『いつも』。そんな単語が団蔵の胸を突き刺す。
悔しい。自分も『大人』だったら、きり丸を引き取って『ずっと』、『一緒』にいる事だって出来るのに。自分も『大人』だったらきり丸を『慣れている』と言えるほどだっこ出来るのに。『大人』だったら『いつも』きり丸と一緒に暮らせるのに・・・
でも、自分は大人じゃない。10歳の子供だ。馬借の若旦那として頑張っているが、子供だ。きり丸と同じ子供だ。だから、きり丸を守ってあげれない。自分の家に連れて帰って、寝泊りをさせるくらいはわけないが、半助のようにきり丸を全てから守ってあげれない。こんな風に安心して寝させてあげる事が出来ない。
しかし、そんな事でへこんでいては、馬借の若旦那は務まらないし、恋は出来なのだ。
『恋はイバラの道』
誰が言ったか知らないが、なかなかの名言だと思う団蔵だ。
「そんな事言いますけどね、先生。きり丸、この前、ぼやいてましたよ!」
自分は子供だ。それは動かしようのない事実だ。だからこそ、きり丸と同じ子供同士という共通点を使って反撃するのだ。
負けてはいられない。こんなくらいで、負ける男は恋をする資格なんてないのだ。
『恋はイバラの道』
なんだか、これが団蔵の座右の銘になりそう。それほど、団蔵の恋は『イバラの道』なのだ。
「へぇ、きり丸、なんて言ってた?」
自分だけイバラの道を進む気はないのだ。同じ、きり丸を好きな者同士、半助にだってイバラを味わって頂きたい団蔵だった。
「先生はね、子供の気持ちがわかっていないって」
この前、確かにきり丸はそう言っていた。理由は、きり丸がイタズラをして半助に叱られたからだけど。しかも、そのイタズラはもう、自分達の歳ならとっくにやりそうにないイタズラ。
その時、団蔵は口では
「きり丸も大変だね」
って、言ったけど本心は
『そんなイタズラ・・・先生も大変だ・・・』
なんて思っていた。それなのに、今日はきり丸と子供同士の自分はきり丸の気持ちが分かるが、大人の半助にはわからないと言いたいのだ。
「へぇ、そんな事か。そんな事なら面と向かって言われなれているさ!」
半助は強がった。実際に面と向かっても言われているが、自分を二人の時にあった事を、クラスメートの団蔵に愚痴っているなんて。なんだか、ショックだ。
「そうですか?じゃあ、きり丸が僕の家に泊まりに来たときに、一人部屋の僕を羨ましがってるの知ってますか?」
団蔵はなかなかに挑発的である。半助はきり丸が一人部屋を欲しがっているなんて全く知らない。あの、狭い長屋で別段、不満もなさそうに見えるのに。まぁ、不満を言われても一人部屋は無理なんだけど。
「きり丸、羨ましがりだから」
そう、この子は羨ましがりなのだ。なんだって、
「いいなぁ~」
って、言うのだ。
「自分はいつも土井先生と一緒だから窮屈だって!」
団蔵は嘘は言っていない。きり丸は本当にそう言っていた。それが、きり丸の本心かどうかは別として。
『窮屈・・・』
半助はなかなかのダメージを受けてしまった。きり丸に普段、口やかましく言っている自覚があるのだ。だから、『窮屈』なんて言われていると、知ると衝撃は大きい。
「そう?きっと、叱られた後だったんだよ。団蔵だってお父さんとかに叱られたら悲しくなってどこかに行ってしまいたいような気持ちになるだろ?」
半助は持っている演技力の全てを総動員して演技をした。『大人の担任の先生』を演じきった。
「そんなにのんきな事を言っているときり丸が逃げたしちゃいますよ。僕はそうなったら、きり丸と二人部屋でもかまいません」
演技力なんて無関係で怒っているから怒っている顔をしている団蔵と別れたのは、その後、二三度の会話を交わしてからだった。
「気をつけて行くんだぞ」
一応、担任として言う半助。
「慣れた道ですから」
しょっちゅう、きり丸に会いに来ている町だ。団蔵の言葉に嘘はない。







あとがきです。
今回、きりちゃんん、一言もしゃべってませんね。
でも、明日はちゃんと喋りますのでよろしくお願いします。
先生と若旦那は恋のライバルなのですよ。
そんなわけで、二人ともちょっと大人げないです
あっ、でも、若旦那は子供ですね・・・
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忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
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