かわいいきりちゃん。
忍たまのきりちゃんメインのブログです。
三治郎がやってきた −3−
「なに膨れてるんだよ?」
夕飯が終わっても膨れっ面のきり丸に半助は苦笑いで声をかける。半助が三治郎を帰してしまったのが面白くないのだ。
「三治郎に泊まって欲しかったのに・・・」
上目使いで半助を見る。その目は恨みがましいものだった。きり丸としてはこれから三治郎と双六をするつもりだったのだ。利吉のお土産の「ヨコハマ双六」はきり丸のお気に入りで、友達が来るたびに誘うのだ。友達ばかりではない。利吉が来ても、大木が来ても誘うのだ。
「何言ってんだよ。三治郎のお家の人が心配するだろ」
半助はお得意の「めっ」の表情を見せる。教師としてあのまま三治郎を泊めるわけにはいかない。三治郎が帰らなければ家族を心配させる。もし、きり丸が突然、半助になにも言わずに帰らないとなると半助は家に座ってはいられないだろう。そんな思いを三治郎の家族にさせるわけにはいかないのだ。
「もっと三治郎と遊びたかったな」
大人の都合なんて関係ないきり丸は口を尖らせた。拗ね顔がとてもかわいい。半助は笑いながらきり丸を一なでした。
「一人で遊べばいいでしょ?いつもそうしてるだろ?」
そう、確かに夜はいつだって一人で遊んでいる。夜だけではない。お昼だって半助が相手をしていないときは一人で遊んでいる。双六はできないが一人で本を読んだり、落書きしたり。もちろん、すぐに飽きてしまって半助にまとわりついているのだけど。
「いつもは出来るけど、今日は出来ない!先生が遊んでよ」
だから、本人が言っている「いつもは出来る」は嘘っぱち。出来てはいないのだ。
「あれ?私は意地悪なんじゃなかったの?」
半助はそれこそ意地悪な顔つきになって聞いてみる。お昼に散々、意地悪だ意地悪だと言われたのだ。少しくらいはきり丸で遊んでもバチはあたらないだろう。
「・・・・先生、聞いてたの?」
聞かれていたと知って、バツの悪いきり丸。
「聞いてたんじゃなくて、聞こえたの」
「本気で言ったんじゃないよ?言葉のアイって奴よ?」
きり丸はニヤニヤと笑いながら言う。笑って誤魔化してしまう気なのだ。そして、半助が誤魔化される気配をちゃんと感じとっている。
「それを言うなら言葉のアヤって言うんだよ」
いい間違いを訂正しながらも
『言葉のアイ・・・愛って言うのも悪くないなぁ』
なんてきり丸のいい間違えの絶妙さに感心する。
「双六しよ?ね?」
上目使いのかわいさに負けそうになるが負けれないのだ。
「遊んでばっかりいないでたまには勉強もしなさい。見てやるから」
ここのとこお昼は暑くてとても勉強どころではない。だから、ずっとさぼり気味なのだ。すさまじい暑さのためにきり丸が日中にできる事と言えば「タライプール」につかるか、比較的涼しい土間で落書きするくらいが関の山である。
しかし、自分の行いが見えていない子供で、きり丸は頬を膨らませた。
「先生、やっぱり意地悪じゃん!!」




あとがきです。
三日も続けてしまいましたが、今日でおわりでーす。
いままで読んでくださった方、ありがとうございます。
今から、さかのぼってやろーじゃないかって方、よろしくお願いします。

前に、ちょっと書きましたが月曜から入院します。
体調が悪いわけではないので退院したら再開したいと思いますのでよろしくお願いします。
三治郎がやってきた −2−
「家出?なんで?叱られたの?」
かつて兵太夫がその理由で家出してきた。しんべエだってその理由だ。きり丸自身、その理由で家出したことがある。
が、三治郎は違うようだった。無言で首を振っている。
「僕は叱られる勇気が無いから家出してきた卑怯者なんだ・・・」
「悪い事、したのか?」
ちょっと驚いた。真面目な三治郎がいたずらをしたのだろうか?それとも、もっと悪い事?
「うん・・・」
うつむいて答える。きり丸はますます驚いた。三治郎のうなだれようを見ると、ちょっとやそっとのいたずらではないらしい。もしかすると、お店のものを勝手にもって帰ってきちゃったとか?前に半助がそんなのは絶対にしちゃいけないって言っていた。とっても悪い事で、謝っても泥棒として牢屋に入れられちゃうんだって。
それとも、よそのお家に火をつけたとか?これだってとっても悪い事だ。以前に近所であったのだ。犯人は馬に乗せられてみんなから石をぶつけられたりして引き回された挙句に貼り付けになったらしいと聞いている。
きり丸はドキドキしながら次の質問をした。
「ど・・・どんな事、したんだよ?」
「・・・・・・」
黙ってしまった三治郎にきり丸はいよいよ怖くなってしまった。きり丸は真面目で優しい三治郎が大好きだ。だから三治郎が牢屋に入れられたり、貼り付けになったりするのは嫌だった。
「なぁ・・・言ってくれないと分からないだろ?」
「・・・・僕ね」
「うん」
「僕・・・」
三治郎は本当に言いにくそうだった。きり丸にも緊張が走る。
「おう!」
「父さんの山伏の衣装を引っ掛けて破いちゃったんだ・・・」
「えぇ?」
あまりに他愛もない事にきり丸は変な声を上げてしまった。きり丸が半助のものを壊してしまうなんて日常茶飯事だ。それのたびに家出していては、家に帰ってこれる日がなくなってしまうくらいだ。
「わざとじゃないよ!いたずらでもないよ!」
きり丸の上げた声が真面目な三治郎には非難の声に聞こえた。それくらい自分は悪い子だと思っているのだ。
「・・・じゃあ、なんで引っ掛けたのさ?」
今まで緊張して聞いていた分、がっくりと力が抜ける。きり丸だけではない。奥の部屋で聞いていた半助もがっくり力が抜けた。
『三治郎・・・』
二人を脱力させているなんて知る舒も無い三治郎はまだ、真面目に話している。
「父さんの衣装を陰干ししておこうと思って・・・それで・・・」
「ふ〜ん、だったら父ちゃんにごめんねって言えばいいじゃん」
今ではすっかり寝転んで頬杖でもつきたい気分になっているきり丸。しかしながら、三治郎の性格を考慮してそれはしなかった。
「言えないよ・・・父さん、とっても大事にしている衣装だもの」
三治郎の目には涙がたまっている。面倒くさい気持ちを抑えながらもきり丸は頷いた。
「そうだなぁ。言いにくいときもあるよなぁ」
なんて適当に三治郎にあわせる。
「きり丸、きり丸はどうしてるの?」
「どうしているって言われても、俺、父ちゃんいないし」
「でも、一回くらいは父さんのものを壊した事、あるでしょ?」
「さぁ・・・父ちゃんが死んだとき、小さかったし・・・」
別に面倒くさくなっての返事ではない。本当にわからないのだ。きり丸が父親と暮らしていたのはずいぶんと小さい頃だ。覚えていないのだ。
「ごめんね、きり丸・・・」
三治郎は鼻水をすすって言った。
「気にすんなよ!俺には先生、いるしさ!」
乱暴に背中を叩く。こうして、三治郎を慰めたのだ。
それを聞いて三治郎は、ぱっと思いついた顔になり、
「ねぇ、じゃあさ。土井先生のものを壊したときはなんていってるの?」
「え・・・。ごめんなさいかなぁ・・・」
『嘘つき・・・』
ふすまの向こうで聞いていた半助は思わず突っ込んだ。きり丸は半助のものを壊したときも、勝手に売り払ったときも、いつだって素直に謝った事なんて無い。
「俺、知らないよ」
と、最初は嘘をつく。それから、追い詰められて認めるのだ。それでも、時々はヘソをまげて謝れず、中庭に放り出されたり、押し入れに入れられたりして謝っているのだ。
「きり丸、えらいね」
真面目な三治郎は全く、きり丸を疑わず尊敬の目を向ける。そんな目を向けられる事なんてめったにないきり丸は力強く頷いて
「三治郎もさ、ごめんなさいって言ったほうがいいよ。黙っていてもさ、引っ掛けたのは治らないんだしさ、結局はばれちゃうだろ?」
なんて、立派な事を言っている。ふすまの向こうの半助は笑いを堪えた。
「黙ってても落書きは消えないし、いずればれちゃうんだぞ!」
と、おしりを叩かれたのはほんの二日前だ。それなのに、きり丸ときたらえらそうに。
『人の事なら言えるのにねぇ』
半助は笑いながらそう思う。
「きり丸・・・。僕、勇気がない・・・」
三治郎はすっかりうつむいてしまった。
「勇気がなくてもばれちゃうんだよ。俺だって本当はいつだってばれちゃうんだぞ!」
うつむいた三治郎を気遣ってつい、本当の事を言ってしまった。
「ばれたらどうなるの?」
「おしり、叩かれるんだよ・・・」
「え!?本当!?」
「あっ!でも、土井先生は意地悪だからさ!きっと、三治郎の父ちゃんは謝ったら許してくれるよ」
半助だって素直に謝ればおしりを叩いたりはしない。いつだってきり丸が嘘をついたり、逆ギレしたりするのが問題なのだ。
『誰が意地悪だよ』
半助が聞いていることなんて全く考えていない二人はさらに話を続ける。
「土井先生、意地悪じゃないと思うけど・・・」
「学校ではね、でも、家では意地悪なんだよ!」
それからきり丸は半助がいかに意地悪かを話し出した。
「あのね、先生はね、ちょっとでも帰りが遅くなるとさ、こらって怖い顔でにらんむんだぞ!裸足で土間に下りても怒るしさ、宿題だって手伝ってくれないしさ。おやつも少ししかくれないし、ジュースもくれないし、イタズラしたらすぐにおしり叩くし、押し入れに入れるし、中庭に放り出すしさ!!意地悪なんだぞ!」
「ふ・・・ふ〜ん・・・」
「この前だってさ!先生の本に落書きしたらさ、おしり叩かれたんだぞ!ちょっとしか書いてないのに!」
「落書き・・・」
「その前はさ、干してあった布団に手形をつけたら押し入れに入れられたんだぞ!」
「すごい事してるね、きり丸・・・」
三治郎は半助が意地悪かどうかはわからなかったが、学校でもイタズラ好きのきり丸が家ではもっとイタズラ坊主だという事はよく分かった。
そして、こんなすごいいたずらをしてもその程度のバツしか受けなかったのだから自分だって素直に謝ればなんとかなるんじゃないかと思い始めた。
「きり丸、僕、帰るよ。帰って父さんに謝る」
きり丸には三治郎が突然帰ると言った意図が分からない。
「なんで?まだ、話の途中だぞ?」
「うん。でも、早く帰らないと遅くなるから」
家出してきたのに遅くなるのを心配するなんて。やっぱり生真面目な三治郎。
「え〜?泊まってけば?」
一人っ子のきり丸は休み中にクラスメイトが来てくれるのが嬉しい。だから、つい引き止めてしまうのだ。
「でもぉ・・・」
「いいじゃん!俺の布団、半分コしてやるからさ!」
きり丸の強引さに負けそうになる三治郎を思って半助はここで口を挟むことにした。
「きり丸、だめだよ。三治郎が困ってるだろ?」
突然、ふすまが開いたので二人は振り返った。半助は、声を出さずにきり丸に「めっ」としてから、三治郎に向かって
「気をつけて帰るんだぞ」
と、声をかける。こうして三治郎は帰っていった。




あとがきです。
今日はやけに長くなってしまいました。
すみません。
明日で終わるのでよろしくお願いします。

三治郎がやってきた −1−
きり丸はのんきに土間の地面に落書きをして遊んでいた。本当なら中庭でしたいのだけど
「暑いから日中は外にでないんだよ」
と、半助に言い渡されている。確かに、こんなに暑い日差しの下で落書きなんてしたら倒れてしまう。熱中症や日射病はとても怖いのだ。
「らんらんらん、乱太郎!かぁけた!!」
鼻歌交じりに書いているのは友達の乱太郎の顔。めがねをかけている言う特徴のおかげで書きやすいのだ。もっとも書きやすい似顔絵はしんべエだけど。書きやすいので、もう二回も書いたのだ。だから今度は乱太郎を書いていたのだ。
「上手に描けたよ!」
振り返って部屋の中で本を読んでいる半助を手招きした。呼ばれた半助は読みかけの本を置いて近づいてきた。四つんばいになって。上がりのところまで来ると、そのまま腰をかける。
「上手じゃないか!」
地面に書かれた乱太郎を見て誉めてやる。きり丸はすかさず、半助の両足の間に自分の体を入れてもたれかかった。
「へへへ!誰だか分かる?」
さっき大声でオリジナルソングを歌っていたのに聞くのがかわいい。
「乱太郎だな!」
オリジナルソングのおかげで始めからわかっていたのだが、絵を見てわかったように答えた。きり丸は嬉しそうに
「ぴんぽーん!正解!!」
と、万歳してみせる。
「じゃあ、今度は団蔵を書いてみて」
半助のリクエストにきり丸はしかめっ面だ。だって、団蔵は難しい。乱太郎のようにめがねをかけているわけでもないし、しんべエのように下膨れでもない。これといった特徴が無いのだ。
「団蔵は難しいよぉ。山田先生じゃだめ?」
「山田先生はかけるのかい?」
「うん!うんと長い顔にしておひげを書けばいいんだよ!」
自信たっぷりのきり丸。
『山田先生の顔もえらく簡素化だな・・・』
他にも特徴がありそうなものなのに、これだけしか言われない先輩教師の顔を思い出す。思い出せば確かにきり丸の言うとおり。特徴は長い顔とひげかもしれない。
「山田先生はあごにもおひげがあるぞ」
「知ってらい!」
そのとき、暖簾が揺れた。風のないこんな日に暖簾が揺れるのはお客様だ。
「あの・・・こんにちは・・・」
お客様はクラスメートの三治郎。
きり丸は慌てて半助から離れる。こんな風に甘えているのを見られるのは恥ずかしいのだ。
「三治郎!どうしたんだ?」
慌てて離れるきり丸に笑いを堪えながら三治郎を迎え入れる半助。
「あの・・・きり丸に相談があって・・・」
三治郎はなにやら言いにくいことがあるらしいのだが、きり丸はお構い無しに
「相談ってなぁに?」
と、直球で聞いてきた。
「え・・・えっとぉ・・・」
チラッと半助を見る。どうやら半助には聞かれたくない相談らしい。黙って頷くと半助は奥の部屋に引っ込んで、暑いのに戸まで閉めてくれた。これで二人っきり。
「すわれよ!」
きり丸は上がりを指差して自分はお茶を入れた。やかんに作りおきしてある麦茶。
「うん・・・」
言われるままに座った。お茶を渡して自分も上がりに座り込んだ。
「部屋で話すと先生に聞こえるからさ。うちは狭いからさ!」
この声だって本当は充分に半助に聞こえている。
「うん・・・」
三治郎はさっきから元気が無い。相談があるって言うくらいだから悩みがあるのだろう。
「なぁ、どうしたんだ?」
足をふらふらさせながらきり丸は顔を覗き込んだ。
「あのね、僕、家出してきたんだ・・・」




あとがきです。
今回は三治郎がやってきました。
書き出しのあたりですが、まだそんなに暑くないよなぁと思いつつ書いてしまいました。
「おろか者め・・・」
と、ゆるしてください
自分の事ですみません
こんにちは。
ゆっちです。
この頃、更新がなかなか出来なくってすみません。
実はわたくし、この6月から本格的に不妊治療を開始しました。
これが意外と肉体的にも精神的にもつらくて凹み気味です。
そして、来週からは大阪の病院に入院が決まりました。
病気で入院されている方を思うと不妊治療くらいと自分を励ましたり、
出来婚なんて言葉があるくらい妊娠なんて普通のことなのにと落ち込んだりの毎日です。

そんなわけで、これからもスローペースになると思いますが
頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
                                     ゆっち
許してあげる
「まったくもう・・・」
バイトも終わったお昼過ぎ、きり丸が狭い長屋に戻ってみると半助はまだ布団の中にいた。そんなだらしない姿を見てため息が出る。
ついでに文句も出る。
「先生、もうお昼、まわってるよ!ごはんは?」
今日のお昼は半助が作る当番。きっと何もしてはいないだろうと思って台所を見る。やっぱり、何もしていない。
「だらしない大人なんだから・・・」
きり丸はぶつぶつ言いながら部屋に入ってきた。普段の半助ならきり丸が帰ってくる時間にはきちんと食事の用意をして待っていてくれる。なのに今日はどうしたことか。
「飲みすぎなんだよ!大人の癖に」
そう、昨日、お酒が過ぎて本日は二日酔いなのだ。
「内職も全然、してないし!!」
部屋に入ってきたきり丸は内職の段ボールが朝のままになっているのを見てますます不機嫌になった。
「俺の生活がかかってるんだからね」
積み上げられている段ボールをおろしながらぽんぽん文句を言ってくる。そんな文句を半助は布団の中でじっと聞いていた。反論したいのはやまやまだか、きり丸の言う通りなので何も言い返せない。
「ホントに無駄なんだから」
勢いのある文句に合わせて勢いよく段ボールが床に投げられる。
ドシン!!
そんな音が今日の半助には地獄の責めなのだ。
『ううう・・・』
「お酒の飲みすぎは酒代の無駄!!」
『そうだよなぁ・・・』
「二日酔いは時間の無駄!!!」

きり丸はぴしぴしと言いながら半助の出来なかった分の内職に取り掛かる。
そんな怒った横顔を布団の中から盗み見ながらふと思う。
『きり丸、お昼、食べてないよなぁ』
きり丸はバイトから帰ってまだ何も食べていない。お昼は自分が作る約束だったので台所には何もつまむものもなかったはずだ。自分は二日酔いで食べられないが朝からバイトで走り回っていたきり丸はお腹が空いているだろう。
それなのに床の上に正座をしコツコツと造花を作っている。熱心に作っているらしく先ほどまで言っていた文句も言わなくなった。
もしかしてお腹が空いていないのかな?
バイト先で何か食べさせてもらったとか?よくあることだしな・・
『聞いてみようか?』
半助は起き上がると待ってましたとばかりに痛む頭を抱えながらきり丸の方を向いた。
「なぁ、きり丸」
自分でも驚くほどによわよわしい声。
「なに?」
あからさまに不機嫌な声で返事が返ってきた。
この機嫌の悪さから言って何も食べていないと思われる。では、なぜ昼御飯を食べないのだろうか?調理はしていないとはいえ、材料くらいはあるのに。
「ご飯は?」
あまり多くを語れない事が誤解を呼んだようだ。きり丸はツリ目をますます吊り上げて半助をにらみつけた。
「は?なに?内職もしていない癖にお昼を俺に作れって言うの?」
その声は二日酔いの頭の芯にビンッと響いた。クラクラしながらも言い訳をする。
「ち・・・違うよ・・・」
しどろもどろの半助をにらみつけたままのきり丸は怖い顔のまま言う。
「じゃあ、なに?俺は忙しいんだけど?」
「スミマセン・・・あの、お前はお昼を食べないのかってこと・・・」

よわよわしい半助はそう言うとまた布団に倒れこんだ。これ以上、起き上がっているとどうにかなりそうだ。
再び布団に倒れこむ半助を見ながらきり丸はフンッと鼻を鳴らした。
「今日はね午前中にバイトしてその間に内職も終わってる予定だったの!だからその予定が終わっていない以上、お昼なんてのんきに食べている場合じゃないの!お!わ!か!り!?」
なるほど。予定の上りがない以上、お昼を優先なんて事はきり丸にとって贅沢極まりないことらしい。
この言い分、冷静に聞けばきり丸は最初から半助をあてにしていたわけなので、半助がここまで小さくなる必要もないのだ。だけど、なんだかとってもすまない気持ちになった。
「ごめん・・・明日はちゃんとするから・・・」
布団の中で弱っている半助をじっと見るきり丸。その顔は不機嫌そうだった。次に口を開けば何を言われるのかと構えていると、思いもよらない事を言われた。
「いいよ。仕方無いもん」
「え?怒ってないのか?」

明らかに怒った声なのに。
「怒ってるけど許してあげる」
「なんで?」
「俺、先生の事、好きだから」



これを聞いた半助は次の日から倍速で内職をこなした。






あとがきです。
今回は怒りのきりちゃんです。
鬼のように怒ってます。
でも、最後は許してくれました。
先生、二日酔いって・・・ねぇ・・・


プロフィール

Author:となりのゆっち
忍たまのきりちゃん好きなゆっちが細々としているブログです。
昭和生まれの専業主婦(子供なし)なのですが、こんな私でよければひとつよろしく。
「友達になってやるか」って心やさしい方募集中です。



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