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| 近況報告です |
こんにちは〜。 昨日はなんだかわかりにくい話を書いてしまいました。 すみません。 最近の私はですね。
アートにはまってます!!
すみません。嘘です。
ちょっと見栄はりました。
本当はですね、はまりきれてないのです。 最近、好きだった空手もずっとお休みでジメジメしている私に夫が 「バンブー アートマスター」なるものを買ってきてくれました。
使い方がわからん!!!!
うちの夫のプレゼントはいつでもちょっとなにかダメなのです。 私は絵は見るのが大好きですが、描けませんぜ? それなのに夫は 「ブログ、ネタがないんやろ?絵、乗せたらええんちゃう?」 などと笑顔で言いました。 夫よ・・・
でも、せっかくだから書いてみようと思いましたが30分で挫折しました。 ペンタブレットって難しいですね。 絵描き歌に合わせてドラえもんを書きましたが紙で書くより難しい・・・ そして、色塗りもめっちゃはみ出しますが・・・・ 世の中の人はなんであんなのをPCで描けるのか? いったい、どの用にして描いていらっしゃるのか?
もし、これを読んだ方で
「私、パソコンで絵、描けるよっ」
て、方がいらっしゃったら教えてください。 ちなみにソフトは水彩とかフォトショップエレメントとかいうのがあります。 このままでは何もできませんわ。 だって、絵をかく手順すらわからないのです・・・
そんなわけで、今日も一人ドラえもんを描いてみようとおもっています・・・
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| 愛情と情愛 |
「なぁ、団蔵、愛情ってなんだろう?」 きり丸は団蔵に聞いてみた。団蔵はいつもの表情で 「愛をもって情け深く接すること」 と、言った。その言い方は国語の時間のようで、意味はわかるがあまり意味がないように感じる言い方だった。 団蔵は怒っているのだろうか? 団蔵は時々、こんな風にぶっきらぼうになる。だけど、それは怒っているのではなく悲しい気持ちを隠していたり、照れていたりする時。団蔵はめったに怒らない。 「じゃあ、情愛は?」 「情け深さを持ち、相手を愛すること」 夏休みになると毎年、担任の土井半助の家にお世話になる。 「お世話になる」 「預かる」 2人の関係はそんな言葉で言い表せる。その表現に一抹の寂しさを感じて育ってきた。その寂しさを知っている団蔵が言った。 「もう先生のところは行くな。これからは俺の家で暮らしたらいい。加藤村がお前の家だ」 団蔵の言葉が嬉しかった。 団蔵の方が半助より好きだとかそういうわけではない。きり丸は「自分の家」が欲しかった。居場所はたくさんある。学園の寮もそうだし、半助の長屋もそう。友達の家だっていつでも泊めてもらえる。だけど、それは「居場所」で「自分の家」ではない。 家に帰る。この言葉にずっとあこがれていた。その家がたとえ隙間風吹くボロヤでもいい。傾いていて家の中では立って歩けないような家でも構わない。自分の家なら。 自分の持ち物を置いて、自分の気に入った絵を壁に張る。したことのない万年床にもあこがれる。誰に気を使わなくてもいい暮らし。団蔵と二人だけの気ままな暮らし。 きり丸は土井半助に気を使っていた。半助はいつでも優しかったし何でも自由にさせてくれた。小さい頃はそれでよかった。それで楽しかった。 だけど、だんだん成長するにつれ自分を意識する。自分がいるから半助も自由な暮らしができない。自分がいるから食費も余計にかかる。そして何より気になるのが自分がいるから半助は結婚できない。 団蔵の申し出にためらいながら「ありがとう、俺、荷物は少ないから」と言った。 荷物をまとめると本当に少なかった。余計なものは買わないし、すぐに売ってしまうから当然だが自分でも驚くほど少なかったのだ。 迎えにきた団蔵も驚いた。 「これだけ?処分したのか?」 「ううん、これだけ」 きり丸の引っ越しに半助は反対しなかった。近年、自分に気を使いだしたきり丸を見ていて辛い時もあったからだ。だけど、これだけは伝えたい。 「きり丸、私はお前に愛情を持っている。今までも、これからも。ずっと」 バイトから戻ると飛び込んできた玄関で言われる。ここで半助に飛びついていたころにはこんな日が来るとは思ってもみなかった。 「うん」 半助の優しいながらも真剣な表情に気圧される。 「許してくれ。お前に情愛を与えてやれなかったことを」 今度は返事が出来なかった。「愛情」。「情愛」。人が生きていくにはどちらもいる。本能的に誰もが知っている。だから、その両方を与えてくれる人を選ぶのだ。 きり丸も半助を好きだった。「愛情」は持っていた。だけど、「情愛」は持てなかった。大きくなってわかった。思いやる事は出来ても、愛する事はできなかったのだ。 団蔵はきり丸の手を引いて歩く。きり丸はその手を離さない。 「今日からお前は加藤村のきり丸だ。俺の持っているすべてが俺とおまえのものだ」 きり丸にとって団蔵が「愛情」と「情愛」を与えてくれる人なのだ。そして、きり丸も団蔵に「愛情」を持っているし、「情愛」を捧げる事ができるだろう。 きり丸は半助から最後に渡された小さな板をぎゅっと胸に抱いた。それには「きり丸」と書いてある。これから移り住む家にかける表札だ。半助と暮らしていた長屋には「土井半助」の表札だけが掛かっていた。自分の表札にあこがれはしたが、自分の家ではない場所にはかけたくない。そんな思いがずっとあった。だけど、今日からはこの表札をかけるのだ。団蔵と二人で住む家に。 「加藤村のきり丸・・・」 きり丸は今日から「家に帰れる」のだ。
あとがきです。 お久しぶりです。 今回のネタはなんだかどうなん?って感じですね。 これはきりちゃんが5,6年生くらいになったときのお話です。 15,6になったらきっといろいろ考えてしまうと思うのです。 そして、今まで「大人」と感じていた先生に対しても気を使ったり。 きりちゃんの目線がどんどん先生に近付くと二人の関係はうまくいかないようになると思うのです。 そんな感じのお話でした。
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| こんにちは |
こんにちは。 おひさしぶりです。 わたくし、ちょっと緊急入院してまして。 でも、まぁ、とりあえずは帰ってきました。 来週にはまた病院に行かなければなりませんが。
最近、肩がこってつらいです。 寝ころんでマンガばっかり読んでいるせいでしょうか? 入院中も暇だったので一日中、読んでました。 おかげで「みかん絵日記」読破です。 みかんちゃんはかわいいです。 いろいろ騒ぎを起こすのですがそこがまたよろしい。 町並みが超おしゃれな感じもよろしいです。 こんな街に住みたいわって思ってしまいます。
今は「スラムダンク」です。40刊くらいあって先は長いようです。 ちなみに木暮先輩が好きです。 でも、木暮先輩は影が薄いのできっと20巻くらいで出てこなくなるだろうと予想しています。 今、読んでいるあたりでもレギュラーの地位がやばいです。 宮城くんが出てきてちょっとヤバいと思いました。 このキャラクターは明らかに木暮先輩より目立つ感じだですね。 なんだよ、三井って。 もうバスケ部に戻ってくんなぁって思いますがきっと戻ってくる。 そして人のいい木暮先輩だから歓迎しちゃうと思います・・・・
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| いいつけ |
団蔵はノンキにお風呂から帰ってきて、またノンキに布団に転がった。今日の倉庫の片付けはきつかった。なんだって、実技の授業で倉庫の片付けなんてしなくちゃならないんだろ?そう思うと、すぐに小松田の顔が浮かんでくる。へっぽこ事務員小松田さん。本当にへっぽこだけど憎めなくて団蔵だって大好きなのだ。 「団蔵!団蔵!」 きり丸の声がする。団蔵は起き上がって廊下の方を見た。 「感がわるいなぁ。こっちだよ!」 自分だって感が悪いくせに、きり丸は笑いながらそおと押入れを開ける。その格好は女の子で、知らないものが見れば女の子にしか見えないくらい女の子だ。 「こんな所で何してるの?」 団蔵はきり丸が押入れから出やすいように手をつかんだ。手を握り返したきり丸だが 「ダメなんだ。かくまって欲しいんだ」 真剣な顔つきである。一体、何がどうなれば、女の子の格好で押入れの中に隠れないといけないのか?団蔵にはさっぱりわからない。 「悪い奴に追われているんだ」 「はぁ?悪い奴って?」 思わず声をあげてしまった団蔵の口をきり丸は自分の手でふたをする。なかなかの勢いであったので、なかなかに痛い。他の者にやられればそんなに気の長くない団蔵だからけんかになっていたかも知れない。相手がきり丸だと腹が立つ前に、口に手をつけられてドキドキしてしまった。 「見付かったらひどい目に合わされるんだ!かくまって!お願い団蔵!」 「うん、うん。いいよ」 大して理由も聞かないのに「いいよ」なんて言ってしまう。これが「ほれた弱み」と言うものか? 「ふぅ〜よかった。一安心だぜ!」 きり丸は押入れの壁にもたれかかった。なにせ、行儀が悪いのだ。足も広げて座るから中身が見える。しかも、押入れの上の段に登っているものだから団蔵の目線にしっかりと。女の子の格好でそんな座り方をされると団蔵は目のやり場に困った。しかし、注意するのも変だしと思ってさりげなく足を閉じさせるが、すぐにまた広げる。 「きり丸、女の子の格好でそんな座り方しないでよ」 たまりかねて言ってみる。きり丸はニヤッと笑うと 「団蔵、エッチぃ」 なんて言っている。『ダメだ、こりゃ・・・』なんていまどき誰も知らない台詞を心で呟いた。 きり丸の着物の中身は見ないようにして、話題を戻した。 「一体、誰に追われてるの?」 「あのさ、俺さ、今日の倉庫の片付けサボったじゃん」 きり丸はすまなそうに「へへへ」と笑いながら言った。 「乱太郎としんべエ怒ってたぞ」 「そうなんだ、二人が怒っちゃってさぁ。でも、なにも言いつけることないだろう?」 「つまりさ、きり丸の言っている悪いやつってのは土井先生?女の子の格好しているのは片付けサボってバイトに行っていたんだ」 団蔵は苦笑いで言った。きり丸は団蔵が見てきたように正解をするのを聞いて手を叩いて喜んだ。 「正解!さすがは団蔵!」 「誉めてくれるのはうれしいけど、こんなのは誰でも分かると思うなぁ」 きり丸はまた「へへへ」と笑った。団蔵にその照れたようななんとも言えない笑顔が可愛かった。 「乱太郎達さぁ、よりにもよって土井先生に言うんだぜ。実技の授業なんだから山田先生に言えばいいのに」 それは、乱太郎達の気遣いだったのか、それとも、きり丸を厳しく叱るのは半助の方が適任とおもったのかは団蔵には分かりかねるところだった。 「どうして、言いつけられたってわかったの?」 「さっき、二人が職員室から出てきたから。山田先生は今日は見張り番の当番だから土井先生しかいないだろ?名推理だろ?」 「どうかなぁ、それだけで言いつけに言ったとは限らないじゃない。僕だったらきり丸のこと言いつけたりしない」 もし、本当に乱太郎達が言いつけた場合、自分は味方だとしっかりきり丸に言っておきたい団蔵なのだった。ルームメイトでなんでも一緒に行動する二人と違って、自分を売り込んでおく必要があると常々感じている。 きり丸は、足を広げた格好のまま頭の上で腕を組む。 「団蔵は優しいからさ。でも、あいつ等、ちょっとの事でおこるんだもん」 ここは乱太郎、しんべエを庇い立てるべきなんだけど、思わず黙ってしまった。 「ね、お腹空いたろ?ほら」 団蔵はおせんべえの袋をくれた。きり丸は夕飯も食べてないし、お風呂もまだだったので大喜び。 「食べていいのか?」 「いいよ!みんなあげるよ!」 『虎若のなんだけどね・・・・』 心で虎若にわびながら、おせんべえの袋を開けてやった。 「ねぇ、きり丸、今夜はここで寝る気?」 「ダメ?」 きり丸は団蔵に邪魔にされていると思ったようだった。それが団蔵にもわかって慌てて首をふる。 「そ、そんな事ないよ!泊まってけばいいよ!!」 「そう言うわけにはいかないだろう」 廊下の方から声がする。その声は聞きなれた声で、今は聞きたくない声だった。 「げ!先生!!」 見回りの半助であった。団蔵は慌てて押入れを占めようとしたが半助のスピードに敵うわけもなく、押入れの戸はしっかりと固定されてしまった。 「きり丸、出ておいで」 きり丸が押入れでグズグズと時間稼ぎをしていると、廊下をどたどたと走る音が聞こえてきた。乱太郎たちである。 「先生〜きりちゃん、見付かりましたか?」 どうやら、二人もきり丸を探していたようだ。 『二人ともそんなに俺が怒られればいいって思ってんのか?』 きり丸は二人の薄情さに傷つきながら、団蔵の後ろに隠れる。 「団蔵、助けて」 こんなに明らかにきり丸が悪い状況できり丸を庇うのは団蔵だって苦しいのだけど、きり丸に頼まれて嫌とはいえない団蔵なのだ。 「きりちゃん!どこに行っていたの?」 乱太郎は明らかに怒っていた。しんべエだって怒っているらしい。 どこに行っていたかなんて聞かれたってバイトに決まっているのに。半助の前で聞くなんて意地悪な乱太郎。 「・・・・・」 答えに困って黙っていると団蔵が庇ってくれる。 「先生、許してください!きり丸は反省しています」 「反省しているようには見えないけど・・・」 団蔵だってそう思うがそうしか言いようがないのだ。自分の背中の後ろでふて腐れているきり丸は誰がどう見たって反省なんてしていないように見える。実際にきり丸は反省していない。反省どころか、乱太郎たちが言いつけた事に拗ねたい気持ちでいっぱいだった。 「反省なんてしないもん。乱太郎としんべエの馬鹿・・・」 ものすごく勢いのないきり丸。自分が悪いのは充分に分かっている。それでも、二人が半助に言いつけたことがなんだかとっても悲しかったのだ。こんな事を言えば半助に怒られるのも分かっているし、乱太郎たちとケンカになるのも分かっている。でも、それでも。団蔵の背中に隠れている情けない状況なんだけど、それでも。 「ひどいよ!きり丸!どうして馬鹿なんて言うの?」 やっぱり、しんべエが言い返す。きり丸は「お前らが先生に言いつけたからだろ!」と言いたいところだが、それはいくらなんでも言いにくい。 「お前ら、ちょっと友達甲斐ないぞ!言いつけたりして!!」 きり丸の代わりに団蔵が二人に向かって糾弾した。が、二人はキョトンとしている。 「言いつける?何のこと?」 「きり丸が授業をサボって、バイトに行った事を言いつけたじゃないか!」 「ほぅ。授業もサボってたのか!?」 団蔵の言葉を聞いて今まで黙っていた半助が身を乗り出す。乱太郎としんべエは、苦い顔を作っていた。 「団蔵の馬鹿!」 「え?え?」 団蔵は事態が飲み込めない。もちろん、きり丸も飲み込めない。二人は顔を見合わせたり、半助を見たり、欄太郎を見たり、しんべエを見たり・・・ 「団蔵、お前にしては不用意だったなぁ」 半助はニヤッと笑った。乱太郎が観念したように事の次第を話す。 「私たちはね、土井先生にきり丸がなかなか帰ってこないから「帰ってこない」って言っただけで授業の事は言ってなかったの」 「そうだよ。きり丸、ご飯も食べてないし、心配だったから」 話がわかって、団蔵は真っ赤になる。つまりは自分がきり丸を言いつけてしまった事になる。 「きり丸!ごめん!!」 「・・・・・・」 きり丸は返事が出来なかった。なんて言っていいのか分からなかったのだ。団蔵に悪気はなかったし、乱太郎たちも自分を庇ってくれていた。でも、これから自分は半助に叱られるであろう。自分は誰に文句を言えばいいのだろう? 「この場合、誰が悪いの?」 「お前だよ!!」 半助はきり丸に軽く拳骨を食らわして言い渡す。 「バツとして「ごめんなさい」って200回書いて寝るまでに持って来い」 「200回も!寝るまでになんてとても無理だよ!!」 半助に泣きつくきり丸。団蔵はなんだか面白くない。 「きり丸、半分手伝ってやるよ。僕も悪いんだし」 「本当?団蔵!」 嬉しそうに団蔵に抱きつく。そんな風に目の前でされればルームメイトで仲良し三人と言われている二人だって黙ってはいられない。 「仕方ないよね」 「うん」 結局、4人で50回づつ書いて許してもらった。 後日、団蔵がせんべえのことで虎若に責められるのを半助は見た。 『団蔵も大変だ・・・』
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| 揚巻さん−2− |
翌日、半助はお昼を食べて出かけていくきり丸を付けて行った。半助の尾行に全く気が付いていないきり丸は、いつもどおりに、裏口から入っていった。 『さて、どうしたものか?』 半助は少し考えてから、表にまわりチケットを買って中に入っていった。売り子が一番、回りそうな通路側を選んで座る。きり丸が販売に来たときに捕まえてやるつもりなのだ。 が、販売に来たのはきり丸よりずっと大きな女の子だった。役者見習らしい、その子は派手な着物で愛想を振りまいている。 『・・・・ハズレだったかな』 半助はそう思って、きり丸を探してみたが、どこにもいない。そうこうしている間に幕が開いた。どう考えたってきり丸が見るには問題のある芝居が展開される。話の内容的にもきり丸が役者として出てくる内容ではない。それに、素人がそんなに簡単に舞台に上がれる甘い世界ではない。さっきの売り子の役者見習がいい例だ。最初はあんな風に下積みなのだろう。 『じゃあ、きり丸はなんの仕事をしているのだろ?』 とうとう、きり丸を発見できないまま幕が下りてしまった。そして、カーテンコールが始まった。先ほどまで熱心に敵役を演じていた役者同士が手をとりあって挨拶している。 「皆様、本日は誠にありがとうございます。今日の演目はいかがでしたでしょうか?よかった、すばらしかったとお思いの方はそのお気持ちを頂戴出来れば幸いです。今から、かわいい揚巻さんが皆様の元へ籠を持って回ります。どうか、かわいい揚巻さんを喜ばせてやってください」 座長の挨拶とともに、舞台の下手からかわいらしい女の子が揚巻の格好でシズシズと出てきた。揚巻はにっこりと笑って頭を下げてから、舞台から抱き下ろされる。それから、長い裾を引きずって、観客、一人一人に挨拶しながら籠を差し出す。その仕草が幼くて誠にかわいらしい。揚巻の籠には次々と小銭が入れられていく。中には揚巻の手を握ったり、おしりを触ったりするものもいるが、当の本人は少しも動じずニッコリの笑顔で答える。とても小さな女の子とは思えない度胸だ。 『・・・・きり丸』 半助はしばらくきり丸が揚巻とは気が付かなかった。顔はばっちりと化粧がされているし、大きな帯のせいで体系だって全くわからない。声だって女の子そのものなのだ。しかし、よくよく見てみるときり丸なのだ。声だってよくよく聞いてみるときり丸だ。 「ありがとうございますぅ」 きり丸の方は全く半助に気が付いていないので、半助にも笑顔で籠を差し出して、そのまま動きが止まった。 「先生・・・・」 「かわいい格好だな、きり丸」
きり丸が芝居小屋の裏口から出てくると、半助が待っていた。別に驚かない。きっと、待っていると思っていたからだ。そして、きっとここのバイトはやめなさいと言われるに決まっている。 「お疲れさん」 「ただいま」 まだ、家に着いたわけでもないのに「ただいま」は少しおかしいがそれ以外に言う言葉を知らなかったのだ。 「揚巻さんは時給がいいのか?」 「うん。女の子じゃできないからね」 家にむかって歩いている途中、半助は聞いてきた。意外に怒った声でもなかった。きっと、ものすごく怒っていると思ったのに。 「どうして女の子はできないんだ?」 これは意外だった。揚巻は本来、女の子じゃないだろうか?どうして男の子じゃないとできないのか? 「だって、女の子はおしりとか触られたら泣くじゃん。怒りっぽいし」 「なるほどね」 半助はすっかり感心してしまった。確かにそうである。学校でもくノ一教室は扱いにくい。女の子は総体的にあつかいにくい場合が多いのだ。 「俺は、先生のせいで慣れてるからさ」 「そう言う言い方は誤解を招くじゃなか!お前が慣れているのは叩かれ慣れているからだろ!」 「痛くない分、あっちのほうがましだね!」 バイトを失ったと思っているきり丸は機嫌が悪い。せっかく、楽でいい時給だったのに。 「いい子にしていれば痛い事なんてないんだよ!」 半助は笑いながらきり丸を小突いた。なんだか、半助が怒っていないような気がする。それならばチャンスだ。きり丸は得意の上目遣いで 「揚巻、やめないとダメ?」 こんな顔で言われては、甘くなる。それに、このバイトはそんなに悪いものでもない。条件さえ守れれば続けても問題はないだろう。 「条件があります。休みの間だけ、夜の公演は受けない事。それから、お芝居の台詞は使わない事!これが守れたらいいよ」 「本当!?」 半助の意外な理解にきり丸は大喜び。 「ああ、時給がいいなら仕方ないさ」 「やった〜!!」 今に、チケットの売りさばきにも手を伸ばすつもりだったのに、こんな所でポシャッてられないきり丸は嬉しさのあまり、スキップになった。スキップのきり丸に嫌な予感を覚え、早くも後悔する半助なのだった。 『私って苦労がすきだなぁ・・・』
あとがきです。 結局、苦労をしょい込む先生です。 なんかもう、そういう運命・・・・ でも、そんなに悪いバイトではないと思います。 ちなみに私、高校生の時に夏休みに遊園地でショーの司会のバイトをしていました。 司会は着ぐるみもきないでいいですし、時給もいいのでおいしかったです。 でも、ちょっと恥ずかしかったです・・・・
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