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かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
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利吉君はいいね 続き
「先生~起きて~」
朝から半助はゆすり起こされる。自分と利吉は夜更かしになったがきり丸だけはさっさと寝たのだ。だから、当然、早い時間に目が覚めるのだ。それにしても、いつもずいぶん早い。
「どったの?まだ、早いよ」
半助は眠そうな自分を自覚する。きり丸はもう目がすっかりと覚めているようで
「お腹空いたの!」
と、朝から食欲旺盛であった。自分は情けないことにやや二日酔い。
「もう少しネンネしたら?」
「や!」

半助の希望はたった一文字で却下されてしまった。仕方なく、起き上がる。残念なことに本日の食事当番は半助なのだ。起き上がるとき、きり丸の声ですでに目を覚ましていた利吉と目が合う。
『土井先生だって甘いじゃないですか?』
と、その目はそう言っている。
「きり丸、利吉君を起こしてあげて」
半助はきり丸が起こすときに布団の上に飛び乗るのが好きなのを知っている。なかなかの勢いで痛いのだ。これを利吉に味あわせてやろうと企んだのだ。しかし、きり丸は利吉に対しては遠慮があるのか、いい子に思われたかったのか、大人しく起こした。
「利吉さん、起きて!」
半助の陰謀から逃れた利吉は、すばらしい寝起きのよさを見せた。
「おはよう、きりちゃん」
半助と違って一回で起きる利吉にきり丸もご機嫌だ。
「利吉さん、お利口さん」
なんだか、褒め方がかわいらしい。こんな風に『お利口さん』なんて言われたのは何年ぶりだろう。言われてみると、嬉しいものだった。利吉はきり丸をダッコすると
「顔を洗いにいこうか?」
と、誘ってみた。だっこの好きなきり丸は喜んで頷いた。利吉もきり丸もご機嫌な朝だったが、一人、不機嫌な半助。二日酔いのせいで頭も痛いし、きり丸が自分より利吉にまとわりつくのは面白くない。まったく、自分ばかりが貧乏くじだ。
利吉がきり丸を抱いて、自分のわきを通る時、きり丸のおしりを軽く叩いてやって
「甘ったれ!」
と、言った。これはますます自分を不利にする行為なんだけど、我慢できなかったのだ。案の定、きり丸は利吉の首にしがみついて、半助にアッカンベーとしてみせる。その上、
「俺ね、利吉さんが好き」
と、これ見よがしに言ってくる。本当にどこでこんなやり方覚えてくるのだろう。
「そう?私もきりちゃんが大好き」
そして、利吉の小賢しい事ったら。利吉だって半助から見れば、ほんの少し前まではきり丸と変わらない子供だったのだ。それなのに、こんな風にきり丸の気を引いたり、自分と変わらないくらい大ききなったりと、まぁ、なんて言うか、その、憎たらしい。
『だいたい、普段、きり丸を育ててるのは私だぞ?』
半助は面白くない気持ちで、大根を切った。こんな気分で大根卸しをしたら苦いだろうなと思いながらも大根卸しに精をだす。今日は二日酔いだから大根おろしが食べたいのだ。
「苦い!俺、いらない!!」
きり丸は大根おろしを一口食べただけでそんな事を言う。
「こら!ちゃんと食べなさい!!」
「やだ!苦いもん!!」
「そんなに苦くないだろ?好き嫌いはいけません!」

自分だって練り物はダメで学校ではきり丸に食べてもらっている体たらくのくせになかなか偉そうな半助。もちろん、きり丸だって言い返す。
「先生だって好き嫌いあるじゃん!それに、大人が食べたら苦くなくても子供が食べたら苦いんだい!」
これは一理ある。お酒だって大人が飲んだら美味しいものだが、子供には風邪薬と同じくらい苦いものだ。大人にとって、『うまみ』とか『深み』とか言われる味でも子供にとっては『苦味』としかとれないものなのだ。
「きりちゃん、じゃあさ、こっちのお芋と返たげる」
あくまでも、きり丸を甘やかす利吉。昨夜だって同じ手口で甘やかしていた。だいたい、子供なんて好き嫌いが多いのだ。そのたびに甘やかしていては、好き嫌いは増える一方なのだ。
「わ~い!やった~」
大喜びのきり丸。それに対して半助は
「利吉君・・・ 甘やかさない!」
と、ご立腹。しかし、もう芋が食べれると思って喜んでいるきり丸に今更、芋を返しなさいとはいえないものだった。いつもだったら、『あ~ん』と言って自分が食べさせる。こうして、きり丸の栄養管理に努めているのに、利吉と来たら。甘いんだから。
「ね、利吉さん。ごはん食べたら市場の方に行こう!」
きり丸にはたくらみがある。市場の端に近頃、カルメラ焼きのお店が出来たのだ。この前、半助にねだったが、ダメだったのだ。そこで、自分に甘い利吉にねだる気なのだ。そんなのは半助だって分かっている。
「きり丸。利吉君におねだりしたら、どうなるんだっけ?」
なかなかに厳しい声の半助。きり丸は小さな声で返事をする。
「怒られる・・・」
「分かってるね。ダメだぞ?」
「しないもん・・・」

口ではそう言っているが、カルメラ焼きは食べてしまえばばれないのだ。おもちゃとは違う。それに、利吉だったらねだらなくても「カルメラ焼きのお店ができたの」と言えば買ってくれるだろう。それなら、おねだりじゃない。もし、こんな考えを口にしたら、「屁理屈だ」と言われそうなことを考えている。
「行って来ます」
きり丸は何度も半助に念を押されてから、家を出た。どんなけ、『おねだりはダメ』って言われても一歩外に出れば、利吉と二人なのだ。そうなれば、きり丸の思い通りだった。
「ね、利吉さん」
きり丸はカルメラ焼きのお店を指差した。利吉だって何か欲しいものがあるから町に連れてこられたなんて分かっている。
『これかぁ・・・』
お店の方から甘い香りが漂う。こんな甘い香りをかげば、きり丸じゃなくっても子供なら誰でも欲しがるだろう。実際に、お店の前には買ってもらうために並んでいる子供、その隣には母親に「そんなの買わないよ」と言われてひっくり返っている子供とそれぞれいる。
「なかなか、盛況だね」
きり丸をつれて利吉は列の最後尾にならんだ。きり丸は浮かれきっていた。じっとしていられないらしい。
「楽しみだねぇ」
なんて、かわいらしい笑顔を見せてくる。
「そうだねぇ」
利吉もそう返事をしてやった。じっとしていられないきり丸はすぐに
「俺、川の中に魚がいるか見てくる!」
と、駆け出した。今、わたってきた橋から川を覗き込んでいる姿を確認して
『まぁ、大丈夫かな』
と、利吉は判断した。欄干が高いのでそんなに身を乗り出すことは出来ないのだ。だから、川にジャポンなんて事にはなりそうにない。
『かわいいんだよねぇ、きりちゃん』
利吉はそんなのんきなことを思い、カルメラ焼きを二つ買ってきり丸の元へと戻った。橋の方にいるはずである。
橋で利吉が見た光景は、驚きの光景だった。
「きりちゃん!」
利吉は思わず叫んでしまった。
「あっ、利吉さん」
きり丸は笑顔で振り返る。笑顔はいいのだけど、きり丸が立っている場所が問題だ。きり丸は欄干の上にバランスを取って立っているのだ。退屈になったので欄干を平均台にして遊んでいたのだ。慌てて、きり丸を抱き下ろす。ここの川は結構な深さだ。過去に何人もの子供が溺れ死んでいるのだ。
「きりちゃん、ダメじゃない!危ないよ!!」
利吉にしては珍しく声を荒げる。きり丸はキョトンとして
「俺、平均台、得意だよ!」
なんて言っている。そんな風に言われて肩の力ががっくりと抜ける利吉だった。命にかかわる問題だったのに、この子ののんきさときたら。
「得意でも、落ちても大丈夫なところでやってね」
もっと、厳しく叱るべきなんだけど、と思うものの厳しくなれない利吉。
「落ちないよ!平気!」
自信たっぷりのきり丸だが、この際はきり丸の自信の度合いはあまり関係ない。
「きりちゃんは平気でも私は平気じゃないよ。それに土井先生だって怒るよ?きっと」
「う~ん、先生だったら怒るね。前も怒ってたし」

どうやら前科があるらしい。利吉は内心、
『土井先生、偉そうに言っていたけど、きりちゃん、懲りてませんよ』
と、思っていた。夕べ、半助は自分はきり丸を厳しく叱っている風に言っていた。しかし、今、きり丸は半助に叱られた事を、半助の目を盗んでしているのだ。厳しく叱るだけじゃだめじゃん?的なことを思う利吉だった。
「そうでしょ?今回は内緒にしていてあげるからね。もうしちゃ、ダメだよ?」
「うん!」

そんな会話の後、利吉は振り返って再び驚いた。
「内緒なんだ、利吉君・・・」
「土井先生・・・いらしたんですか?」

いつの間にか半助がいたのだ。その半助の表情は怖い。
「利吉君、夕べ、君、なんて言った?きり丸の危険には本気で叱るって言ってなかった?」
「いや、今回は、その・・・」

利吉は『あなたの厳しさも伝わってませんよ』と言ってやりたかったが自体の悪化を恐れて口を慎んだ。それでも、何かうまい言い訳も見つからなくて、口篭もる。そんな利吉に半助は教師の声で一喝。
「利吉君!」
「すみませ~ん」

こんな風に誰かに怒られるなんて久しぶり。利吉は半助の長い説教を聞きながら父を思い出していた。
『教師って説教の仕方も決っているのかな?』
そう、思うほど半助の説教は子供のころに聞いた父親と似ていた。笑いを堪えるのに苦労する。
利吉が怒られているうちにと、きり丸はこそこそ逃げ出そうとしていたが、もちろん、そんな事は出来るはずがなく、すぐに半助の小脇に抱えられる。
「きり丸!前にも言ったろ!欄干に乗ったらダメって!!」
半助は叱りながらきり丸のおしりを遠慮なく叩いた。
「ごめんなさ~い、もうしません」
前回、欄干を歩いた時も言ったせりふを泣きながら言う。危ない事をしたときのお仕置きはいつもとっても痛いのだ。泣かないで我慢なんてとてもじゃないけど出来ない。
「落ちたら死んじゃうんだぞ!!」
利吉と違って、半助のお説教を冷静に聴く余裕なんてないきり丸。聞こえるのは自分の泣き声ばかりだ。いや、その泣き声だって聞いていない。おしりが痛くってそれどころじゃない。
「ごめんなさい!」
それでも、とりあえずは謝るきり丸だった。一回だって少なくなるように。
きり丸のおしりを叩き終わって、半助は反省しているように見える二人を引き連れて帰っていった。
「まったく、二人とも!」
まだ、ぶつぶつと怒っている半助の後ろからきり丸と利吉はとぼとぼと歩いていた。せっかく、買ってもらったカルメラ焼きもまだ食べていない。
まだ、べそっかきのきり丸。利吉は手できり丸の頬を拭ってやった。そしたら、きり丸はべそっかきのまま、ニッと笑った。
『かわいい』
拭って、その手でもって髪を撫でてやった。
「怒られちゃったね」
って、小声で言ったらきり丸は、前を行く半助の背中を指差して、
「鬼ジジィ」
小さな声で言った。利吉はたまらず吹き出してしまった。自分だって小さい頃、父親に叱られて、同じように小さな声で反抗した覚えがある。あの時の山田伝蔵と同じ表情で半助は振り返る。
「こら!なんて言った?」
その表情は、怒ったふりの顔。少し笑っているようにも見える顔。父親だって自分を愛してくれていたからこそ、叱ったのだろう。自分の将来に責任を持っていたからこそ、殴る時だってあったのだろう。いま、利吉はきり丸をかわいいと思うが将来に責任があるかと言われればそれはない。もちろん、きり丸が自分を頼ってきたなら別の話だけど。
「鬼ジジィだから鬼ジジィって言ったんだよ!」
きり丸はそう言って半助を追い越して走っていった。それから、ずいぶん前まで走って
「ここまでおいでぇ」
なんて言っている。そんなきり丸を笑いながら追いかけていく半助の背中を見ながら
『やっぱり、私は得をしているのかなぁ』
なんて思ってしまう利吉だった。半助の言うとおり、自分は甘やかしたいだけ、甘やかしてもいいのだから。今日だって、狭い長屋に帰れば、「カルメラ食べる!」って言い出すに決っているきり丸。その事に、ご飯前だからダメと言うに決っている半助。二人の間に入って、きり丸の肩を持つに決っている利吉。そして、またきっと、
「利吉さん、大好き」
って、言うだろう。そして、半助はまたにらむだろう。でも、利吉は知っている。夜になればきり丸は
「先生とネンネする」
って、半べそになるのを。自分ではなく半助と寝たがるのを。
『一概に得とは言えないかな・・・』






あとがきです。
昨日も見てくれて、今日も見てくれている方、どうもありがとうございます。
そして、今日から見てくれている方、お暇なら昨日の分もよろしくです。
利吉さんときりちゃんがなんだか仲よし兄弟みたいになりました。
いつか、きりちゃんに秘境に遊びに行ってほしいです。
でも、先生が許してくれませんね。

話は全然、ちがいますが。
我が家の冷蔵庫がいやな音を立て始めました・・・
壊れるのか?壊れるのか?
毎日、不安です。この前、布団乾燥機が天に召されたというのに・・・
おかげで毎日、布団が冷たいです・・・
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Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
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